この記事では保障と補償と保証の違いについてみていく。3つとも「ほしょう」と読む言葉ですが、どれも守ってくれたり、安全なんかのイメージがあるよな。違いはずばり損害の有無にあるようですが、これら3つの「ほしょう」は生命保険や損害保険といった重要書類にも多く使われる言葉のため、それぞれの意味や使い方を正しく理解しておく必要があるんです。
今回は私たちが生きるのに欠かせない3つの「ほしょう」の違いを、使用例を交えながら、小説家兼ライターのさらささらと一緒に学んでいきます。

ライター/さらささら

少女向け小説家兼ライター、神社や名所を訪ねるのが趣味。お話のネタにするため様々な雑知識を集めました。わかりやすい言葉で説明する。

広辞苑で見る「保障」と「補償」と「保証」の違いとは?

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「ほしょう」という言葉には、漢字で「保障」、「補償」、「保証」の3つの書き方があります。どれも似たイメージを持つ言葉ではありますが、これらの「ほしょう」は"同音異義語"と呼ばれるものです。

そこで、本記事では広辞苑や英語を確認しつつ、例文を交えながら「保障」、「補償」、「保証」それぞれの意味や用法の違いを調べてみたいと思います。

「保障」の意味と英語表現

「保障」とは、権利・自由・安全など、地位や権利などを保護して損害を与えないという意味です。不安や危害が起きないよう責任をもって請け負い、ある状態が損なわれないよう保護します。英語での表現は「security(安全);guarante(保障)」です。

ほ‐しょう【保障】‥シヤウ
①小城ととりで。
②ささえ防ぐこと。
③障害のないように保つこと。侵されたり損なわれたりしないように守ること。「老後の生活を―する」「安全―」
⇒ほしょう‐せんりょう【保障占領】

(出典:広辞苑無料検索,https://sakura-paris.org/dict/%E5%BA%83%E8%BE%9E%E8%8B%91/prefix/%E4%BF%9D%E9%9A%9C)

「補償」の意味と英語表現

「補償」には、損が生じた場合にその分を埋め合わせをするために、補(おぎな)い+償(つぐな)うという意味があります。英語での表現は「indemnification(補償); compensation(補償)」です。

ほ‐しょう【補償】‥シヤウ
①損害や出費を金銭などでおぎないつぐなうこと。「災害―」「―金」
②〔心〕(Kompensation ドイツ)身体や精神について劣等感を持つ時、これをおぎなおうとする心の動き。防衛機制の一つ。アドラーの用語。
⇒ほしょう‐てん【補償点】

(出典:広辞苑無料検索,https://sakura-paris.org/dict/%E5%BA%83%E8%BE%9E%E8%8B%91/prefix/%E8%A3%9C%E5%84%9F)

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「保証」の意味と英語表現

「保証」とは、間違いなく大丈夫である+確かであると、人や物に対して責任を請け負う意味です。

保証は英語で「warranty(保証)」を使いますが、他にも「assurance; security; undertaking; guarantee;  surety」があります。前述した保障の「security(安全); guarantee(保障)」の2つが被りますね?「security」は保障や保証など安全に関する意味を持ち、「guarantee」は保証の意味合いが強い単語のため、文脈によっては2つのどれかを使うそうです。

ほ‐しょう【保証】
①大丈夫だ、確かだとうけあうこと。「人柄を―する」
②〔法〕保証債務を負担すること。

(出典:広辞苑無料検索,https://sakura-paris.org/dict/%E5%BA%83%E8%BE%9E%E8%8B%91/content/18116_1946)

保険や金融など社会生活ではどう分けられているの?

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ここまで簡単ではありますが、「保障」、「補償」、「保証」それぞれの意味を記載致しました。次からは、実際この3つがどのように分けられ使われているのかを、保険などの専門分野を交えながら調べてみたいと思います。

政府や保険に約束され守られる「保障」

「保障」とは、脅威に侵されたり損なわれたりしないよう保つと約束し、守られることです。

例えば、生命保険会社が取り扱う保険商品に「死亡保険(終身保険)」や「ガン保険」などがありますね。もし「ガン保険」を契約した場合、「日額最大〇万円まで保障」や「最新医療費も保障」などの使い方をします。

また、政府による生活の保障などがあげられるでしょう。「人権保障」、「社会保障」、「安全保障」のように、地位や権利などに害が及ぼさない保護して損害を与えないという意味です。

つまり、「保障」とは保険や政府(国)などによって約束されたことに関する言葉に使います。

公的機関が金銭的支援をする「補償」

「補償」とは、「補って償う」=「損害を(お金などで)補填する」ことです。

保険(会社)の場合、「自動車保険」など「損害保険」における補償プラン、「火災保険」に付帯する台風など自然災害に関する「水災補償」などがあげられるでしょう。

国など政府関連の場合は社会的不況や自然災害などに使われますが、今ならコロナ禍の「休業補償」や「補償金」などが該当しますね。

つまり、「補償」とは人々や企業などが受けた金銭的被害に対し、国や公的機関が金銭的支援(補填)を行うときに使う言葉です。

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年金や品質は「保証」

「保証」とは、確かに大丈夫だと責任を持つことです。そのため、「年金」のように公的機関が金銭的支援する場合も「補償」ではなく、国や保険会社が"責任を持つ"ので「年金受給の保証期間」のように「保証」の字が使われます(死亡は保障)。

パソコンや家電を購入した際に「保証書」が付きますが、これは「(適正な使い方をすればこの商品は)大丈夫である証」、「購入後、定められた期限内に破損や故障が生じた場合、必ず返金もしくは修理・交換といった形で保証を請け負います」を意味するのです。

また、"人"に対しても使うので、社会生活では「借金の保証人」「彼の実力は保証する」などの使われ方をします。

それぞれの違いをわかりやすく例文で解説!

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この項目では、「保障」、「補償」、「保証」3つそれぞれの例文や解説は以下の通りです。

【保障】
・「社会保障」とは、国が全ての国民に最低基準の生活ができるようにする政策。
・コロナで困窮した家庭に社会保障の「こども給付金」が配られる。
・給与の支払いが保障されている。※金銭関係ですが、損害が生じて補填される「補償」ではありません。
・政府は国家と国民の安全保障を確約する義務がある。
・家のローンは銀行により保障された。
他)安全保障、権利保障、社会保障、身分保障など。

【補償】
・交通事故でケガを負い仕事を休んだが、休業損害補償で保険金が支払われた。
・自動車で他所の門扉を壊したが自動車保険で補償してもらう。
・会社でケガをして休んだが賃金は補償されるので安心だ。
・職場が安全配慮義務を怠りメンタルヘルスの労災補償請求が増えている。
他)災害補償、損害補償、刑事補償、遺族保証など。

【保証】
・テレビの保証書に記載されたメーカー保証は3年だが、量販店の保証期間は5年だった。
・ローンを組む際には両親に頼んで連帯保証人になってもらう。
・銀行などの金融機関と提携し、それらが扱っているローンの責務保証するビジネスが保証事業です。
例)保証金、保証人、身元保証、保証責任など。

【混在した文章】
・ファイナンシャルプランナーに社会保障制度や生命保険の補償内容について相談をする。
・メーカー保証に加えケイタイ補償サービスに加入した。※メーカーが商品(この場合スマホや携帯)に対して「保証」するのではなく、キャリアが損害に対して補填するサービスのため「補償」になります。

同音異義語の3つの「ほしょう」ですが、損害が発生したかを考えながら判断すると分かりやすいかもしれません。

保障=あらかじめ「損害が発生した」際の埋め合わせを取り決め・約束する。
   それにより「保護」し「脅威から守る」こと。
   損害が発生する可能性がある。→損害が発生したら取り決めで対処。

補償=「損害が発生した」ものに対して。
   (金銭などで)「償い、埋め合わせをする」こと。
   損害が発生した。→埋め合わせをする。

保証=「損害が発生しない」と請け負う。
   「(人や物の)品質が確かである・責任を持つ」こと。
   損害が発生しない。→損害が発生したら責任を持つ。

特に「補償」は償いや埋め合わせの意味が強いため、損害が起きた状況に使われることが多い単語です。もし、どの「ほしょう」か悩んだ時は、損害が発生したらどう対応するのか考えてみると良いでしょう。

3つの「ほしょう」は生きるために必要なシステム

今回ご紹介した「保障」と「補償」と「保証」。この3つの「ほしょう」とは、私たちが安全に、安心して暮らす上でなくてはならない存在でしょう。これらを適切に利用したり提供されることで、私たちは大きな損害を小さく抑えることができるのです。難しい、わからないと面倒がらずに、きちんとした「ほしょう」情報を持つ賢い利用者になりましょうね!

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3分でわかる保障と補償と保証の違い!保険には様々なほしょうがある?損害や損失を例にして小説家兼ライターが丁寧にわかりやすく解説!

この記事では保障と補償と保証の違いについてみていく。3つとも「ほしょう」と読む言葉ですが、どれも守ってくれたり、安全なんかのイメージがあるよな。違いはずばり損害の有無にあるようですが、これら3つの「ほしょう」は生命保険や損害保険といった重要書類にも多く使われる言葉のため、それぞれの意味や使い方を正しく理解しておく必要があるんです。
今回は私たちが生きるのに欠かせない3つの「ほしょう」の違いを、使用例を交えながら、小説家兼ライターのさらささらと一緒に学んでいきます。

ライター/さらささら

少女向け小説家兼ライター、神社や名所を訪ねるのが趣味。お話のネタにするため様々な雑知識を集めました。わかりやすい言葉で説明する。

広辞苑で見る「保障」と「補償」と「保証」の違いとは?

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「ほしょう」という言葉には、漢字で「保障」、「補償」、「保証」の3つの書き方があります。どれも似たイメージを持つ言葉ではありますが、これらの「ほしょう」は”同音異義語”と呼ばれるものです。

そこで、本記事では広辞苑や英語を確認しつつ、例文を交えながら「保障」、「補償」、「保証」それぞれの意味や用法の違いを調べてみたいと思います。

「保障」の意味と英語表現

「保障」とは、権利・自由・安全など、地位や権利などを保護して損害を与えないという意味です。不安や危害が起きないよう責任をもって請け負い、ある状態が損なわれないよう保護します。英語での表現は「security(安全);guarante(保障)」です。

ほ‐しょう【保障】‥シヤウ
①小城ととりで。
②ささえ防ぐこと。
③障害のないように保つこと。侵されたり損なわれたりしないように守ること。「老後の生活を―する」「安全―」
⇒ほしょう‐せんりょう【保障占領】

(出典:広辞苑無料検索,https://sakura-paris.org/dict/%E5%BA%83%E8%BE%9E%E8%8B%91/prefix/%E4%BF%9D%E9%9A%9C)

「補償」の意味と英語表現

「補償」には、損が生じた場合にその分を埋め合わせをするために、補(おぎな)い+償(つぐな)うという意味があります。英語での表現は「indemnification(補償); compensation(補償)」です。

ほ‐しょう【補償】‥シヤウ
①損害や出費を金銭などでおぎないつぐなうこと。「災害―」「―金」
②〔心〕(Kompensation ドイツ)身体や精神について劣等感を持つ時、これをおぎなおうとする心の動き。防衛機制の一つ。アドラーの用語。
⇒ほしょう‐てん【補償点】

(出典:広辞苑無料検索,https://sakura-paris.org/dict/%E5%BA%83%E8%BE%9E%E8%8B%91/prefix/%E8%A3%9C%E5%84%9F)

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