この記事ではマナティーとジュゴンの違いについてみていきます。どちらも珍しい水中の動物というイメージがあるよな。見た目などは特に混同しがちですが、よく調べてみると見分けやすいポイントがあるみたいです。
今回はそんなマナティーとジュゴンの違いを、分類から確認しつつ、生き物好きライター田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

生き物が好きなWebライター。生き物をモチーフにしたイラストなどを描いている。特に水族館の生き物が好きで各地の水族館へ赴いたり、動画のチェックも欠かさない。詳しく解説していく。

マナティーとジュゴンってどんな動物?

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マナティーとジュゴンはどちらもゾウの祖先の1つとされている「メリテリウム」が進化した動物だと言われています。ルーツは同じですが、進化の過程で別の動物になったのです。さっそく違いをみていきましょう。

マナティー:哺乳類カイギュウ目マナティー科の動物

マナティーはカイギュウ目(海牛目)マナティー科に分類される動物。普段はゆったり泳いでいますが、時速20km以上の速さで泳ぐことも可能です。水温が低い場所や寒い気候は大の苦手。寒さが原因で弱ってしまうこともあるほど、気候や水温に敏感な動物です。

基本的には1頭〜2頭(つがい)で生活しますが、5頭前後の小さな群れで過ごすことも。

マナティー科には、「アマゾンマナティー」「アメリカマナティー」「アフリカマナティー」の3種が所属しています。

ジュゴン:哺乳類カイギュウ目ジュゴン科の動物

ジュゴンもマナティーと同じカイギュウ目の仲間ですが、ジュゴン科に分類されます。肺活量が多く、6分間ほど潜水することも可能です。ジュゴンも暖かい場所を好みます。

基本的には1頭〜2頭(つがい)で生活しますが、たまに100頭を超える巨大な群れで過ごすことも。息継ぎの際、立ち泳ぎで水面に顔を出したりするのも特徴です。

マナティーとジュゴンの詳しい違いをチェック!

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マナティーとジュゴンは、見た目だけでなく生息地やエサなどにも違いがあります。それぞれ詳しくチェックしてみましょう。

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マナティーとジュゴンの「生息地」の違い

マナティーとジュゴンは主に水の中で暮らす哺乳類の動物です。マナティーは海の他、河川や河口、湖などの淡水域でも生息しています。ちなみに、アマゾンマナティーだけ海にはいません。

一方でジュゴンは海水域にだけ生息しています。分布も調べてみましょう。

マナティーの分布
・アフリカの西海岸
・フロリダからブラジルにかけての東海岸
・アマゾン川 など

ジュゴンの分布
・紅海
・インド洋
・東アフリカからオーストラリアまでの暖かい沿岸(太平洋も含む) など

マナティーとジュゴンの「見た目」の違い

見た目が似ているマナティーとジュゴンですが、よく見ると違いは明らかです。見分けるポイントを確認していきましょう。

・顔
マナティー:正面から見ると丸顔。口の位置は横から見ると、顔の半分より少し下の方にある。
ジュゴン:正面から見ると面長。口の位置は横から見ると、顔の半分よりかなり下の方にある。

・尾ひれの形
マナティー:丸く大きなしゃもじのような形。
ジュゴン:イルカやクジラに似た三角のような形。

・前あし(胸ヒレ)
マナティー:ゾウのような丸みを帯びた爪と肘がある。
ジュゴン:爪も肘もない。

・皮膚
マナティー:ザラザラした見た目。野生の場合、苔やフジツボがついていることもある。
ジュゴン:スベスベした見た目。短い毛がまばらに生えている。

・シルエット
マナティー:600kgほどの体重になる個体も。背中側もお腹側も丸みが目立ち、横から見るとサツマイモみたいなシルエットをしている。
ジュゴン:育っても体重は500kgほど。お腹側は丸みが目立つのに対して、背中側の曲線は緩やか。マナティーと比べると少しスマートなシルエットをしている。

マナティーとジュゴンの「性格」の違い

マナティーは好奇心旺盛で穏やかな性格。警戒心があまりなく、ダイバーやボートに興味を持って近づいてきたりします。マナティーと泳ぐツアーなども人気です。人懐っこいため捕獲も簡単で、過去には乱獲されていたことも。

ジュゴンは非常に大人しい性格をしています。人間はもちろん、他の生き物にも自分から攻撃したりすることはほとんどありません。繊細でストレスに弱い一面も。マナティーに比べると人間に懐きにくいです。

マナティーとジュゴンの「エサ」の違い

マナティーとジュゴンは両者とも「植物を食べる動物」ではありますが、内容は違います。マナティーは野菜なども食べるのに比べ、ジュゴンは偏食というのもポイントです。

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マナティーの主なエサ
・水草
・キャベツ
・レタス
・かぼちゃ など

ジュゴンの主なエサ
・海藻(アマモ)
・ロメインレタス

マナティーとジュゴンはどちらが人魚のモデルになったの?

マナティーやジュゴンについて調べたりしていると、「人魚」という言葉がでてきませんでしたか?実は、伝説の生き物である人魚のモデルになったと言われているんです。どちらが該当するのかチェックしてみましょう。

人魚のモデルは「ジュゴン」という説が一般的

諸説ありますが、人魚のモデルとなったのはジュゴンという説が一般的です。ジュゴンは赤ちゃんに授乳するとき、直立して頭を水の上に出し、前あしで抱えながら行います。授乳する姿がまるで人間のようですよね。

このような人間らしい行動をするという理由などから、人魚のモデルになったと言われたりしています。

また、有名な探検家であるコロンブスが人魚を見たと言ったカリブ海に生息していることから、「ジュゴンを見間違えたのでは?」という話もあるようです。

マナティーとジュゴンに似ているスナメリって?

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スナメリも全体的にシルエットが丸っとしているため、マナティーやジュゴンに似ていると言われている生き物です。違いをみてみましょう。

スナメリ:哺乳類クジラ目ネズミイルカ科の動物

スナメリも哺乳類ですが、マナティーやジュゴンとは別のジャンルに分類されます。正体はイルカです。

マナティーとジュゴンは体重が500kgほどになるのに対して、スナメリは大きくなっても50kg〜60kgくらいにしかなりません。マナティーやジュゴンと比べると、見た目もかなり小柄だと言えます。

生息地は日本・韓国・中国・インド・インドネシアの沿岸。世界的に個体数が減少しているため、保護目的以外の捕獲が禁じられているという点は共通しています。

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マナティーとジュゴンに会える国内の水族館

マナティーとジュゴンは日本の水族館で見ることができます。沢山いる訳ではないので場所は限定されますが、チェックしてぜひ会いに行ってみてください!

マナティー:静岡県・三重県・香川県・沖縄県の4ヶ所

マナティーは静岡県・三重県・香川県・沖縄県の4ヶ所の水族館にいます。場所によって、会うことのできるマナティーの種類は異なるので、事前に確認しておきましょう。

熱川バナナワニ園(静岡県)
・アマゾンマナティー

鳥羽水族館(三重県)
・アフリカマナティー

新屋島水族館(香川県)
・アメリカマナティー

沖縄美ら海水族館(沖縄県)
・アメリカマナティー

ジュゴン:三重県の1ヶ所だけ

ジュゴンを見れるのは、国内では三重県の「鳥羽水族館」1ヶ所だけです。世界でみても、日本を含む2ヶ所しか現在ジュゴンがいる水族館はありません。ちなみにもう1ヶ所はオーストラリアの「シドニー水族館」です。

過去には、大分県の「大分生態水族館マリーンパレス(大分マリーンパレス水族館)」や沖縄県の「国営沖縄海洋博記念公園水族館」などで飼育していたこともあります。しかしジュゴンはとても繊細なので、水族館に来て15日〜30日前後で亡くなってしまうケースが多発しました。かなり飼育が難しいと言われているのも納得できますね。

どちらも絶滅の恐れがある希少な生き物

マナティーもジュゴンも、過去に食料や装飾品の素材にする目的で乱獲されてしまったため、今はどちらも絶滅する恐れがあります。個人が直接助けることは難しいですが、保護団体へ寄付や募金をして活動を支援するのも1つの手です。

また実際に見たい方は、マナティーとジュゴンの両方に会える三重県の鳥羽水族館などに赴くのもいいでしょう。可愛らしい見た目や優雅な泳ぎ方で癒してくれますよ。気になる方はぜひ、機会を作って会いに行ってみてくださいね!

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生き物・植物雑学

3分で簡単マナティーとジュゴンの違い!人魚のモデルはどっち?実際に会える水族館まで生き物好きライターが詳しくわかりやすく解説

この記事ではマナティーとジュゴンの違いについてみていきます。どちらも珍しい水中の動物というイメージがあるよな。見た目などは特に混同しがちですが、よく調べてみると見分けやすいポイントがあるみたいです。
今回はそんなマナティーとジュゴンの違いを、分類から確認しつつ、生き物好きライター田嶋と一緒に解説していきます。

ライター/田嶋あこ

生き物が好きなWebライター。生き物をモチーフにしたイラストなどを描いている。特に水族館の生き物が好きで各地の水族館へ赴いたり、動画のチェックも欠かさない。詳しく解説していく。

マナティーとジュゴンってどんな動物?

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マナティーとジュゴンはどちらもゾウの祖先の1つとされている「メリテリウム」が進化した動物だと言われています。ルーツは同じですが、進化の過程で別の動物になったのです。さっそく違いをみていきましょう。

マナティー:哺乳類カイギュウ目マナティー科の動物

マナティーはカイギュウ目(海牛目)マナティー科に分類される動物。普段はゆったり泳いでいますが、時速20km以上の速さで泳ぐことも可能です。水温が低い場所や寒い気候は大の苦手。寒さが原因で弱ってしまうこともあるほど、気候や水温に敏感な動物です。

基本的には1頭〜2頭(つがい)で生活しますが、5頭前後の小さな群れで過ごすことも。

マナティー科には、「アマゾンマナティー」「アメリカマナティー」「アフリカマナティー」の3種が所属しています。

ジュゴン:哺乳類カイギュウ目ジュゴン科の動物

ジュゴンもマナティーと同じカイギュウ目の仲間ですが、ジュゴン科に分類されます。肺活量が多く、6分間ほど潜水することも可能です。ジュゴンも暖かい場所を好みます。

基本的には1頭〜2頭(つがい)で生活しますが、たまに100頭を超える巨大な群れで過ごすことも。息継ぎの際、立ち泳ぎで水面に顔を出したりするのも特徴です。

マナティーとジュゴンの詳しい違いをチェック!

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マナティーとジュゴンは、見た目だけでなく生息地やエサなどにも違いがあります。それぞれ詳しくチェックしてみましょう。

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