今回はプログラミング言語であるC言語とC++について説明します。どちらもプログラミング開発には欠かせず、特にC言語は基本かつ最重要。さらにC++はC言語の発展形で、両者を使いこなせるエンジニアなら開発の場面で引っぱりだこになること請け合いです。エンジニアを目指したいが、両者の違いやどちらを学ぶべきかが分からない……という人向けに、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

C言語とC++の違いをざっくり解説

はじめに、C言語とC++の違いをざっくり説明します。両者は全く違うものですが、誕生した経緯や使われ方などにおいて、深い関係にあると言えるでしょう。

C言語:特に知名度の高いプログラミング言語

C言語は、プログラミング言語として1972年に開発されました。C言語によるプログラム実行を行うには、ソースコードを作成後、「コンパイル」と呼ばれる機械語に変換して実行する必要があることから、「コンパイル型汎用プログラミング言語」と呼ばれることもあります。

C言語はコンピューターに特化したプログラミングを行うため、コンパクトかつ処理速度が早さが特徴的。特に使われることが多いのは組込系の現場や人工知能、ハードウェアやサーバのプログラム開発の分野です。

歴史のある言語ですが、今でも多くのシステムで使われており、未だに高い人気を誇っています。

C++:C言語がパワーアップしたプログラミング言語

1983年に「C言語の拡張版」として開発されたのがC++(シープラスプラス)で、日本では略して「シープラプラ」や「シープラ」とも呼ばれるプログラミング言語です。「オブジェクト指向」が追加されるなど、C言語よりも開発効率がよくなるよう工夫されています。

また、C言語との互換性も大きな特徴のひとつです。このためC++とC言語は、ソフトウェアの開発ではしばしば一緒に使われます。

C言語とC++はどう使い分けられている?

C言語は、主としてOSの作成や組み込み系の開発に、またC++はスマホアプリやWebアプリなどの開発にそれぞれ使われています。両者の使い分けの実状を説明しましょう。

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C言語は、OSの作成や組み込み系の開発に用いられる言語です。

C言語は人工知能・ハードウェア・プログラム開発などで使われる

開発されたもので代表的なものとしてWindowsのOSを挙げることができますし、他に開発の場面でC言語が採用されているものとして、macOS XやLinuxカーネルなどもあります。

また、C言語はハードウェアの中でプログラムの制御などに使われる組み込み系ソフトウェアの開発にも用いられており、ロボットや家電製品などのプログラムにも搭載されているという活躍ぶりです。

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C++はスマホアプリやWebアプリの開発などに使われる

C++はC言語の機能を拡張して開発された言語で、主にスマホアプリやWebアプリ・業務システムの開発に使用されています。代表的なものとしては、「Google Chrome」やゲーム開発に使われる「Unreal-Engine」などです。

C#というプログラミング言語もある

C言語やC++とよく似たもので、勘違いされやすいのが「C#(しーしゃーぷ)」。これはMicrosoft社が2000年に発表したプログラミング言語で、名前が似ているのでC言語やC++から派生したプログラミング言語と思われがちですが、全く別物です。

C#は「C++」と「Java」をもとに作られたプログラミング言語で、両者の分かりやすい部分や便利な部分をいいとこ取りしたものと言えます。文法や構文はC++とよく似ていますが、C言語やC++と比較すると、さまざまな制限や改良が加えられているのが分かるでしょう。

C++はC言語との間に互換性がありますが、C#はどちらとも互換性がなく、一緒に使うことはできません。Windows向けのアプリケーションや、マイクロソフト製品と連携するシステム開発に適しています。

C言語とC++の関係は?

C言語とC++は異なるプログラミング言語ではありますが、C言語の欠点を改善したものがC++で、しかも高い互換性があることから、開発現場ではしばしば一緒に使われています。両者の関係について詳しく説明しましょう。

C言語が改善されたものがC++

C++は、C言語の弟のようなものです。C言語を使うととても軽快に動作するアプリケーションやプログラムを作れますが、たくさんのコードを書く必要があります。C++はこの点が改善されたものです。

同じプログラムを作るとしても、C++を使えばC言語よりも少ないコード量で済みます。オブジェクト指向という特徴を活かして、C言語では難しいようなプログラムも組むことが可能なのです。

ただ、C言語の知識がなければC++を使うことはできないので、プログラミングやコンピュータ関係の専門知識も学んでいないと、使うのは難しいでしょう。

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C言語とC++は互換性があり変換も可能

C++はC言語の拡張版として開発されたものなので、C 言語とは互換性があります。C 言語のソースファイルを C++ 言語としてコンパイルしても、ほとんどの場合は問題なく使うことができるでしょう。

よって、C言語で実行されているプログラムはC++でも実行可能ですし、ソフトウェア開発で両者を同時に用いることも可能です。また、C言語で作られたプログラムをC++に移行するなどの柔軟な使い方もできます。

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C言語とC++は相互に呼び出し合うことができる

C++関数からC関数を呼び出すのは簡単で、一般的にもよく行われています。例えば、C++で書かれたプログラムがsqrなどの標準Cライブラリーを利用する時には、自動的にC++関数からC関数への呼び出しが行われるのです。

C関数からC++関数を呼び出す操作は、X-Windowのコールバック関数を書く場合などに必要になります。

C言語の特徴は?

改めて、C言語にはどのような特徴があるのでしょうか。処理速度の速さや習得難易度の観点から説明します。

C言語は処理速度が速い

C言語の強みは、第一に「処理速度の速さ」にあります。コンピュータに近い言語を使ってプログラミングを行うので、コンパクトかつプログラムの実行スピードも速いのです。

またコンパイル方式であるC言語は、プログラムの実行時、全てのソースコードを翻訳機がコンパイルします。インタプリタ方式の言語などと比べて、処理の実行速度はもっと速いと言えるでしょう。

C言語は難易度が高い

C言語は「ポインタ」の概念を理解するのが難しく、またメモリの管理も必要なこともあり、学習・習得難易度はとても高いと言えます。よって挫折する人も多いのですが、OSの開発や組み込み式の機械のプログラムを作るのであれば知識としては絶対に必要です。

C言語の開発スキルがあれば、プログラム開発の現場では重宝されるでしょう。デスクトップアプリの作成にはC言語の発展形であるC++がよく使われるので、C言語自体に常に一定のニーズがあるのです。

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C++の特徴は?

C++の特徴はどのような点にあるのでしょうか。その出自やC言語との関係などの観点から、改めて整理します。

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C++はC言語が進化したもの

もともと、C++はC言語の機能の拡張版として1983年に開発されたもので、C言語と同様にコンピュータを早く動かせるという特徴を持っています。また、C言語よりも効率良くプログラミングができるのが大きな長所です。

C++はC言語と互換性があり生産性も高い

C言語とC++は互換性が高いので、同時使用が可能です。C言語で実行できるプログラムならC++でも実行することができますし、開発の場面で両者を同時に使うこともできます。

さらに、C言語で開発されたプログラムをC++に移行することも可能なことから、C++とC言語の双方を使いこなすことができれば、非常に高い生産性を実現することができるでしょう。

C++はC言語よりも難易度が高い

C++の習得難易度はC言語よりもさらに高いです。学習コストもかかることから、C++を使えるエンジニアの人数は、需要に対してまだまだ少ないと言えるでしょう。

ただ、高い保守性を持ち高速でコンパクトなプログラムを実現できるC++は、スマホアプリ・業務系システム・Webアプリなど様々な分野での開発に活用が利きます。C++が使えるエンジニアは各方面で重宝され、転職もしやすいですし将来性は高いと言えるでしょう。

C言語のパワーアップしたプログラム言語がC++で、C++はC言語をほぼカバーできるが難易度も高い

C言語はプログラミングを学ぶ上で基本となる、いわば「古典」にあたるプログラミング言語です。それでいながら学習・習得難易度は高く、さらにその発展型であるC++となると、学ぶのに大変苦労することでしょう。

しかし高い互換性を持つ両者をマスターすれば、エンジニアとしての将来は約束されたも同然。エンジニアになりたいという方は、両者を身に付けた「二刀流」を目指してみてはいかがでしょうか。

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IT・プログラミング雑学

C言語とC++は何が違う?呼び出しや変換は可能?双方の特徴や難易度について雑学好きライターがわかりやすく解説

今回はプログラミング言語であるC言語とC++について説明します。どちらもプログラミング開発には欠かせず、特にC言語は基本かつ最重要。さらにC++はC言語の発展形で、両者を使いこなせるエンジニアなら開発の場面で引っぱりだこになること請け合いです。エンジニアを目指したいが、両者の違いやどちらを学ぶべきかが分からない……という人向けに、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

C言語とC++の違いをざっくり解説

はじめに、C言語とC++の違いをざっくり説明します。両者は全く違うものですが、誕生した経緯や使われ方などにおいて、深い関係にあると言えるでしょう。

C言語:特に知名度の高いプログラミング言語

C言語は、プログラミング言語として1972年に開発されました。C言語によるプログラム実行を行うには、ソースコードを作成後、「コンパイル」と呼ばれる機械語に変換して実行する必要があることから、「コンパイル型汎用プログラミング言語」と呼ばれることもあります。

C言語はコンピューターに特化したプログラミングを行うため、コンパクトかつ処理速度が早さが特徴的。特に使われることが多いのは組込系の現場や人工知能、ハードウェアやサーバのプログラム開発の分野です。

歴史のある言語ですが、今でも多くのシステムで使われており、未だに高い人気を誇っています。

C++:C言語がパワーアップしたプログラミング言語

1983年に「C言語の拡張版」として開発されたのがC++(シープラスプラス)で、日本では略して「シープラプラ」や「シープラ」とも呼ばれるプログラミング言語です。「オブジェクト指向」が追加されるなど、C言語よりも開発効率がよくなるよう工夫されています。

また、C言語との互換性も大きな特徴のひとつです。このためC++とC言語は、ソフトウェアの開発ではしばしば一緒に使われます。

C言語とC++はどう使い分けられている?

C言語は、主としてOSの作成や組み込み系の開発に、またC++はスマホアプリやWebアプリなどの開発にそれぞれ使われています。両者の使い分けの実状を説明しましょう。

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C言語は、OSの作成や組み込み系の開発に用いられる言語です。

C言語は人工知能・ハードウェア・プログラム開発などで使われる

開発されたもので代表的なものとしてWindowsのOSを挙げることができますし、他に開発の場面でC言語が採用されているものとして、macOS XやLinuxカーネルなどもあります。

また、C言語はハードウェアの中でプログラムの制御などに使われる組み込み系ソフトウェアの開発にも用いられており、ロボットや家電製品などのプログラムにも搭載されているという活躍ぶりです。

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