端的に言えば半畳を打つの意味は「からかったり、やじったりする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
塾講師を経験したナギセを呼んです。一緒に「半畳を打つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/ナギセ
塾講師経験のあるライター。もちろん国語も教えた経験あり。国語好きを生かし、楽しく解説する。
「半畳を打つ」の意味は?
「半畳を打つ」には、次のような意味があります。
芝居で見物人が役者の芸に不満なとき、敷いている半畳を舞台に投げ入れる。転じて、他人の言動に非難やからかいの言葉をかける。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「半畳(はんじょう)を入(い)れる」
なかなか聞かない表現だと思います。「半畳を打つ」と「半畳を入れる」は同じ意味です。「半畳を言う」という言い方がされることもあります。
「半畳を打つ」の語源は?
次に「半畳を打つ」の語源を確認しておきましょう。
「半畳」とは江戸時代に芝居小屋の土間で観客が使った小さなござのことです。観客たちは、役者の芸に不満があると、自分の敷いている「半畳」を舞台に投げました。そこから、この慣用句が生まれたようです。
現代でも相撲の試合で座布団を土俵に投げることがありますが、主に、番狂わせの勝負の際に投げられています。また、「半畳」にはほかの意味もあり、畳一畳の半分という文字通りの意味もありますよ。
「半畳を打つ」の使い方・例文
「半畳を打つ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.大学での表彰式に出た友人のスピーチに半畳を打つ。
2.反感を買いそうだなと思って聞いていた総理大臣の答弁に、案の定野党は半畳を打っていた。
3.「まじめにやっているんだから、あんまり半畳を打っちゃあ、かわいそうよ。」
1の例文はからかい、2の例文は非難といったニュアンスで作成しました。3の例文はどちらともとれますね。あまり使われない表現なので、ぜひ積極的に使うようにして覚えていきましょう。
その1「やじる」
他人の言動に、大声で非難やひやかしの言葉を浴びせかけるという意味の言葉です。漢字では、「野次る」・「弥次る」と書きます。
「野次」というのは「野次馬」を略したものです。「野次馬」の語源は「親父馬」だというからおもしろいですよね。
1.「そんなにやじってばっかなら見なきゃいいのに。」
2.口汚くやじっている人を見ると、さすがに気分が悪くなる。
3.彼らはまるでやじることが生きがいかのようだ。
その2「茶化す」
まじめな話を冗談めかしてしまうという意味の言葉です。他に、一杯くわせる、だますといった意味もあります。
「茶」には、さほど重要でないものというニュアンスが含まれており、「茶と化す」と書くことで、物事を重要でないものに変化させるという意です。
1.「もう、茶化さないでよ。」
2.夢があるが熱く語るのは自分のキャラクターに反すると思い、つい茶化しながら話してしまう。
3.場の空気が重くなるのが嫌で、茶化してしまった。
その3「おちょくる」
からかう、ばかにするという意味の言葉です。「ちょうくる」という語が音変化し「ちょくる」→「おちょくる」となったのではないかと言われています。よく使う言葉ですが、意外と語源は知らないものですよね。
1.「おちょくるのはやめてくれ。」
2.卒業式で号泣している友人をおちょくっていたが、自分もなんだか泣きたくなった。
3.「人のことおちょくってないで、自分のことを真剣に考えなさい。」
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