
有袋類は、哺乳類の中でも独特の子育てをすることで知られた動物のグループです。我々ヒトのような動物とどんな違いがあるのか、どんなところに生息しているのか…いろいろな視点でこの生物を学んでいこう。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらうぞ。

ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
有袋類とは?
有袋類(ゆうたいるい)とは、哺乳類の動物の一グループです。哺乳類の中でも、育児嚢(いくじのう)で子どもを育てる動物が含まれます。
より正確な表現をすれば、有袋類は分類学上、哺乳綱の有袋上目(ゆうたいじょうもく)という分類群に属する生物、といえるでしょう。
文献によっては、「有袋類は有袋目という分類群に属する生物」と記してあるものもあるかもしれません。以前は有袋目という分類群で有袋類をまとめていたのです。
しかし近年、「有袋目でくくられた分類群の中に、あまりにいろいろな生物がいる」と問題提起され、有袋目を有袋上目に格上げする考え方が出てきました。そのため、「有袋類=有袋目の動物」と書かれていたり、「有袋類=有袋上目の動物」と書かれていたりします。
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とはいえ、分類群の階級が少し変わっただけで、有袋類に該当する動物の種類に変化があったわけではありません。この記事では有袋類の分類学的な位置付けはあまり気にせず、このグループを見ていきたいと思います。
有袋類の特徴
それでは、有袋類の動物にはどんな共通点や特徴があるのか、代表的なものをご紹介していきましょう。
育児嚢で子どもを育てる
有袋類の特徴の中で最もわかりやすいのが、雌が子どもを育てるための”袋”である育児嚢をもっていることでしょう。もちろん、有袋類の名前の由来もここからです。
育児嚢の内部には乳首があるので、子どもはここで乳を飲み、母親に守られながら成長することができます。
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