
UNIXとLinuxの違いは?両者の特徴とWindowsやMacとの関係、歴史などを雑学好きライターがわかりやすく解説
- UNIXとLinuxは「OS」の一種
- OSとは何か?
- UNIXとLinuxの違いをざっくり解説
- UNIX:最古にして現役のOS
- Linux:UNIXを参考にして作られた気軽に使えるOS
- UNIXとLinuxの関係は?
- Linuxは「UNIX互換性OS」と言われている
- UNIXからLinuxへシステムを移行することができる
- UNIXとLinuxのコマンドの違いは?
- コマンドとは
- UNIXとLinuxのコマンドは同じものが多い
- UNIXとLinuxはMacやWindowsとどんな関係?
- UNIXとLinuxはWindowsとほぼ無関係
- UNIXはMacと関係が深い
- UNIXとLinuxの歴史は?
- UNIXとLinuxの歴史
- UNIXを参考に作られたのがLinuxで、両者はかなり似通っている
この記事の目次

ライター/ねぼけねこ
法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。
UNIXとLinuxは「OS」の一種
UNIXとLinuxの違いを説明する前に踏まえておきたいのが、両者ともコンピューターの「OS」の一種であるということです。どちらもOSではあるものの、それぞれ違った特徴を持っています。では、OSとは一体何でしょうか。
OSとは何か?
OSとは、Operating System(オペレーティングシステム)の略称です。パソコンのもっとも基本的と言える機能を制御するソフトウエアにあたり、このため「基本ソフトウエア」と呼ばれることもあります。例えば私たちがよく使うキーボードやマウス、それにタッチパネルなどから入力された情報を、アプリケーションに伝えるというのがその役割です。
こうしてコンピュータのシステム全体を管理してくれているのがOSで、パソコンもスマートフォンも、ハードウエアの操作のためにはこのOSの存在が絶対に欠かせません。パソコンの司令塔的な存在だと言えるでしょう。
比喩として、よく「OSは脳、パソコン本体は体」と例えられることがあります。そこまで言われるほどOSはパソコンにとって重要な存在で、「体」にあたるCPU、メモリ、ハードディスク、キーボード、周辺機器などなどのハードウエア全てを管理しているのです。
OSの種類としてよく知られているものを挙げるなら、やはりWindowsとMac osでしょう。またスマートフォンやタブレットならAndroid osやiOSがこれにあたります。
UNIXとLinuxの違いをざっくり解説
UNIXとLinuxが、いずれもコンピュータの「脳」あるいは「司令塔」にあたる存在であることは分かったと思います。では、同じOS同士であるUNIXとLinuxですが、両者には具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
UNIX:最古にして現役のOS
UNIX(は、いま世の中に存在するOSの中でも最も古いものです。しかし古いとはいえ、開発分野の最前線で活躍している、いわば古参の大ヴェテランにあたります。
UNIXの大きな特徴は、ネットワーク機能に特に優れており、しかも安定性も高いという点です。よって、大型計算機やネットワークサーバーなど、長時間動かさなければならないコンピューターによく使用されています。
「UNIX」は特定の業界団体(TOG)が商標権を所有しており、この団体が定めた仕様を満たしているOSだけが、「UNIX」を名乗ることができるのです。
認証されたUNIX以外にも、操作感や振る舞い、仕様がよく似たOSは多くあり、それらは「UNIX系」あるいは「UNIX-like」などと呼ばれます。このことについては、別項でさらに詳しく説明しましょう。
Linux:UNIXを参考にして作られた気軽に使えるOS
Linuxは、UNIXを参考に作られたUNIX系OSで、多くの企業などのサーバーやパソコン、スマートフォンで使われています。例えば、スマートフォンのAndroidなどはLinuxをベースとして開発されました。
その最も大きな特徴は「フリーソフトウェアとして公開されている」点にあります。誰でも自由に開発・入手・使用から改変・再配布まで行うことができるのです。また性能が低いコンピューターでも軽快に動作するという利点があり、この点は他のOSと比べても際立っています。優れた安定性を持ち、ネットワークやセキュリティに関する高い機能性も特徴的です。

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UNIXとLinuxの関係は?
UNIXは世界のOSの中で最も古く、にも関わらず開発分野で現在も使われている古参のものだと分かりました。一方、LinuxはUNIXを参考に開発されたOSで、誰でも使えるフリーソフトウェア。セキュリティ機能の高さなども特徴的です。
それではUNIXとLinuxの違いを踏まえつつ、改めて双方はどのような関係にあるのかを見ていきましょう。ここからは、少し専門的な内容になります。
Linuxは「UNIX互換性OS」と言われている
LinuxはUNIXとは別物であり、ソースコードも違っています。とはいえ全く無関係でもありません。
UNIXには、UNIX 系の OS同士でアプリケーションの移植性を高めるために、共通の規格として定められた「POSIX」というものがあります。この規格に合致するOSは、UNIX風の仕様や操作感を持ち互換性も高いとして、公式の業界団体であるTOG(The Open Group)から認証を受けて「UNIX互換OS(UNIX-like OS)」と呼ばれるのです。このようなOSは多数存在しますが、Linuxはこの中でも最も有力な存在と言えるでしょう。
UNIXからLinuxへシステムを移行することができる
UNIXからLinuxへシステムを移行させることも可能で、例えばUNIXシステム上で動作するWEB・WAS・DBなどのアプリケーションを、Linux環境のソフトウェアスタックに移したりすることができます。
扱いに慣れている人には、簡単にできそうなプロセスに見えますが、実際にはそれぞれの特性を考慮しながらコンピュータシステムの構造(アーキテクチャ)を設計し、それぞれの階層(レイヤー)に合わせた移行方式を考える必要があるでしょう。
これは相当大がかりな操作になります。UNIXシステム上で動作しているアプリケーションをLinux環境に移行するのであれば、ひと息に行うのではなく段階的に実施する方が現実的ですし、安全です。
UNIXとLinuxのコマンドの違いは?
次に、UNIXとLinuxの「コマンド」の違いについて説明しましょう。コマンドとは、いわば人間がOSに対して与える「命令」のことで、独自の言語体系として成り立っています。

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コマンドとは
コマンドとは、人間がコンピューターに対して与える命令のことです。キーボードなどを使って暗号文のような文字列を入力することで成立します。
このコマンド入力を初めて行う人は、その暗号文のような文字列の種類やそれぞれの持つ意味、そしてオプションなどをマスターするのが非常に難しく感じるでしょう。しかし日常的に使うものは限られていますし、何度も使ううちに意外と身についていきます。
UNIXとLinuxのコマンドは同じものが多い
エンジニアとして仕事をしていくなら、UNIXとLinuxに関係する知識やコマンドの入力方法を身に付けることは、避けて通れない道になるでしょう。
Linux のコマンドはGNUコマンドと呼ばれています。GNUとは「GNU is Not Unix」の頭文字を並べたもの。もともとLinuxには、デバイス制御用のドライバーやユーザーインターフェース、各アプリケーションソフトなどのプログラムは含まれていません。このため、有志によってプログラムが集められ、必要に応じて実用的な環境を構築できるようにまとめられています。こうした作られた総合ソフトウェアシステムがGNUです。
このように、もともとのUNIX コマンドにGNU独自の機能を追加したものがLinuxのコマンドなのです。よって、コマンドそのものはUNIXもLinuxもほぼ同じに見えるのですが、コマンドオプションが違うのはすぐに分かるでしょう。
UNIXとLinuxはMacやWindowsとどんな関係?
UNIXとLinuxはそれぞれパソコンの「脳」にあたるOSですが、では、よく使われているWindowsやMacとはどのような関係にあるのでしょうか。
UNIXとLinuxはWindowsとほぼ無関係
UNIXとLinuxは、Windowsとはほぼ無関係です。少し細かい歴史になりますが、Windows発売に先駆けて、MicrosoftはMS-DOSというOSを発売していました。しかし1984年にAppleから、2代目のMacintosh(Macintosh 512K)が売り出されるとユーザーの人気はそちらに集中。2代目Macintoshに、マウス操作が主体となったGUIが実装されていたのがその理由でした。
ちなみにGUIとはGraphical User Interfaceの略称で、コンピューターの画面上に表示されるウィンドウやアイコンなどを使い、マウスなどで操作できるようにする媒介機器のことです。
この状況を踏まえたMicrosoftが、新たに開発したのがWindowsでした。この時のMicrosoftが特に重視したのも、やはりグラフィカルベースの画面操作で扱うことができるGUIの必要性だったのです。開発の現場で、マウス操作というものの重要性がはっきり認識されるようになったのはここからでした。
そしてWindowsが台頭したことで、Apple社は独自OSのMS-DOSの開発を断念し、UNIXベースで開発を進めることにしたのです。

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