この記事では「チューハイ」と「サワー」の違いについてみていきます。どちらも居酒屋のメニューの定番で、炭酸や果汁を用いたアルコール飲料というイメ―ジがあるよな。違いはずばり「ベースになる酒の範囲と割材として加えるもの」のようですが、その線引きは曖昧です。今回はそんな「チューハイ」と「サワー」それぞれの定義や作り方の違い、レモンサワーのレシピなどをお酒大好きライターSadaieと一緒に解説していきます。

ライター/Sadaie

プログラマー、ヘルプデスク経験者。パソコン関係以外では文学、歴史が好き。それらの知識をわかりやすいかたちで配信したいと考えている。大のお酒好き。

似ているようで、本来の定義は全然違う!

image by iStockphoto

2つの定義を見ていく前に、もっと大きな「お酒の分類」から見ていきましょう(酒造法上の分類)。お酒の分類は醸造酒、蒸留酒、混成酒の3つに大別されます。蒸留酒は別名スピリッツ。混成酒は別名リキュールです。

醸造酒の代表はビール、ワイン。蒸留酒の代表はジン、ウォッカ。混成酒の代表はあまり聞きなじみはないかもしれませんが、ベルモット、キュラソーなどが挙げられます。

今回取り上げる、チューハイやサワーはともに蒸留酒(スピリッツ)をベースにしたお酒という点を覚えておいてください。

焼酎を炭酸水(ソーダ)で割ったチューハイ

「チューハイ」は省略した呼び方であって、正式には「焼酎ハイボール」といいます。焼酎とは、米、麦、芋、黒糖などから造られたスピリッツの一種。

ハイボールとはウイスキーをベースに炭酸水を加えたお酒のこと。

チューハイとはウイスキーベースを、焼酎ベースに変更して炭酸水を加えたお酒を指すのです。

スピリッツに果汁を加えたサワー

次にサワーの定義を見ていきましょう。サワーはスピリッツに果汁を加えたお酒のことを指します。焼酎もスピリッツの一種なので、焼酎を炭酸水ではなく果汁で割ったらサワーに分類されることになりますね。

サワーという言葉はベースも割材も指定されているチューハイに比べて広義だということが分かります。

チューハイとサワーの言葉の由来

「焼酎」は燃えるように胸焼けがするお酒という意味で「焼」が使われており、サワーが果汁で割られる理由は英語の意味そのものから由来します。また、焼酎ハイボールの派生元の「ハイボール」とはなぜそう呼ばれるのかに関しても見ていきましょう。

\次のページで「チューハイはハイボールから派生した」を解説!/

チューハイはハイボールから派生した

ハイボールの語源は諸説あるのですが、一つご紹介します。

開拓使時代のアメリカの鉄道では柱(巻上装置)にボールをくくって、そのボールの位置の上下でGoとStopを合図していました。今でいう信号ですね。運転手は隣の駅の信号を望遠鏡で見ながらウイスキーを飲み、ボールが上に上がったらGoなので、炭酸水でウイスキーを急いで割って飲み干し運転を再開したといいます。

そう、ボールがハイ(High)になったら飲むお酒なのでハイボールになったという訳です。

サワーの由来は「酸っぱい」を意味するを英語の「sour」

サワーは英語では「sour」。「酸っぱい」を意味します。しかし、実際には語源の酸味以外にも砂糖などの甘未も加えられることも多いでしょう。

チューハイとサワーは関東・関西で呼び方が違う?

焼酎に炭酸とレモンを加えたお酒をなんと呼びますか。その呼び方には地域差があり、関東ではレモンサワー、関西ではレモンチューハイと呼ばらることが多いのです。

日本におけるチューハイとサワーの歴史は戦後まで遡り、先に飲まれたのはチューハイ。クセのある焼酎を飲みやすいように炭酸で割ったチューハイが好まれました。その後、関東のとある企業がさらにレモンを加えたものを「ハイサワー」と呼称して売り出した商品が親しまれて、定着していったため呼び方に違いが生まれていったのです。

人気のレモンサワーの簡単レシピをご紹介!

image by iStockphoto

レモンサワーの簡単なレシピを紹介しましょう。

事前に冷やしておいたグラスに氷を入れ、甲類焼酎50g、炭酸水125~130g、最後にレモンの皮1~2切れから絞り果汁を加えて、かき混ぜましょう。この時、かき混ぜすぎると炭酸が飛んでしまうのでゆっくりと行います。

くし切りや輪切りのレモンを添えたり、中に入れるなどして見栄えをよくしましょう。

チューハイとサワーに似たカクテルはどれ?

image by iStockphoto

チューハイとサワーの定義の違いについて理解していただけたかと思いますが、もう一種似たようなお酒に「カクテル」がありますね。実はチューハイもサワーも、この「カクテルの一種」なのです。

カクテルとはそもそも何なのか、チューハイやサワーと似た作り方をするカクテルにはどのようなものがあるか見ていきましょう。

\次のページで「カクテルの語源には諸説ある」を解説!/

カクテルの語源には諸説ある

カクテルはCocktail、雄鶏のしっぽという意味。その語源には諸説ありますが、代表的なものを紹介しましょう。

メキシコの酒場で酒をかき混ぜていた少年に、イギリス人が「その飲み物は何か」と尋ねたところ、少年がかき混ぜるのに使用した枝のことと勘違いして「雄鶏のしっぽ」と答えたという(その枝は形からそう呼ばれていた)。それが英語のテール・オブ・コック(Tail of cock)となり、混ぜ合わせたお酒のことを「カクテル」と呼ぶようになったのです。

焼酎を炭酸以外で割ったカクテル

焼酎を炭酸以外で割ったカクテルを紹介しましょう。

芋焼酎にレモンとホワイトキュラソー(柑橘系の混成酒)を加えた「薩摩(さつま)小町」。米焼酎にライムジュースとチェリーブランデーを加えた「ラストサムライ」が挙げられます。

焼酎とはスピリッツ仲間のジンがイギリス、ウォッカがロシアを代表するお酒であるように、焼酎は日本を代表するスピリッツ。日本らしいネーミングですね。

スピリッツ以外に果汁を加えたカクテル

カクテルは基本的にジンやウォッカなどのスピリッツをベースにしたものが多いのですが、スピリッツ以外に果汁を加えたカクテルも紹介しましょう。

代表的なものにビールにトマトジュースを加えた「レッド・アイ」、赤ワインにレモンジュースと、砂糖を加えた「アメリカン・トルネード」が挙げられます。

現在では明確な線引きをして使用しておらず、どっちでもOK

チューハイとサワーには定義の違いがあることを見てきましたが、実は両者の定義は曖昧です。ハイがハイボールから派生したものであるにもかかわらず、「ウーロンハイ」や「緑茶ハイ」というお酒がありますよね。そこにはウイスキーや炭酸水の影も形もありません。サワーについて述べるなら、「カルピスサワー」も果実とは無縁ですね。このように、その定義が形骸(けいがい)化して意味をなしていないことがわかるでしょう。チューハイとサワーの違いはお酒の席での「雑学」として、話のネタにしてみるのもいいかもしれませんね。

" /> チューハイとサワーの違いを知ってお酒を楽しもう!定義や作り方の違い・レモンサワーのレシピなどをお酒大好きライターがわかりやすく解説 – Study-Z
雑学食べ物・飲み物

チューハイとサワーの違いを知ってお酒を楽しもう!定義や作り方の違い・レモンサワーのレシピなどをお酒大好きライターがわかりやすく解説

この記事では「チューハイ」と「サワー」の違いについてみていきます。どちらも居酒屋のメニューの定番で、炭酸や果汁を用いたアルコール飲料というイメ―ジがあるよな。違いはずばり「ベースになる酒の範囲と割材として加えるもの」のようですが、その線引きは曖昧です。今回はそんな「チューハイ」と「サワー」それぞれの定義や作り方の違い、レモンサワーのレシピなどをお酒大好きライターSadaieと一緒に解説していきます。

ライター/Sadaie

プログラマー、ヘルプデスク経験者。パソコン関係以外では文学、歴史が好き。それらの知識をわかりやすいかたちで配信したいと考えている。大のお酒好き。

似ているようで、本来の定義は全然違う!

image by iStockphoto

2つの定義を見ていく前に、もっと大きな「お酒の分類」から見ていきましょう(酒造法上の分類)。お酒の分類は醸造酒、蒸留酒、混成酒の3つに大別されます。蒸留酒は別名スピリッツ。混成酒は別名リキュールです。

醸造酒の代表はビール、ワイン。蒸留酒の代表はジン、ウォッカ。混成酒の代表はあまり聞きなじみはないかもしれませんが、ベルモット、キュラソーなどが挙げられます。

今回取り上げる、チューハイやサワーはともに蒸留酒(スピリッツ)をベースにしたお酒という点を覚えておいてください。

焼酎を炭酸水(ソーダ)で割ったチューハイ

「チューハイ」は省略した呼び方であって、正式には「焼酎ハイボール」といいます。焼酎とは、米、麦、芋、黒糖などから造られたスピリッツの一種。

ハイボールとはウイスキーをベースに炭酸水を加えたお酒のこと。

チューハイとはウイスキーベースを、焼酎ベースに変更して炭酸水を加えたお酒を指すのです。

スピリッツに果汁を加えたサワー

次にサワーの定義を見ていきましょう。サワーはスピリッツに果汁を加えたお酒のことを指します。焼酎もスピリッツの一種なので、焼酎を炭酸水ではなく果汁で割ったらサワーに分類されることになりますね。

サワーという言葉はベースも割材も指定されているチューハイに比べて広義だということが分かります。

チューハイとサワーの言葉の由来

「焼酎」は燃えるように胸焼けがするお酒という意味で「焼」が使われており、サワーが果汁で割られる理由は英語の意味そのものから由来します。また、焼酎ハイボールの派生元の「ハイボール」とはなぜそう呼ばれるのかに関しても見ていきましょう。

\次のページで「チューハイはハイボールから派生した」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: