この記事ではトコブシとアワビの違いについてみていきます。見た目が似ているため、トコブシは小さいアワビを指すのではないかと思っている人も多いんじゃないか?ずばり2つは別の貝のようですが、調べてみるといろいろな違いがあるようです。
今回はそんなトコブシとアワビの違いを、分類から確認しつつ、料理好きライター田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

食いしん坊な料理好きライター。ササッと魚を捌ける人に憧れ、最近は魚料理に挑戦中。日々の料理経験を活かして、違いをわかりやすく解説していく。

トコブシとアワビってどんな貝?

image by iStockphoto

トコブシとアワビはミミガイという巻貝の仲間です。種類によって多少異なりますが、ミミガイ科の貝は人間の耳のような形をしています。貝の中身が大きいというのも特徴です。

仲間と言ってもトコブシとアワビは全く別の貝なため、違いもあります。詳しくみていきましょう!

トコブシ:軟体動物門腹足網ミミガイ科トコブシ属

トコブシはミミガイ科の中のトコブシ属に分類される貝です。海の底(床)で石の隙間に隠れる(伏せる)ようにしてくっついていることなどから、「床伏(とこぶし)」と呼ばれるようになったという説があります。

どんな貝なのか、早速みていきましょう。

生息地
北海道南部〜九州にかけての日本海・太平洋など。
潮間帯(干潮した時に露出する部分)〜水深10mほどの浅瀬に生息する。

主な生産地
高知県・徳島県・三重県など。

種類
トコブシ・フクトコブシの2種。


本来の旬は4月〜8月頃。
縁起物としておせちに使われることから、12月〜1月も旬と言える。

アワビ:軟体動物門腹足網ミミガイ科アワビ属

アワビはミミガイ科の大型の貝の総称。分類はアワビ属です。巻貝の仲間ではありますが、岩にくっついている姿を見ると、シジミやアサリのような二枚貝に似ています。

しかし、貝殻が1枚しかないことから「あはぬみ(不合肉)」と呼ばれ、その呼び方が転じて「あわび」になったという説も。

生息地などをチェックしてみましょう。

生息地
北海道南部〜九州にかけての日本海・太平洋・瀬戸内海など。
潮間帯(干潮した時に露出する部分)〜水深50mほどに生息する。

主な生産地
岩手県・千葉県・三重県など。

種類
クロアワビ・エゾアワビ・マダカアワビ・メガイアワビの4種が主流。

アワビの旬
エゾアワビは11月〜1月頃。
クロアワビ・マダカアワビ・メガイアワビは6月〜9月頃。

\次のページで「トコブシとアワビを見分ける特徴って?」を解説!/

トコブシとアワビを見分ける特徴って?

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トコブシとアワビは「同じ貝じゃないの?」と思ってしまうほど、見た目がそっくりです。どこで判断すればいいか、特徴をご紹介します。

(1)貝殻に開いた穴の数と形状

トコブシやアワビは貝殻に「吸水孔」という呼吸をするための穴があります。見分けるとき、最初にこの穴を確認すると違いが分かりやすいのでおすすめです。

トコブシ
穴の数は6〜9個。個体差はあるが平均して8個ほど開いている。
穴の形状は突起しておらず、くり抜いたような見た目。

アワビ
穴の数は2〜6個。個体差はあるが平均して4個ほど。
形状を見ると突起していて、ボコッと穴の周りに立体感がある。

(2)貝の大きさ

トコブシとアワビを見分ける特徴として、大きさもヒントになってきます。トコブシの大きさは7cmほど。大きく成長した個体でも10cm前後と小ぶりです。

一方アワビは20cm〜25cmほどとサイズは大きめ。売っている貝を比べた場合、大きい方がアワビである可能性が高いと言えるでしょう。

(3)貝殻や中身の見た目

穴の数以外に貝殻を見てヒントになるのは付着物です。トコブシには、「キクスズメ」という小さな貝がくっついている場合が多くあります。

貝の中身の見た目を比べてみるとどうでしょうか。トコブシは黒っぽいヒダの幅が狭くて薄いものが多く、身の肌色(あるいは薄茶色)の部分がよく見えます。

アワビは、黒っぽいヒダの幅が広くて厚みがあり、人間の唇のように見えるものが多いです。種類や個体によって異なる場合がありますが、見分けるときにチェックしてみてください。

\次のページで「トコブシとアワビは味や食感にも違いがあるの?」を解説!/

トコブシとアワビは味や食感にも違いがあるの?

同じジャンルの貝であるトコブシとアワビですが、味や食感にも違いがあります。それぞれを使ったおすすめ料理なども、併せてみていきましょう!

トコブシ:あっさりしていて柔らかい

トコブシは磯の味がそこまで濃厚ではありません。甘味などはありますが、癖が少なくあっさりとした味わいです。

また加熱しても身が硬くなりにくく、柔らかいというのも特徴の1つ。様々な食べ方ができる食材と言えます。

トコブシのおすすめ料理
・刺身
・網焼き
・酒蒸し
・煮付け
・しゃぶしゃぶ
・アヒージョ
・貝めし(炊き込みご飯) など

アワビ:濃厚で歯ごたえがある

アワビは濃厚な磯の味を感じる貝です。噛めば噛むほど甘味がでてくるのも特徴。生で食べてもコリコリとした歯ごたえを楽しめますよ!

種類や調理方法によっては加熱すると身が縮んで硬くなることもあります。しかし甘さや旨味が増すので、刺身以外の方法で食べるのもおすすめです。

アワビのおすすめ料理
・刺身
・網焼き
・酒蒸し
・煮付け
・ステーキ
・バター焼き など

\次のページで「トコブシとアワビの値段は?」を解説!/

2月〜5月の時期に採った天然アワビには要注意!

2月〜5月頃に採った天然のアワビは、食べた海藻の毒素が肝に溜まっていることがあります。あたってしまうとごく稀に「光線過敏症」という中毒症状が出る場合も。

食べてから1〜2日ほどで、日光を浴びた部分が痒くなったり炎症したりと肌に影響が出てきます。命に関わるような症状ではなく、1ヶ月弱で完治しますが気をつけた方がいいでしょう。

トコブシとアワビの値段は?

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トコブシとアワビは、漁獲量などが異なるので値段も違ってきます。どちらが高いのか気になりますよね?さっそくみていきましょう。

アワビの方が高価

値段が高価なのはアワビです。高価になる大きな理由としては、漁獲量が減少しているのに対して消費量は年々増加しているから。また、見つけづらいことに加え、アワビは吸着力が強く、採るのに労力がかかることなども原因と言えるでしょう。

アワビの市場での1kg当たりの卸売価格は6000円〜8000円ほど。高級食材と言えます。

トコブシの1kg当たりの卸売価格は2000円〜3000円ほどです。アワビと比べると安く見えますが、トコブシも年々漁獲量が減ってきていて値段は上がっています。

他のメジャーな貝類の卸売価格を見てみると、ホタテは1kgで500円〜800円ほどでサザエは800円〜1000円ほど。トコブシも安くはないことがわかります。養殖が盛んになって、捕獲量が増えるといいですね。

食べ比べしてみよう!

トコブシとアワビは貝殻に開いた穴の数や形、貝の大きさなどで見分けることができます。それぞれの特徴をチェックしたうえで、本当に見分けがつくのか試すのも面白いですよ!

実際に食べて味の違いを確認するのもおすすめです。トコブシやアワビは「パントテン酸」というビタミンも豊富に含まれます。免疫力を高めてくれたり、悪玉コレステロールを減らしてくれる効果も期待できる食材です。

魚に比べて下処理や捌き方も簡単なので、ぜひ食卓に取り入れてみてくださいね。

" /> とこぶしとあわびの違いは見た目ではわからない?見分け方・味の違いなどを料理好きライターが詳しくわかりやすく解説! – Study-Z
雑学食べ物・飲み物

とこぶしとあわびの違いは見た目ではわからない?見分け方・味の違いなどを料理好きライターが詳しくわかりやすく解説!

この記事ではトコブシとアワビの違いについてみていきます。見た目が似ているため、トコブシは小さいアワビを指すのではないかと思っている人も多いんじゃないか?ずばり2つは別の貝のようですが、調べてみるといろいろな違いがあるようです。
今回はそんなトコブシとアワビの違いを、分類から確認しつつ、料理好きライター田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

食いしん坊な料理好きライター。ササッと魚を捌ける人に憧れ、最近は魚料理に挑戦中。日々の料理経験を活かして、違いをわかりやすく解説していく。

トコブシとアワビってどんな貝?

image by iStockphoto

トコブシとアワビはミミガイという巻貝の仲間です。種類によって多少異なりますが、ミミガイ科の貝は人間の耳のような形をしています。貝の中身が大きいというのも特徴です。

仲間と言ってもトコブシとアワビは全く別の貝なため、違いもあります。詳しくみていきましょう!

トコブシ:軟体動物門腹足網ミミガイ科トコブシ属

トコブシはミミガイ科の中のトコブシ属に分類される貝です。海の底(床)で石の隙間に隠れる(伏せる)ようにしてくっついていることなどから、「床伏(とこぶし)」と呼ばれるようになったという説があります。

どんな貝なのか、早速みていきましょう。

生息地
北海道南部〜九州にかけての日本海・太平洋など。
潮間帯(干潮した時に露出する部分)〜水深10mほどの浅瀬に生息する。

主な生産地
高知県・徳島県・三重県など。

種類
トコブシ・フクトコブシの2種。


本来の旬は4月〜8月頃。
縁起物としておせちに使われることから、12月〜1月も旬と言える。

アワビ:軟体動物門腹足網ミミガイ科アワビ属

アワビはミミガイ科の大型の貝の総称。分類はアワビ属です。巻貝の仲間ではありますが、岩にくっついている姿を見ると、シジミやアサリのような二枚貝に似ています。

しかし、貝殻が1枚しかないことから「あはぬみ(不合肉)」と呼ばれ、その呼び方が転じて「あわび」になったという説も。

生息地などをチェックしてみましょう。

生息地
北海道南部〜九州にかけての日本海・太平洋・瀬戸内海など。
潮間帯(干潮した時に露出する部分)〜水深50mほどに生息する。

主な生産地
岩手県・千葉県・三重県など。

種類
クロアワビ・エゾアワビ・マダカアワビ・メガイアワビの4種が主流。

アワビの旬
エゾアワビは11月〜1月頃。
クロアワビ・マダカアワビ・メガイアワビは6月〜9月頃。

\次のページで「トコブシとアワビを見分ける特徴って?」を解説!/

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