この記事では「掌を返す」について解説する。

端的に言えば掌を返すの意味は「簡単である・態度が急変する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「掌を返す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「掌を返す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「掌を返す」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「掌を返す」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「掌を返す(たなごころをかえす)」の意味は?

「掌を返す」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.物事がたやすくできることのたとえ。「—・すよりやさしいわざ」
2.簡単に態度や考え方などが変わることのたとえ。手のひらをかえす。「—・したように態度を変える」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「掌を返す」

「掌を返す」は、物事が容易にできる例え、または簡単に態度・考え方が変わる例えを意味している慣用句です。意味が二種類存在している言葉となっているため、どちらの意味で使われているか、文脈から判断していきましょう。容易であるという例えは、現在はあまり使われていない古風な意味です。

現在は主に人の態度・意見が急変する意味で使われています。また読み方には、たなごころを返す・てのひらを返す・しょうを返すと3種類あり、書き方も手の平を返すと、複数存在しているため注意が必要です。この機会にしっかりと意味を覚え、日本語の語彙力を高めていきましょう。

「掌を返す」の語源は?

次に「掌を返す」の語源を確認しておきましょう。掌を返すは、「掌を返すが如し」「掌を返すよりも易し」といった形で、物事が容易であることの例え・態度や考えがあまりにも簡単に変化することの例えとして、非常に古くから使われている表現です。この慣用句は、1172年の書物「玉葉」にも登場しています。

物事が容易にできることのたとえ、という意味では、現在はあまり使われていません。また「たなごころをかえす」という読み方も古風な言い回しとなっています。現在は主に「手のひらを返す」として、人の態度や意見が簡単に変わる様子を指して使われている表現です。こちらも覚えておきましょう。

\次のページで「「掌を返す」の使い方・例文」を解説!/

「掌を返す」の使い方・例文

「掌を返す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.この手の作業は自分にとって、掌を返すよりも簡単だ。
2.態度の悪かった店員が、私がこの店の社長だと気づくと、掌を返すように態度を変えた。
3.ここ数日間続いた快晴から、掌を返すが如く、雷雨に見舞われた。

「掌を返す」は例文のように、物事が容易にできることの例え、または態度・事態がそれまでの状態から急変することの例えとして言います。使用方法に二種類あるため、どちらの意味で使われているか、文脈から都度判断していきましょう。書籍・新聞等の文章中、また口語においても使われています。

言い回しは、古い場合には「たなごころをかえす」といい、現在は「てのひらをかえす」が一般的です。また書き方についても、現在は「手のひらを返す」、または「手の平を返す」と書かれることが多いですね。こちらの点についてもあわせて覚えておきましょう。

「掌を返す」の類義語は?違いは?

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続いて「掌を返す」の類義語・違いについて確認していきましょう。「掌を返す」の類義語をいくつかピックアップしました。関連するよく似た表現との違いを確認することで、「掌を返す」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「豹変(ひょうへん)」

「豹変」はがらりと態度を変えることを意味する単語です。こちらは態度がそれまでと打って変わって急変することを意味する言葉となっており、「掌を返す」の簡単に態度が変わる意味と似た意味をもった類義語となっています。物事が容易であること、という意味はない点に注意していきましょう。

\次のページで「その2「急変」」を解説!/

その2「急変」

「急変」は状況・状態が急に変化することを意味する言葉です。こちらはそれまでの状況・状態から、別の状況・状態に突然変化する様子を指す言葉となっており、「掌を返す」とよく似た意味をもった類義語となっています。物事が容易であるという意味はない点など、細かい意味の違いに注意していきましょう。

その3「朝飯前(あさめしまえ)」

「朝飯前」は容易である、という意味の言葉です。朝食を取る前のわずかな時間でできるほど容易である、という意味の例えとなっており、「掌を返す」の物事が容易であることの例え、という意味と似た意味をもった類義語となっています。態度・考えが豹変するという意味はない点に注意していきましょう。

その4「転向(てんこう)」

「転向」はそれまでの方向・立場・職業などを変えることを意味する言葉です。それまでとは違った態度・考えを変えることを意味する言葉となっており、「掌を返す」と少し似た意味をもった類義語となっています。それぞれの意味・用法の違いに注意して、使い分けていきましょう。

「掌を返す」の対義語は?

つづいて「掌を返す」の対義語についても確認していきましょう。「掌を返す」には明確に対義語とされている語はありません。しかしその意味から連想してみると次の単語が思い浮かびます。

「強情(ごうじょう)」

「強情」は意地を張り、なかなか自分の考えを変えようとしないことを意味する言葉です。「掌を返す」は簡単に態度・意見・考えを変えてしまうことを意味する言葉となっていましたが、こちらは固く自分の考えを変えようとしないことを意味する言葉となっています。対義語としてこちらも覚えておきましょう。

「掌を返す」の英訳は?

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つづいて「掌を返す」の英語訳についても確認していきましょう。

\次のページで「「to change one's attitude abruptly」」を解説!/

「to change one's attitude abruptly」

「to change one's attitude abruptly」は、急に意見を変えるという意味をもった英フレーズです。日本語の「掌を返す」が持っている、人の態度・考えが急変するという意味を表現することができる英語表現となっています。こちらは物事が容易であることの例え、という意味がない点に注意が必要です。

「掌を返す」を使いこなそう

この記事では「掌を返す」の意味・使い方・類語などを説明しました。「掌を返す」は物事が容易であることの例え、または態度・考えが簡単に変わることの例え、という意味をもった慣用句でした。読み方・書き方が複数あるだけでなく、意味も二種類あるため注意して覚えておきましょう。

また類義語には「豹変」、「急変」、「朝飯前」、「転向」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

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【慣用句】「掌を返す」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「掌を返す」について解説する。

端的に言えば掌を返すの意味は「簡単である・態度が急変する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「掌を返す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「掌を返す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「掌を返す」の意味や語源・使い方を一覧でご紹介していきます。またその他「掌を返す」は分類としては日本語の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「掌を返す(たなごころをかえす)」の意味は?

「掌を返す」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。こちらの引用をまず確認していきましょう。

1.物事がたやすくできることのたとえ。「—・すよりやさしいわざ」
2.簡単に態度や考え方などが変わることのたとえ。手のひらをかえす。「—・したように態度を変える」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「掌を返す」

「掌を返す」は、物事が容易にできる例え、または簡単に態度・考え方が変わる例えを意味している慣用句です。意味が二種類存在している言葉となっているため、どちらの意味で使われているか、文脈から判断していきましょう。容易であるという例えは、現在はあまり使われていない古風な意味です。

現在は主に人の態度・意見が急変する意味で使われています。また読み方には、たなごころを返す・てのひらを返す・しょうを返すと3種類あり、書き方も手の平を返すと、複数存在しているため注意が必要です。この機会にしっかりと意味を覚え、日本語の語彙力を高めていきましょう。

「掌を返す」の語源は?

次に「掌を返す」の語源を確認しておきましょう。掌を返すは、「掌を返すが如し」「掌を返すよりも易し」といった形で、物事が容易であることの例え・態度や考えがあまりにも簡単に変化することの例えとして、非常に古くから使われている表現です。この慣用句は、1172年の書物「玉葉」にも登場しています。

物事が容易にできることのたとえ、という意味では、現在はあまり使われていません。また「たなごころをかえす」という読み方も古風な言い回しとなっています。現在は主に「手のひらを返す」として、人の態度や意見が簡単に変わる様子を指して使われている表現です。こちらも覚えておきましょう。

\次のページで「「掌を返す」の使い方・例文」を解説!/

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