この記事ではのぞみ、こだま、ひかりの違いについてみていきます。
3つともJR新幹線の列車別の名称で、見た目はどれも同じイメージがあるよな。違いはずばり到着時間のようですが、料金形態や停車する駅など、調べてみると色々と面白い発見があったんです。
今回は日本の高速移動に欠かせない新幹線の違いを、小説家兼ライターのさらささらと一緒に解説していきます。

ライター/さらささら

少女向け小説家兼ライター、神社や名所を訪ねるのが趣味。お話のネタにするため様々な雑知識を集めました。わかりやすい言葉で説明します。

「のぞみ」と「ひかり」と「こだま」の違いとは?

image by iStockphoto

新幹線とは、「主たる区間を列車が時速200km以上の高速走行ができる幹線鉄道」という法律(全国新幹線鉄道整備法)で定められた乗り物。つまり、時速200km以上で運行する区間があれば、その列車は新幹線になるわけです。

そんな新幹線ですが、「のぞみ」「ひかり」「こだま」と呼ばれる列車の違いとは一体なんでしょう?

名前の由来や正式名称

今回ご紹介する3つの列車は、東海道・山陽新幹線の種別"名称"です。

新幹線「のぞみ」号の名付け親は、現在タレントとしても活躍をされているエッセイスト・阿川佐和子さん。JR東海の名称決定委員会に選ばれた阿川さんは、父親から「日本国鉄の列車の名前はすべて大和言葉でつけてきた」との経緯を聞き、候補にあった「希望」を大和言葉で「のぞみ(=望)」と読むことを提案したそうです。

「ひかり」と「のぞみ」に関しては一般公募で決定しました。ちなみに一般公募で1位となった「ひかり」ですが、これは「ひかりのような速さ」から採用。一方の「こだま」は10位でありながら選ばれたのは不思議ですね?

実は、「こだま」という名称は当時の在来線特急にあり馴染みがあったことに加え、「こだま=木霊=山彦(やまびこ)」でもあるため「1日で行って帰って来ることができる」との意味で名付けられたとか。さらに「ひかり=光速」の次に早い「こだま(木霊)=音速」の組み合わせとして選出されたのだそうです。

それぞれの歴史や運行時期

3つの新幹線それぞれの歴史や運行時期などは以下の通りです。

・のぞみ…1992年(平成4年)3月14日より運行。
     旅客機に対抗するため「ひかり」より速い列車として誕生。
     現在の「速達型列車」として運行。
  

・ひかり…東海道新幹線が開通した1964年(昭和39年)10月1日より運行。
     当時は東京~大阪間を繋ぐも、途中停車は名古屋駅と京都駅のみの「速達型列車」。
     その後「のぞみ」の運行補完をする「途中駅通過型列車」や、一時期は各駅停車(京都-博多)も設定。
     運行当初は「こだま」とともに「夢の超特急」と称されていました。

・こだま…「ひかり」と同じく1964年(昭和39年)10月1日より運行。
     「速達型列車」の「ひかり」に対し「こだま」は始発駅~終着駅の全ての駅に停車。
     在来線の「こだま」が「ビジネス特急」の愛称で親しまれていたため、名称とともに役割を引き継ぎ当時は「ビジネス特急"こだま号"」とも称されていました。

「のぞみ」「ひかり」「こだま」の見た目や特徴

「のぞみ」は当時(1992年)最高速度270km/hでの運行を実現するため、第三世代と呼ばれる300系でスタートしました。1997年になると300km/hの500系、1999年は「カモノハシ」の愛称で親しまれた700系、2007年にはN700系、2020年になるとN700系をシャープにしたN700S系を導入します。

「ひかり」と「こだま」は東海道新幹線開業当初(1964年)、丸い顔が特徴的な0系でした。

「ひかり」は1985年になると第二世代の車両100系、1992年には「のぞみ」と同じく第三世代の300系となります。ところが、500系は「のぞみ」専用であったためしばらく300系のままに。2007年以降になると700系や第五世代のN700系が導入されます。

「のぞみ」は東海道新幹線では2003年まで、山陽新幹線では2012年まで100系を使用。700系が登場した1997年以降は300系が主流でしたが、老朽化した後は「のぞみ」から撤退した700系に替わって行きました。

\次のページで「料金に違いはあるの?」を解説!/

料金に違いはあるの?

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こちらの項目ではそれぞれの路線や停車駅に加え、速度や料金などについて説明します。

走る路線と停車駅は何処?

「のぞみ」「ひかり」「こだま」は、JR東海およびJR西日本により東京~新大阪~博多の間で運行される特別急行列車です。東京駅から新大阪駅の間を「東海道新幹線(JR東海)」、新大阪から博多駅の間を「山陽新幹線(JR西日本)」が運営し、両路線を走るため「東海道・山陽新幹線」となります。

それぞれの停車駅は以下となるので、興味のある方はチェックしてみて下さい。

のぞみ(11駅)…■、ひかり(16駅)…●、こだま(35駅)…▲

1.東京(■●▲)
2.品川(■●▲)
3.新横浜(■●▲)
4.小田原(▲)
5.熱海(▲)
6.三島(▲)
7.新富士(▲)
8.静岡(▲)
9.掛川(▲)
10.浜松(▲)
11.豊橋(▲)
12.三河安城(▲)
13.名古屋(■●▲)
14.岐阜羽島(▲)
15.米原(▲)
16.京都(■●▲)
17.新大阪(■●▲)
18.新神戸(■●▲)
19.西明石(▲)
20.姫路(●▲)
21.相生(▲)
22.岡山(■●▲)
23.新倉敷(▲)
24.福山(●▲)
25.新尾道(▲)
26.三原(▲)
27.東広島(▲)
28.広島(■●▲)
29.新岩国(▲)
30.徳山(●▲)
31.新山口(●▲)
32.厚狭(▲)
33.新下関(●▲)
34.小倉(■●▲)
35博多(■●▲)
※それぞれ一部列車が停車する駅を除く。

速さと所要時間の差は?

「のぞみ」と「こだま」では停車する駅(※一部停車を除く)に24駅もの差がありますね。これだけ違いがあるのなら、所要時間にもかなりの差が生まれそうです。

主要駅のみに停車する「のぞみ」の場合、東京~新大阪でしたら2時間30分東京~博多は乗り換えなしで約5時間ほどで到着します。「ひかり」は東京~名古屋では「のぞみ」と大差ありませんが、新大阪で30分ほど、岡山では約1時間もの差が出るようです。一方の「こだま」は直通がなく、東京~新大阪が約4時間+新大阪~博多が約5時間=合計9時間以上もかかってしまいます。

料金に違いはあるの?

3つの料金を調べてみると、あまり違いがないようです。例えば東京~新大阪まで「のぞみ」より1時間30分も時間がかかる「こだま」ですが、料金の差額は320円程度でした(※列車検索では「のぞみ」と「ひかり」は到着に24分の差があるも同じ金額)。

基本「ひかり」と「こだま」は通常料金が同じようです。しかし、「エクスプレス予約」や「回数券」などのお得な割引を使う事で、これら3つが同じ料金で利用できます。

ちなみに、3つのうちでもっとも本数の多い列車が「のぞみ」のため、主要都市に行く人などは「のぞみ≧ひかり>こだま」で選ぶようです。

\次のページで「「さくら」と「みずほ」とは?」を解説!/

新幹線には基本「乗車券」+「新幹線特急券」の2枚が必要です。「乗車券」は普通列車でも同じだけかかるため、いわば基本料金的なもの。つまり「乗車券」は移動するための金額で、「新幹線特急券」は新幹線のスピード&サービスのために上乗せして払う金額です。

また、新幹線には3種類の座席が存在します。「自由席」は好きな時間に乗れますが、混雑時は座席には座れません。反対に「指定席」は300~1,000円程度(※季節や区間などによる)の差額で座席を確保できるものの、指定した列車に乗り遅れるとチケットは「自由席」と同等の扱いになるので注意が必要です。

これらの席は「普通車」にありますが、連結された「グリーン車」は広々とした座席や充実した設備など快適に過ごせます。利用する列車で異なりますが「グリーン料金」が発生し、乗車する区間を営業する距離ごとに計算。例えば100kmまでなら「乗車券」+「新幹線特急券」にプラス1,300円、400kmまでならプラス4,190円。東京~新大阪を「のぞみ」の「普通車」なら13,870円ですが、「グリーン車」は19,590円でした(※2021年11月現在)。

「さくら」と「みずほ」とは?

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「さくら」と「みずほ」、さらに「つばめ」とは山陽・九州新幹線の名称です。山陽新幹線の終着駅が博多なため、鹿児島中央駅までこの3つの列車が繋ぐことになります。

ところが、山陽・九州新幹線の名前通り「さくら」と「みずほ」は新大阪~鹿児島中央を、「つばめ」は博多~鹿児島中央と小倉~熊本を運行。また「みずほ」と「さくら」は新大阪~博多まで6駅に停まりますが、博多~鹿児島中央区間で「みずほ」は熊本のみで「さくら」は熊本を含め4駅に、「つばめ」に至っては九州新幹線の駅全てに停車するのです。

こうしてみると九州新幹線は、なんだか「のぞみ」や「ひかり」「こだま」の関係と似ていますね。

列島を陸路で繋ぐ夢の超特急こと新幹線

細長い国土を縦に横にと疾走する新幹線は、日本の陸路を繋ぐ高速移動手段のひとつです。今回は東海道・山陽新幹線の「のぞみ」「ひかり」「こだま」の違いをご紹介しましたが、新青森駅から海底に延長53.85kmの青函トンネルを走る北海道新幹線など、日本に現在9つもの高速鉄道路線こと新幹線が走っていることになります。

時代を重ねるごとに車両も変化し、それに伴い新幹線は速さと快適さを併せ持つようになりました。何時しか新幹線の存在は移動手段だけではなく、体を休めたり仕事をする場所へとシフトしていったのです。

リニアモーターカーの実用化が待たれる中、これからの新幹線の変化も楽しみにしたいですね。

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3分でわかる新幹線のぞみとひかりとこだまの違い!見た目や料金の他にさくらやみずほなどについても小説家兼ライターが丁寧にわかりやすく解説!

この記事ではのぞみ、こだま、ひかりの違いについてみていきます。
3つともJR新幹線の列車別の名称で、見た目はどれも同じイメージがあるよな。違いはずばり到着時間のようですが、料金形態や停車する駅など、調べてみると色々と面白い発見があったんです。
今回は日本の高速移動に欠かせない新幹線の違いを、小説家兼ライターのさらささらと一緒に解説していきます。

ライター/さらささら

少女向け小説家兼ライター、神社や名所を訪ねるのが趣味。お話のネタにするため様々な雑知識を集めました。わかりやすい言葉で説明します。

「のぞみ」と「ひかり」と「こだま」の違いとは?

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新幹線とは、「主たる区間を列車が時速200km以上の高速走行ができる幹線鉄道」という法律(全国新幹線鉄道整備法)で定められた乗り物。つまり、時速200km以上で運行する区間があれば、その列車は新幹線になるわけです。

そんな新幹線ですが、「のぞみ」「ひかり」「こだま」と呼ばれる列車の違いとは一体なんでしょう?

名前の由来や正式名称

今回ご紹介する3つの列車は、東海道・山陽新幹線の種別”名称”です。

新幹線「のぞみ」号の名付け親は、現在タレントとしても活躍をされているエッセイスト・阿川佐和子さん。JR東海の名称決定委員会に選ばれた阿川さんは、父親から「日本国鉄の列車の名前はすべて大和言葉でつけてきた」との経緯を聞き、候補にあった「希望」を大和言葉で「のぞみ(=望)」と読むことを提案したそうです。

「ひかり」と「のぞみ」に関しては一般公募で決定しました。ちなみに一般公募で1位となった「ひかり」ですが、これは「ひかりのような速さ」から採用。一方の「こだま」は10位でありながら選ばれたのは不思議ですね?

実は、「こだま」という名称は当時の在来線特急にあり馴染みがあったことに加え、「こだま=木霊=山彦(やまびこ)」でもあるため「1日で行って帰って来ることができる」との意味で名付けられたとか。さらに「ひかり=光速」の次に早い「こだま(木霊)=音速」の組み合わせとして選出されたのだそうです。

それぞれの歴史や運行時期

3つの新幹線それぞれの歴史や運行時期などは以下の通りです。

・のぞみ…1992年(平成4年)3月14日より運行。
     旅客機に対抗するため「ひかり」より速い列車として誕生。
     現在の「速達型列車」として運行。
  

・ひかり…東海道新幹線が開通した1964年(昭和39年)10月1日より運行。
     当時は東京~大阪間を繋ぐも、途中停車は名古屋駅と京都駅のみの「速達型列車」。
     その後「のぞみ」の運行補完をする「途中駅通過型列車」や、一時期は各駅停車(京都-博多)も設定。
     運行当初は「こだま」とともに「夢の超特急」と称されていました。

・こだま…「ひかり」と同じく1964年(昭和39年)10月1日より運行。
     「速達型列車」の「ひかり」に対し「こだま」は始発駅~終着駅の全ての駅に停車。
     在来線の「こだま」が「ビジネス特急」の愛称で親しまれていたため、名称とともに役割を引き継ぎ当時は「ビジネス特急”こだま号”」とも称されていました。

「のぞみ」「ひかり」「こだま」の見た目や特徴

「のぞみ」は当時(1992年)最高速度270km/hでの運行を実現するため、第三世代と呼ばれる300系でスタートしました。1997年になると300km/hの500系、1999年は「カモノハシ」の愛称で親しまれた700系、2007年にはN700系、2020年になるとN700系をシャープにしたN700S系を導入します。

「ひかり」と「こだま」は東海道新幹線開業当初(1964年)、丸い顔が特徴的な0系でした。

「ひかり」は1985年になると第二世代の車両100系、1992年には「のぞみ」と同じく第三世代の300系となります。ところが、500系は「のぞみ」専用であったためしばらく300系のままに。2007年以降になると700系や第五世代のN700系が導入されます。

「のぞみ」は東海道新幹線では2003年まで、山陽新幹線では2012年まで100系を使用。700系が登場した1997年以降は300系が主流でしたが、老朽化した後は「のぞみ」から撤退した700系に替わって行きました。

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