この記事では風景と景色の違いについてみていきます。誰しも素晴らしい自然や建造物を見て感動した経験はあるんじゃないか?ですが、それを言葉にして表す際に、風景と景色を意識的に区別して使うことはまずないでしょう。実際にこれらの違いは明確ではないようです。しかし、調べてみると意味が持つ特徴や対象に差があることも分かってきた。今回は類義語との違いも含めて、日本語が大好きなライターおとのと一緒に解説していきます。

ライター/おとの

空や路地裏、お菓子屋や本屋を撮った写真集が大好きなWebライター。きれいな自然や好みの街並みを見つけると自分でも写真に収めるため、いつでもスマホのストレージが不足している。

風景と景色の意味を確認しよう!

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風景と景色はどちらも目に映った眺めを表す言葉ですね。旅行先で見た景色が忘れられないほど美しいこともあれば、日常のいつも通りの風景に安心感を覚えることもあるでしょう。

そんな風景と景色の違いは実は曖昧。厳密な定義はありません。しかし、それぞれの意味を調べてみると、その言葉が持つ特徴が見えてきました。まずは風景と景色の詳細を確認していきましょう。

風景:広い範囲の眺めや有様

風景を辞書で調べると次のように載っています。

ふう‐けい【風景】

1 目に映る広い範囲のながめ。景色。風光。「山岳風景」
2 ある場面の情景・ありさま。「ほほえましい親子の風景」「新春風景」

(出典:デジタル大辞泉/小学館)

風景とは、広範囲を示した言葉のようです。特定の場面を示したものでもなく、使用する際の制限などもありません。そのため、どのような状況を語る場合でも使える、柔軟性の高い言葉と言えるでしょう。

風景の説明に「景色」と記載があることからも、これらには厳密な違いはないことが分かりますね。ちなみに、以下で説明する景色の解説には、しっかり「風景」とも載っています。

景色:観賞の対象となる自然

次に、景色について辞書を引いてみましょう。風景と同じくデジタル大辞泉の記載を見てみると、以下のように載っています。

け‐しき【景色】

《「気色けしき」と同語源》
1 観賞の対象としての自然界の眺め。風景。「景色がよい」「雪景色」
2 陶磁器、特に茶陶の見所の一。頽なだれ・窯変・斑文はんもんなど、不測の変化の部分をいう。→金継ぎ

\次のページで「風景と景色に含まれるものは?」を解説!/

景色は鑑賞の対象というのが大きな特徴ではないでしょうか。自然界の様子を意識的に眺める際に使用すると良さそうです。同じく自然の様子でも、雪崩や暴風雨は観賞するものではないですね。そのため、景色と呼ぶのは間違いとは言わずとも、あまり相応しくないかも知れません。

余談ですが、陶磁器の見所も景色と呼ぶのは、日本人の感性の豊かさを表しているようで面白いですね。

風景と景色に含まれるものは?

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ここでは風景と景色が含む対象について解説します。世の中は実に多くのものが存在していますよね。豊かな自然が残っている場所もあれば、夜景を誇る大都会もあります。動植物や人間の在り方も様々。それらが織りなす眺めは、地域や文化や歴史、自然と人工物のバランスなどによって多彩に姿を変えてくれます。

上の項で、それぞれの意味と特徴を確認しました。それを踏まえて、風景と景色を構成するのはどんなものなのか、その対象を確認していきましょう。

風景:自然や建造物や人物など

風景はその意味合いが柔軟であるため、その対象も幅広くカバーしています。自然やランドマークになるような建造物はもちろんのこと、そこを歩く人物も風景の一部となりうるのです。

特段目立っていたり、珍しかったりする場面だけが風景ではありません。グッタリしてしまう通勤ラッシュやお昼寝をする猫、お母さんが食事の支度をしてくれている台所などを切り取っても、それは立派な風景と言えます。特別な場面から身近な日常まで、風景は常に私たちの周りにあるものなのですね。

景色:自然がメイン

景色は主に自然を指した言葉です。雄大な山々や澄んだ水辺、色鮮やかな花や神秘的な星空など、自然には人の心を震わせる力がありますよね。景色はそんな自然を鑑賞の対象にするときに使われます。もちろん、そこに建造物や人物が一緒に存在するからと言って、景色と呼ばない訳ではありません。あくまでも、観賞者がその場面の中のどの部分に重きを置くかがポイントとなります。

上記したように、元々風景と景色の区別は曖昧なもの。難しく考えず、優れた景色に素直に感動することが一番重要ですね。

具体例で使い方を確認しよう!

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風景と景色の意味や対象を確認して、それぞれのニュアンスの違いが分かりましたね。それでは、この項では具体例を用いてこれらの使い方を見ていきましょう。AとBの2人が好きな季節をテーマに会話しています。自分であれば、どんな風景や景色を思い浮かべるかを想像しながら読んでみて下さいね。

\次のページで「風景:様々なシーンを語るときに使える!」を解説!/

風景:様々なシーンを語るときに使える!

A:日本の四季で好きな季節ってどれ?
B:迷うけど秋かな。この間、京都に行ってね。紅葉がちょうど見頃だったんだ。赤や黄色の椛と歴史的な建造物がコラボした風景は、正に日本の美だったよ。
A:さぞかし綺麗だったろうね。僕はやっぱり夏が好きなんだ。夏祭りの風景には独特の賑やかさがあるからね。金魚掬いやりんご飴や色とりどりの提灯……何より浴衣姿の可愛い子がいっぱいいるからね。
B:何というか、君らしいね。

上記の会話では自然と建造物が出てきましたね。京都という観光地では、たくさんの人々も特徴的だったかも知れません。Aが語るお祭りというのも人が作り上げた文化です。その風景を想像すると、楽しげなざわめきが聞こえてきそうですよね。

このように、風景は様々なものや場面が対象となり、汎用性の高い言葉だと言うことが分かりますね。

景色:美しい自然を語るときに使える!

A:日本の四季で好きな季節ってどれ?
B:うーん、春かな。近くに桜が綺麗な穴場があるの。晴れた日に散歩すると、青空に桜のピンクが映えて、本当に気持ちが良い景色が楽しめるよ。
A:すごく素敵だね。私は冬が好きなんだ。初めて北海道に行ったとき、早起きしたら外が一面の銀世界になっていて、足跡をつけるのが勿体なかった。あの雪景色は忘れられないな。
B:まるで絵本みたいな景色だね!

春と冬を代表する自然についての会話です。実際の景色には人工物も含まれているかも知れませんが、伝えたいのはその自然への感想や思い出について。この場合は景色と表現するのがより適切でしょう。

ちなみに、雪景色は辞書に載っていますが、花景色という単語はないようです。春の風景を表すのであれば春景色という言葉がありますよ。

景観・情景・光景との違いは?

同じように眺めを表す類義語に、景観や情景や光景という言葉もありますね。これらの違いも難しいところではありますが、表現に使える言葉が増えれば、自分の伝えたいことをより正確かつ豊かに表しやすくなります。日常でも使用しやすい言葉ですので、その意味や特徴を確認してみましょう。

\次のページで「景観:観賞の価値がある眺め」を解説!/

景観:観賞の価値がある眺め

景観はもとはドイツ語を和訳した言葉。田舎を意味する「Landschaft」という単語を植物学や地理学の学術用語として翻訳したそうです。現代の日本では、観賞に値する素晴らしい眺めを指しますよ。

景観はいくつかの種類に分類されます。例えば自然景観はその名の通り、山岳や河川、群生している植物などの自然によってその眺めが構成されている場合。文化景観は自然と人工物がお互いに作用しあっており、そこに文化が形成されている場合の眺めを言います。歴史的価値のある地域では、その景観を守るために高い建物の建設を制限していることもありますね。

情景:心を動かす場面

情景は人の心を動かす場面を指す言葉です。嬉しいや楽しいなどのプラスの感情はもちろんのこと、悲しいや腹立たしい、切ないなどの感情が沸き上がったときにも使えます。

もともとは中国の書籍に載っていた言葉で、心の感興と自然の景色を意味したそうです。近代になってからは、心の機微に訴えかける場面を表すようになりました。例え大きな出来事や珍しい場面ではなかったとしても、自分の中で感動したり情緒を感じたりしたのであれば、情景と表すのが最適です。

光景:具体的な有様

光景という言葉には具体性が込められています。「その光景が目に浮かぶようだ」などと言いますが、それは実際に見ていなくても、当時の状況がありありとリアルに想像できるときに使いますよね。

光景は良くない出来事の有様を伝える際にも使用できます。事件現場などの場面を「凄惨な光景」と表すと、その荒れようがイメージしやすくなりますね。このようにある程度の具体性や現実味を表現したい場合は、光景を使用すると良いでしょう。

【余談】共通する「景」の意味や成り立ちは?

言葉を学ぶとき、漢字の意味を知っていると理解が一気に深まります。「景」は今まで解説してきた言葉に共通して含まれる漢字です。この漢字自体はどのような意味を持つのでしょうか。

「景」は日の光、ひいてはその光が照らすことで見える状況やありさまを意味します。つまり、景にはもともと景色や風景といった意味があるのです。この漢字は「太陽を表す日」と「高い場所に建った家を表す京」から成り立ちました。それを踏まえれば、上記の意味を持つことも納得できますね。

男女共に名前にも使用可能。漢字の意味から、広々としたおおらかな心を持てるようにとの願いが込められています。

記録するか、記憶するか?どちらも大切にしよう!

皆さんにとって、忘れられない風景や景色はどのようなものですか?筆者は写真を撮るのが好きで、好みの風景を見つけるとスマートフォンやカメラで何枚か撮影しておきます。しかし不思議なことに、そうした風景ほど簡単に忘れてしまうのです。きっといつでも見直せる安心感があるのでしょうね。反対に脳裏に焼き付いた光景は、ほんの一瞬のことだったり、平凡すぎてどうして覚えているのかも分からないことだったりします。保存した風景も、記憶した光景もどちらも筆者にとっては大事なもの。今後もそんな小さな思い出が増え続けることを期待しつつ、身の回りの風景と何気ない一瞬を大切にしていきたいと感じています。

" /> 心に残るのは風景?景色?意味の違いや使い方、類義語との違いまで日本語大好きライターがわかりやすく解説! – Study-Z
言葉雑学

心に残るのは風景?景色?意味の違いや使い方、類義語との違いまで日本語大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では風景と景色の違いについてみていきます。誰しも素晴らしい自然や建造物を見て感動した経験はあるんじゃないか?ですが、それを言葉にして表す際に、風景と景色を意識的に区別して使うことはまずないでしょう。実際にこれらの違いは明確ではないようです。しかし、調べてみると意味が持つ特徴や対象に差があることも分かってきた。今回は類義語との違いも含めて、日本語が大好きなライターおとのと一緒に解説していきます。

ライター/おとの

空や路地裏、お菓子屋や本屋を撮った写真集が大好きなWebライター。きれいな自然や好みの街並みを見つけると自分でも写真に収めるため、いつでもスマホのストレージが不足している。

風景と景色の意味を確認しよう!

image by iStockphoto

風景と景色はどちらも目に映った眺めを表す言葉ですね。旅行先で見た景色が忘れられないほど美しいこともあれば、日常のいつも通りの風景に安心感を覚えることもあるでしょう。

そんな風景と景色の違いは実は曖昧。厳密な定義はありません。しかし、それぞれの意味を調べてみると、その言葉が持つ特徴が見えてきました。まずは風景と景色の詳細を確認していきましょう。

風景:広い範囲の眺めや有様

風景を辞書で調べると次のように載っています。

ふう‐けい【風景】

1 目に映る広い範囲のながめ。景色。風光。「山岳風景」
2 ある場面の情景・ありさま。「ほほえましい親子の風景」「新春風景」

(出典:デジタル大辞泉/小学館)

風景とは、広範囲を示した言葉のようです。特定の場面を示したものでもなく、使用する際の制限などもありません。そのため、どのような状況を語る場合でも使える、柔軟性の高い言葉と言えるでしょう。

風景の説明に「景色」と記載があることからも、これらには厳密な違いはないことが分かりますね。ちなみに、以下で説明する景色の解説には、しっかり「風景」とも載っています。

景色:観賞の対象となる自然

次に、景色について辞書を引いてみましょう。風景と同じくデジタル大辞泉の記載を見てみると、以下のように載っています。

け‐しき【景色】

《「気色けしき」と同語源》
1 観賞の対象としての自然界の眺め。風景。「景色がよい」「雪景色」
2 陶磁器、特に茶陶の見所の一。頽なだれ・窯変・斑文はんもんなど、不測の変化の部分をいう。→金継ぎ

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