この記事ではエイとマンタの違いについてみていきます。どちらも水族館でゆったり優雅に泳ぐ姿が印象的な魚です。見た目は似ているが、調べてみるといろいろ違いがあるようです。
今回はそんなエイとマンタの違いを、どんな魚であるか種類から確認しつつ、生き物好きライター田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

生き物が好きなWebライター。生き物をモチーフにしたイラストなどを描いている。特に水族館の生き物が好きで各地の水族館へ赴いたり、動画のチェックも欠かさない。違いを様々な角度から解説していく。

エイとマンタのざっくりした違いって?

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エイやマンタは水族館で会うことができる魚です。存在は知っているし見たこともあるけど、どんな魚なのかイマイチわからないという方も多いのではないでしょうか?まずは種類から確認していきましょう。

エイ:板鰓亜綱軟骨魚類に属する一部の総称

エイは、サメと同じ板鰓亜綱軟骨魚類(ばんさいあこうなんこつぎょるい)の仲間です。その中でも、エラの位置が体の下側にある魚をまとめて「エイ」と呼んでいます。

エイと呼ばれる魚の種類は530種以上とかなり多めです。以下の4種に分類されます。

シビレエイ目
シビレエイ・ヤマトシビレエイ・ゴマフシビレエイ など

ノコギリエイ目
ノコギリエイ

ガンギエイ
コモンカスべ・ソコガンギエイ・メガネカスベ など

トビエイ目
トビエイ・アカエイ・ツバクロエイ・ヒラタエイ など

マンタ:エイの一部を指す総称

マンタは、エイというグループに属する2種のみを指す総称。マンタもエイの仲間なのです。体のシルエットが「マント」に似ていることから「マンタ」と呼ばれるようになりました。

マンタと呼ばれているのは「ナンヨウマンタ」と「オニイトマキエイ」。実は昔、ナンヨウマンタはオニイトマキエイと同じものとされていました。しかし2009年に、斑紋・うろこ・歯の形が違うことから別の種であると認められ、現在の2種に区別されたのです。

ちなみにナンヨウマンタという和名は、沖縄美ら海水族館・大阪海遊館・エプソン品川アクアスタジアムが共同でつけた名称となります。

\次のページで「エイとマンタの違いについて詳しく知ろう!」を解説!/

エイとマンタの違いについて詳しく知ろう!

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エイとマンタは同じグループの魚ですが、生息地やエサなどに違いがあります。詳しくみていきましょう。

エイとマンタの「生息地」の違い

エイは世界中の暖かい海や寒い海など、広い範囲に生息しています。海だけでなく淡水や、河口など淡水と海水が混ざった場所で生活している種類もいるのが特徴です。川に海の水が流れ込んできて、普段はいるはずのない街中を流れる川でエイが発見されることもあります。ただ、完全な淡水の中に生息するエイは日本にはいません。

マンタも世界中に生息しますが、熱帯・亜熱帯の暖かい海に限られます。サンゴ礁の近くにいることが多いという点も特徴です。

国内の主な生息地

エイ
日本海・東シナ海・太平洋・瀬戸内海・小笠原諸島 など

マンタ
石垣島・久米島・西表島 など

エイとマンタの「エサ」の違い

エイは普段カニ・エビ・貝など海底付近に生息する生物を食べています。釣りのお話しになりますが、エイは魚の切り身や虫まで様々なエサに食いついてくるようです。このことから、割となんでも食べる魚であると言えるでしょう。

一方マンタは、シロナガスクジラなどと同じプランクトン食性です。魚介類は食べません。口の中にフィルターのようなものがあり、海水を漉しながらプランクトンを食べています。

エイとマンタの「性格」の違い

エイとマンタの性格の違いについても調べてみましょう。エイは基本的に温厚で大人しい性格。ただ驚いたり危機を感じると攻撃してくることもあるので注意が必要です。

マンタは好奇心旺盛な性格で、人に興味を持って近づいてくることがあります。知能が高いのも特徴です。マンタの方から攻撃してくることはめったになく、一緒に泳いだりできるのでダイバーに人気があります。

エイとマンタの「泳ぎ方」の違い

体の形は似ていますが、エイとマンタは泳ぎ方にも違いがあります。それぞれの特徴をみてみましょう。

\次のページで「エイとマンタの「寿命」の違い」を解説!/

エイの泳ぎ方
頭部からしっぽの方へ、体をユラユラと波打つようにして泳ぐ。砂に潜ったりしていることもある。

マンタの泳ぎ方
鳥が翼を羽ばたかせるように、水中で胸ヒレをパタパタと上下に動かして泳ぐ。回遊魚なので、呼吸をするために泳ぎ続けているのもポイント。
海面から2mほどの高さまでジャンプをすることも。諸説あるが、ジャンプの理由は求愛行動や寄生虫を振り払うためと言われている。

エイとマンタの「寿命」の違い

寿命は基本的にマンタの方が長いです。それぞれを調べると、エイは15〜25年ほど・マンタは20年〜40年ほどと言われています。

ただ、個体によってかなり差がある様です。実際に、三重県の伊勢シーパラダイスで飼育されている「ノコギリエイ」は、30年以上も元気に生きています。

基本的にマンタの方が長生きする理由としては、天敵が少ないというのも1つの理由と言えるでしょう。マンタは最大で横幅9m・体重3tほどのサイズになるので、シャチや大型のサメくらいしか敵がいません。

エイとマンタを見分けるポイント

エイとマンタは同じグループの魚であるため、見た目がかなり似ている種もいます。水族館の水槽などでも、名前の記載がないと「これってどっち」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?見分けるポイントをご紹介するので、参考にしてみてくださいね。

「目と口」をチェック!

エイとマンタを見分けるうえで、1番わかりやすいポイントは目と口です。それぞれの特徴をまとめてみました。

エイの目と口
・目の位置:体の下側(お腹側)。
・口の位置:同じく下側。

マンタの目と口
・目の位置:頭部の前側にある頭ヒレの付け根あたり。
・口の位置:頭部の前側にある頭ヒレの間。正面から口を確認できる。

\次のページで「エイやマンタは危険な生き物なの?」を解説!/

ポイントを覚えれば見分けは意外と簡単です!ちなみに、目と口の位置が異なる理由は食べるエサの違いにあると言われています。

エイは海底付近にいる生き物をエサとすることが多いので下側に。マンタは海中を浮遊しているプランクトンをエサにするので、前側に目と口がついているのです。

エイやマンタは危険な生き物なの?

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ニュースを見ていると、たまに「危険生物が住宅街の川に発生」などの内容で、エイについて報道されていることがあります。エイのどこが危険なのか・マンタは危険生物じゃないのか詳しくチェックしてみましょう。

エイは毒針を持つ種類もいる

エイの仲間には「アカエイ」などしっぽに毒針を持っている種がいます。この毒針こそ、エイが危険生物と言われる原因です。

ちなみにマンタと呼ばれる2種に毒針はありません。マンタは危険生物ではないと言えます。

エイが持つ毒はかなり強力です。刺されてしまうと激しく痛み、吐き気・めまい・呼吸困難などの症状がでます。刺された後に適切な処置をしないで放っておくと壊死することもあるようです。エイに刺されて亡くなった方もいるので、むやみに触るのは避けてください。

ダイビングや潮干狩り、川で遊ぶ際はうっかり踏んだり触れてしまわないように気をつけましょう。また、エイ自体が死んでいても、毒針に毒は残っているので注意してくださいね!

迷ったときは目と口を見て判断しよう!

エイとマンタはどちらも「エイ」に分類される魚ですが、生態など違う部分がいろいろとあります。ただ見た目が似ている種類も多いので、迷ったときは目と口を見て判断してみましょう。

口も目も体の下側にあったらエイ、体の前側(頭部)にあったらマンタだと見分けることができます。水族館などに行った際は、ぜひ見分けられるかチャレンジしてみてくださいね!

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生き物・植物雑学

3分でわかるエイとマンタの違い!種類や生息地は?見分け方など生き物好きライターが詳しくわかりやすく解説

この記事ではエイとマンタの違いについてみていきます。どちらも水族館でゆったり優雅に泳ぐ姿が印象的な魚です。見た目は似ているが、調べてみるといろいろ違いがあるようです。
今回はそんなエイとマンタの違いを、どんな魚であるか種類から確認しつつ、生き物好きライター田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

生き物が好きなWebライター。生き物をモチーフにしたイラストなどを描いている。特に水族館の生き物が好きで各地の水族館へ赴いたり、動画のチェックも欠かさない。違いを様々な角度から解説していく。

エイとマンタのざっくりした違いって?

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エイやマンタは水族館で会うことができる魚です。存在は知っているし見たこともあるけど、どんな魚なのかイマイチわからないという方も多いのではないでしょうか?まずは種類から確認していきましょう。

エイ:板鰓亜綱軟骨魚類に属する一部の総称

エイは、サメと同じ板鰓亜綱軟骨魚類(ばんさいあこうなんこつぎょるい)の仲間です。その中でも、エラの位置が体の下側にある魚をまとめて「エイ」と呼んでいます。

エイと呼ばれる魚の種類は530種以上とかなり多めです。以下の4種に分類されます。

シビレエイ目
シビレエイ・ヤマトシビレエイ・ゴマフシビレエイ など

ノコギリエイ目
ノコギリエイ

ガンギエイ
コモンカスべ・ソコガンギエイ・メガネカスベ など

トビエイ目
トビエイ・アカエイ・ツバクロエイ・ヒラタエイ など

マンタ:エイの一部を指す総称

マンタは、エイというグループに属する2種のみを指す総称。マンタもエイの仲間なのです。体のシルエットが「マント」に似ていることから「マンタ」と呼ばれるようになりました。

マンタと呼ばれているのは「ナンヨウマンタ」と「オニイトマキエイ」。実は昔、ナンヨウマンタはオニイトマキエイと同じものとされていました。しかし2009年に、斑紋・うろこ・歯の形が違うことから別の種であると認められ、現在の2種に区別されたのです。

ちなみにナンヨウマンタという和名は、沖縄美ら海水族館・大阪海遊館・エプソン品川アクアスタジアムが共同でつけた名称となります。

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