端的に言えば肩を叩くの意味は「凝りをほぐすために肩を打つ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
塾講師を経験したナギセを呼んです。一緒に「肩を叩く」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/ナギセ
塾講師経験のあるライター。もちろん国語も教えた経験あり。国語好きを生かし、楽しく解説する。
「肩を叩く」の意味は?
「肩を叩く」には、次のような意味があります。
1.凝りをほぐすために肩を打つ。
2.上役が退職を勧める。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「肩(かた)を叩(たた)く」
1の意味なら皆さんよく知っているかと思います。ほんわかした光景が目に浮かぶ、そんな言葉です。
しかし、2の意味はどうでしょう。退職を勧められるなんて恐ろしいですよね。2の意味にはやんわりと勧告するというニュアンスが含まれています。やんわりと言われるのは、はっきり言われることよりある意味辛いかもしれません。
肩叩きする、という言い方でも同じ意味になりますので、合わせて覚えておきましょう。
「肩を叩く」の語源は?
次に「肩を叩く」の語源を確認しておきましょう。
肩を叩くというのはそこから何か話しかける合図になります。肩をポンポンと叩いてくれるというのは、わざわざ相手の近くまで来てくれていることを表しており、相手への寄り添いが見られるのです。そこから、やんわりと退職を促すことにつながったのでしょう。
「肩を叩く」の使い方・例文
「肩を叩く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.「お仕事お疲れ様。」と言って娘が肩を叩いてくれた。
2.会社の同期の誰かが肩を叩かれたようだ。
1の例文は子が親の肩を叩き、疲れを癒してあげている様子がうかがえます。微笑ましい場面ですね。
2の例文は自分たちの同期の誰かがクビを宣告されたという意味で、「肩を叩く」を使っています。
その1「解雇する」
使用者側から雇用契約を解除すること、首にすることを指す言葉です。聞いたことのある方がほとんどでしょう。雇っている状態を解く、と書きます。わかりやすいですよね。
1.問題を起こした教師を解雇する。
2.仲の良かった外国人女性が解雇されてしまった。
3.あれだけのキャリアがありながら、彼女はなぜか解雇されてしまい、とても残念だ。
その2「リストラする」
退職させることや人員整理のことを指す言葉です。リストラとは、リストラクチュアリングの略になります。リストラクチュアリングとは、構造を改革することです。特に企業が不採算部門を切り捨て、将来有望な部門へ進出するなど、事業内容を変えることをいいます。
ここから転じて、人員整理にも使われるようになったようですね。
1.この不景気で何人もの男性社員がリストラされてしまった。
2.何人かリストラする可能性がある。
3.突然リストラされてビックリしている。
その3「レイオフ」
不況による操業短縮などに際し、余剰となった従業員を景気回復後に再雇用する条件で一時解雇する制度のことです。再雇用する条件がつくことが「肩を叩く」とは異なっています。
1.突然レイオフされてショックを受ける。
2.ついにわが社でもレイオフを検討せねばならなくなってきた。
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