カバ
最後にご紹介するのはカバです。大きな体をもつカバは、蹄が4つ。立派な偶蹄類の仲間になります。
カバは草食性ですが、ウシなどとは違い反芻を行いません。日中のほとんどの時間を水中ですごすことなど、偶蹄類の中では独特の生態がみられる動物です。
分類学上の偶蹄類=偶蹄目?
では最後に分類学のお話を少ししましょう。
以前まで「偶蹄類というのは、哺乳綱偶蹄目という分類群の動物です」ということができました。しかし、最近は偶蹄目という分類群自体がみなおされ、鯨偶蹄目(げいぐうていもく)という新しい分類群を考える説が有力になっているんです。
そのとおりですね。DNAの塩基配列などに基づいて分類を見直したところ、クジラの仲間と偶蹄類を一つの目としてまとめることができそうだ、という説が提唱されたのです。
偶蹄目という分類群の名称がいまだに使われることもありますが、やはりクジラの仲間をふくめるのであれば、鯨偶蹄目という呼び名の方がわかりやすいでしょう。
もちろん、クジラなどの海生哺乳類では蹄がありませんから、今回はあくまで「蹄の数に基づいた、以前までの”偶蹄目”」を偶蹄類としてご紹介しました。
ほかにもいるぞ!偶蹄類
今回ご紹介した生物以外にも、偶蹄類の動物は存在します。ラクダやリャマ、アルパカ、ジャコウジカにプロングホーン…有蹄類の中でも、偶蹄類は種類が多いのです。多様な姿をした種をふくんでいることが、今回の解説でお分かりいただけたかと思います。
偶蹄類の仲間には、動物園や牧場で飼育されているものが少なくありません。ぜひ一度、その姿や足元をじっくりと観察してみてください。
イラスト提供元:いらすとや