今日は「モニター」と「テレビ」の違いがテーマです。どちらも映像を映し出す装置なのは知っていると思うが、似ている言葉に「ディスプレイ」というのもある。さらに、最近ではPC用モニターやゲーミングモニターがある上にどちらもテレビで代用することができたり……と、実はけっこう複雑で混乱しがちです。これらの内容を整理して理解を深めるために、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に説明していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

モニターとテレビはどっちも「ディスプレイ」である

「モニター」と「テレビ」は、どっちも「ディスプレイ」の一種です。ただこの3つの言葉は混在して使われることが多く、まず最初に基本的な「ディスプレイ」の定義から説明しておきましょう。

ディスプレイとは?

ディスプレイ(Display)という英単語には表示(する)、展示(する)、装飾(飾る)、などの意味があり、テレビやコンピュータのような電子機器の世界では、電子的な信号を画面で発光させることよって像を表示させる機器全般のことを指します。

この機器のことを正式にはディスプレイ装置(Display Device)といいますが、「ディスプレイ」と省略して呼ぶのが一般的です。また同じ機器でもモニター(Monitor)と呼ぶこともあり、実際は「ディスプレイ」と「モニター」は混在して使われています。

普段PCを使っている方なら、コンピュータの世界にはコンピュータ本体とディスプレイが分かれているタイプと、一体型になっているタイプがあるのはご存じでしょう。デスクトップパソコンと言われているのが前者のタイプで、ノートパソコンと言われているものは後者のタイプです。もちろん最近では、本体とディスプレイが一体化したデスクトップ型も存在します。

さらに、コンピュータをテレビにつなぎ、テレビをパソコン用のディスプレイとして使用する例も増えていますね。

image by iStockphoto

モニターとテレビの違いをざっくり解説

ディスプレイの定義が分かりましたので、次はモニターとテレビの違いを見ていきましょう。どちらもディスプレイの一種ではありますが、両者は「使い道」の違いから別々の名前で呼ばれています。以下で詳しく説明しますが、ごく簡単に定義すればモニターは「見るためのもの」で、テレビは「映し出すためのもの」だと言えるでしょう。

モニター:「監視」に使うディスプレイ

モニター(Monitor)は、監視、観測、忠告という意味の英単語です。よってコンピュータの分野では、何かを監視・観測、可視化・表示するシステムのことをモニターと呼び、テレビのように単に映像を映し出すような場合はモニターとは呼びません。しかし一般的には、映像を映し出すディスプレイ装置を指すことが多いでしょう。

一方、「ゲーミングモニター」という言葉もあります。これはコンピュータ上でゲームをする人に適したディスプレイ装置のことで、画面上でいろいろな情報を追跡・監視をすることからモニターという表現を使っているのです。つまり、ディスプレイ上で何らかのチェック行為やモニタリングを行えば、その装置はモニターになる、と言えるでしょう。

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テレビ:テレビチューナーを使って映像を写すディスプレイ

テレビとはテレビジョン(Television)の略で、電波や光ケーブルなどを使って遠隔地に映像情報を伝送し、受像機にその映像を再現する技術のことです。送られてきた映像情報(信号)はテレビチューナーという変換装置を通過して受信され、テレビの画面、つまりディスプレイに映るようになります。この、受像機としての装置そのものをテレビと呼ぶのが一般的です。

モニターとテレビは「ディスプレイの使い方」の違い

最近では、「テレビ」と「モニター」の性能の差はほとんどないと言っても過言ではありません。結局のところ両者は、どういう使い方を前提として開発されているかによって呼び名が異なってくるのだと言えます。

大きな違いは、テレビにはテレビチューナーが必ず内蔵されていて、送られてくるテレビ用の信号を映像にすることが可能という点です。モニターにはそのような機能はなく、備わっているのは、コンピュータなどの本体から送られてくる信号を映像として見せる機能のみ。モニターにテレビチューナーが付いている場合もありますが、これは稀です。

しかしゲームをする人にとっては、テレビとモニターの違いは大問題でしょう。テレビでゲームをすると、モニターに比べて表示速度が少し遅くなる傾向があります。これは受信機器が、送られてきたデータを「テレビ向け」に処理しているからです。

これはゲーミングモニターとテレビの目的が違うことから発生する現象で、テレビには「より美しく映像を再現する」という目的がありますが、ゲーミングモニターの場合は「正確に速く再現する」ことが目的なので致し方ないと言えるでしょう。

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モニターとテレビは兼用・代用できる?

モニターとテレビは、兼用・代用が可能です。ただし完全に万能ということはなく、テレビはテレビ用に、モニターはモニター用に特化した構造になっているので、別の用途で使うことによるデメリットもしっかり把握しておく必要があるでしょう。

モニターにチューナーを接続すればテレビ代わりになる

モニターでテレビを見ようとする場合、コンピュータを介して、テレビ向けの映像情報をモニターに送り込む必要があります。そしてそのためには「テレビチューナー」が必須です。テレビチューナーのついていないパソコンの場合は、外付けのテレビチューナーを購入して取り付ければ、モニターでテレビ番組を見ることができるでしょう。

ただ、テレビチューナーを購入する前に、テレビの信号を「どうやって」「どのような形で」取り込むかを考えておかなければなりません。テレビのアンテナ口から取り込むのかワンセグの電波で取り込むのか、また取り込むのは地上波だけなのかBSやCSも視聴するのか、などを決めておく必要があるのです。

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テレビでゲームをプレイすることもできる

最新のテレビなら、PCのモニターとして利用することもできるでしょう。ケーブルによってPC本体との接続が可能であれば、コンピュータから送られてくる映像情報を映し出すことは可能です。古い型のテレビでは難しいでしょうが、最近のテレビはそうした使い方も想定して造られています。

それくらい、テレビは「映像を映し出す機器」としては万能になりつつあると言えるでしょう。例えば講演会などで、プロジェクターとコンピュータをつないでスクリーンに投影するという方法がありますね。それも最近では、プロジェクターもスクリーンも使わずに、大きなサイズのテレビを使うことがあります。

一つのディスプレイをテレビとして使うこともできるし、コンピュータのコンテンツも見るためのモニターとして使うこともできるというわけです。

ただ先述した通り、テレビをゲーミングモニターとして使うのは不適当なことがあるので注意しましょう。テレビは映像を美しく見せるために内部で映像情報を処理することから、画面上への再現が少し遅れるのです。本格的にゲームをプレイする場合にはこれを念頭に置く必要があります。

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モニターとテレビはどんどん進化している

モニターもテレビも、それぞれの役割に適した構造になっています。テレビはテレビとしてより美しい画像を映し出せるようにどんどん改良されていますし、モニターもゲーム用ならゲーム用として、コントローラーによる操作が素早くストレスなく再現できるように改良されているのです。

モニターには「PCモニター」「ゲーミングモニター」がある

モニターには、コンピューター用に作られたPCモニターや監視のための監視モニターなど、目的に応じてまざまなものがあります。その中でも、特に最近売り上げを伸ばしているのがゲーミングモニターです。これは先述したようにゲームをプレイすることに特化したモニターですが、ゲームはコンピュータから送られてくる情報をモニターに映し出してプレイしますので、一種のPCモニターということもできるでしょう。

しかし、ゲームは画面上の動きが激しいため、残像が残らないようにするとか、再現の遅延がより少なくなるようにするなど、独特の改良が施されています。このことから、ゲームに特化したモニターはゲーミングモニターとしてカテゴリー分けされるようになりました。

モニターもテレビも美しい映像を映せるようになった

最近の液晶モニターはかなり美しい映像が再現できるようになっています。液晶モニターはテレビよりも安価なことから、そちらを購入してテレビ代わりに使えばいいのでは、と思われることもあるようです。

確かに、両者の差はなくなってきていると言えますが、やはりテレビはテレビ放映に適した機能を多く持っていますし、モニターはコンピュータ使用に適した機能を進化させています。できれば目的に応じて使い分けた方が良いと言えるでしょう。

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モニターとテレビは機器を接続すれば同じように使える

テレビとモニターは両方とも「ディスプレイ」の一種ですが、使い道によってそれぞれ異なる作りになっています。一方で、現代はテレビ・モニターともに性能が向上したことから双方とも代用が利くものも多く、テレビをモニター代わりに、モニターをテレビ代わりに使えることも多いです。

とはいえ、やはりテレビはテレビなりの、モニターはモニターなりの、それぞれの使い道に従って最適化された造りになっていることから、テレビとモニターを区別する境界線が完全になくなったわけではありません。

境界線がなくなって、テレビ鑑賞もゲームも全て一手に引き受けてくれる万能のディスプレイが開発されるまでには、もう少し時間がかかりそうですね。もしそんなディスプレイができれば、こんなふうにテレビとモニターの区別について説明すること自体、必要がなくなることでしょう。

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IT・プログラミング雑学

モニターとテレビの違いは?代わりに使うことはできる?特徴や分類を雑学好きライターがわかりやすく解説!

今日は「モニター」と「テレビ」の違いがテーマです。どちらも映像を映し出す装置なのは知っていると思うが、似ている言葉に「ディスプレイ」というのもある。さらに、最近ではPC用モニターやゲーミングモニターがある上にどちらもテレビで代用することができたり……と、実はけっこう複雑で混乱しがちです。これらの内容を整理して理解を深めるために、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に説明していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

モニターとテレビはどっちも「ディスプレイ」である

「モニター」と「テレビ」は、どっちも「ディスプレイ」の一種です。ただこの3つの言葉は混在して使われることが多く、まず最初に基本的な「ディスプレイ」の定義から説明しておきましょう。

ディスプレイとは?

ディスプレイ(Display)という英単語には表示(する)、展示(する)、装飾(飾る)、などの意味があり、テレビやコンピュータのような電子機器の世界では、電子的な信号を画面で発光させることよって像を表示させる機器全般のことを指します。

この機器のことを正式にはディスプレイ装置(Display Device)といいますが、「ディスプレイ」と省略して呼ぶのが一般的です。また同じ機器でもモニター(Monitor)と呼ぶこともあり、実際は「ディスプレイ」と「モニター」は混在して使われています。

普段PCを使っている方なら、コンピュータの世界にはコンピュータ本体とディスプレイが分かれているタイプと、一体型になっているタイプがあるのはご存じでしょう。デスクトップパソコンと言われているのが前者のタイプで、ノートパソコンと言われているものは後者のタイプです。もちろん最近では、本体とディスプレイが一体化したデスクトップ型も存在します。

さらに、コンピュータをテレビにつなぎ、テレビをパソコン用のディスプレイとして使用する例も増えていますね。

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モニターとテレビの違いをざっくり解説

ディスプレイの定義が分かりましたので、次はモニターとテレビの違いを見ていきましょう。どちらもディスプレイの一種ではありますが、両者は「使い道」の違いから別々の名前で呼ばれています。以下で詳しく説明しますが、ごく簡単に定義すればモニターは「見るためのもの」で、テレビは「映し出すためのもの」だと言えるでしょう。

モニター:「監視」に使うディスプレイ

モニター(Monitor)は、監視、観測、忠告という意味の英単語です。よってコンピュータの分野では、何かを監視・観測、可視化・表示するシステムのことをモニターと呼び、テレビのように単に映像を映し出すような場合はモニターとは呼びません。しかし一般的には、映像を映し出すディスプレイ装置を指すことが多いでしょう。

一方、「ゲーミングモニター」という言葉もあります。これはコンピュータ上でゲームをする人に適したディスプレイ装置のことで、画面上でいろいろな情報を追跡・監視をすることからモニターという表現を使っているのです。つまり、ディスプレイ上で何らかのチェック行為やモニタリングを行えば、その装置はモニターになる、と言えるでしょう。

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