この記事では喜怒哀楽の「喜」と「楽」の違いについてみていきます。どちらもポジティブな気分や様子をイメ―ジするよな。違いはずばり「自分で得たものか、誰かに与えられるものか」のようです。今回はそんな「喜」と「楽」それぞれの違い、喜怒哀楽の例文や類語・英語での表現を雑学大好きライターSadaieと一緒に解説していきます。

ライター/Sadaie

プログラマー、ヘルプデスク経験者。パソコン関係以外では文学、歴史が好き。それらの知識をわかりやすいかたちで配信したいと考えている。

「喜怒哀楽」の言葉の由来

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喜怒哀楽とは文字通り人間の喜び、怒り、哀しみ、楽しみのこと。またはその他の感情も含め、感情のすべてを指す意味合いで用いられる言葉です。

その由来は儒教の経典である「礼記(らいき)」の中の「中庸」。「喜怒哀楽の感情が動き出す前の偏り無く、中正な状態のことを中という」という記述によります。

「喜」は自分でつかみ取るもの

「喜」とはうれしく思うこと・満足を指し、例えばテストでの高得点のように努力の結果得た感情を指します。

「楽」は他者から与えられるもの

「楽」とは楽しい気持ち・愉快な気持ちのこと。例えばテレビを見るなどした結果得られた感情を指します。

「哀」と「悲」の違いは?

かなしいという漢字は通常「悲」を用いますよね。この漢字の上部の「非」の部分は開いた羽のように見えることから何かが割れることを意味し、下部の「心」と合わせて心が割られるような切ない気持ちを指します。

対して、「哀」は「衣」で「口」をはさむ格好をしており、泣けてくるような感情を表しているのです。「哀」の方が耐え忍んで内に秘めるといったニュアンス。「寂しさ」と通ずるものもあり、詩的な表現として好まれます。

\次のページで「喜怒哀楽を使った例文」を解説!/

喜怒哀楽を使った例文

喜怒哀楽を使った例文には以下のようなものがあります。

1.あなたは喜怒哀楽が顔に出るタイプだ
2.彼は喜怒哀楽が激しく、注意が必要だ
3.悲しい境遇で育った彼には喜怒哀楽が無い

喜怒哀楽は文中で使用される場合、いい意味で用いられることは少ないです。

喜怒哀楽は特に「出る」と結びつきやすく、考えていることがわかりやすいという意味合いになります。喜怒哀楽が「激しい」とは笑っていたかと思ったら、急に怒り出すといったように移り変わりが早いということ。喜怒哀楽が「無い」とは無表情で感情に乏しいことを指します。

類義語と英語での表現は?

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喜怒哀楽という様々な感情を表現した四字熟語には他にどのような類義語があるのでしょうか。

英語では「feelings」または「emotions」と表現します。

類義語はたくさんある!

喜怒哀楽の類義語はたくさんありますね。ただし、そのまま言い換えたようなものはなく、喜怒哀楽に内包されるものや、喜怒哀楽を内包するものになります。

類義語その一:感情・情緒

喜怒哀楽はこれらの感情や情緒のなかに内包されています。

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類義語その二:酸いも甘いも・苦楽

酸いも甘いもとは悪いことや良いこという意味で、転じて経験豊富なさまを意味します。喜怒哀楽のうち、哀楽を表現した言葉ですね。

類義語その三:哀歓

哀歓も上の酸いも甘いもとほぼ同様です。歓とはうれしいという意味で、哀歓は喜哀を現した言葉ですね。

英語では「feelings」または「emotions」

feelingは感情や心持ちの複数形。emotionsは強い感情、感激の複数形を意味します。どちらも喜怒哀楽のように感情を細分化していない、概念的に上位の言葉になりますね。

似たような四字熟語にはどのようなものがあるか?

似たような意味を持つ四字熟語に「悲喜交々(ひきこもごも)」があります。読んで字のごとく喜びと悲しみが混ざり合っている状態のこと。

同じ構成の四字熟語として「春夏秋冬」、「老若男女(ろうにゃくなんにょ)」が挙げられます。喜怒哀楽という四字熟語は一語一語が独立した別々の要素を持ち、上に挙げた2つも同様。このような四字熟語は他にも多数存在します。

禅語に見る「喜怒哀楽」の美徳

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経典を用いない禅宗(臨済宗・曹洞宗・黄檗宗)では、禅語という禅の世界観を表現した教えがあります。その中で喜怒哀楽に関する教えが2つあるので紹介しましょう。

\次のページで「即是仏心:ありのままの心が仏なのだ」を解説!/

即是仏心:ありのままの心が仏なのだ

即是仏心(そくしんぜぶつ)とは唯今の心が仏なのだという教えのこと。心仏に差別はなく、ありのままの喜怒哀楽の心もまた仏であるということです。

心随万境転:心はその時々の縁に従うだけなので心のままに泣き、喜ぶべし

心は万境(ばんきょう)に随(したが)って転ずと読みます。

喜怒哀楽は人生につきものであるが、その実態は何もなく、その時々の縁に従って感情が発生しているに過ぎない。だとすれば、その時々の心のままに感情を発するほうがよい。因縁や執着を無くすことで心は自由で伸び伸びしたものとなり、幽玄に近づくという教えです。

幽玄とは深い趣き、美的理念の一つの境地のこと。

「喜怒哀楽」は健康の証しですが、表に出すのはほどほどに

禅語で喜怒哀楽に身を任せるのが良しとされるように、喜怒哀楽の感情を表出されるメリット他にもあります。喜怒哀楽は、その感情が乏しくなると統合失調症の一種である陰性症状に陥ることも。陰性症状とは会話の量が減り、社会生活が困難になる危険な状態。とは言え、ビジネスの場や友達・恋人とのコミュニケーションで喜怒哀楽を出し過ぎるのも考え物。その時々の縁に従って適度に感情を表出することが大切といえるでしょう。

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喜怒哀楽の喜びと楽しみの違いって?言葉の由来とそれぞれの意味、使い方の例や類義語を雑学大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では喜怒哀楽の「喜」と「楽」の違いについてみていきます。どちらもポジティブな気分や様子をイメ―ジするよな。違いはずばり「自分で得たものか、誰かに与えられるものか」のようです。今回はそんな「喜」と「楽」それぞれの違い、喜怒哀楽の例文や類語・英語での表現を雑学大好きライターSadaieと一緒に解説していきます。

ライター/Sadaie

プログラマー、ヘルプデスク経験者。パソコン関係以外では文学、歴史が好き。それらの知識をわかりやすいかたちで配信したいと考えている。

「喜怒哀楽」の言葉の由来

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喜怒哀楽とは文字通り人間の喜び、怒り、哀しみ、楽しみのこと。またはその他の感情も含め、感情のすべてを指す意味合いで用いられる言葉です。

その由来は儒教の経典である「礼記(らいき)」の中の「中庸」。「喜怒哀楽の感情が動き出す前の偏り無く、中正な状態のことを中という」という記述によります。

「喜」は自分でつかみ取るもの

「喜」とはうれしく思うこと・満足を指し、例えばテストでの高得点のように努力の結果得た感情を指します。

「楽」は他者から与えられるもの

「楽」とは楽しい気持ち・愉快な気持ちのこと。例えばテレビを見るなどした結果得られた感情を指します。

「哀」と「悲」の違いは?

かなしいという漢字は通常「悲」を用いますよね。この漢字の上部の「非」の部分は開いた羽のように見えることから何かが割れることを意味し、下部の「心」と合わせて心が割られるような切ない気持ちを指します。

対して、「哀」は「衣」で「口」をはさむ格好をしており、泣けてくるような感情を表しているのです。「哀」の方が耐え忍んで内に秘めるといったニュアンス。「寂しさ」と通ずるものもあり、詩的な表現として好まれます。

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