今回は動画形式の一種であるMOVとMP4について説明します。動画データを扱ったことがある人なら、どちらも一度は目にしたことがあるでしょう。ではそもそも「動画形式」とはどういう意味で、MOVとMP4にはどういう違いがあるのでしょうか。ほとんどの場合、両者の違いを意識せずとも動画の再生はできるが、これらを知っておくとさらに理解が深まるぞ。雑学好きのWebライター・ねぼけねこと一緒に見ていくことにしよう。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

MOVとMP4は動画形式の一種

MOVもMP4も「動画形式」の一種です。動画形式というのは動画データを入れておくための「型」「箱」「容器」のようなもので、似たような言葉に「動画フォーマット」「コンテナ」「動画コーデック」というのもあります。以下でもう少し詳しく説明しましょう。

動画形式とは?

MOVもMP4も「動画形式」の一種です。では動画形式とはなんでしょうか? それは、撮影した動画を保存する時に選ばれる「型」あるは「箱」のようなもので、「動画フォーマット」や「コンテナ」とも呼ばれています。

この「型・箱」の種類もさまざまです。旧式のもの、最新のもの、軽いもの、重いもの、音声のみ対応しているもの、動画も対応しているもの……。よってそれぞれの形式に対応したプレイヤーを使わないと、その動画を再生することはできません。

ちなみに似た言葉で「動画コーデック」があります。これは動画データそのものの画質やデータ量に関わる処理(圧縮処理)の規格で、この処理を受けた動画データが、「箱」としての動画形式の中に入れられると考えるといいでしょう。

MOVとMP4の違いをざっくり解説

image by iStockphoto

まずは、MOVとMP4の大まかな違いを説明します。簡単にまとめると、MOVは先に作られた動画形式でApple製品ユーザー向けです。一方のMP4はMOVの後で開発されたもので、Apple製品を含めてほとんどのプレイヤーで再生可能。より一般的な動画形式と言えます。

以下で、両者の特徴をさらに詳しく説明しましょう。

MOV:Appleの標準動画形式

MOVはApple社でMP4よりも先に作られた動画形式で、Apple製品との相性の良さは抜群です。特にMacについて言えば、MOVはQuicktime標準動画形式なので、MacOS上で動画データを編集するのであれば断然MOVファイルが向いていると言えるでしょう。

逆に、MOVはWindowsとの相性がよくありません。Windowsの古い型などの場合、 MOVファイルが開けないこともあるので注意が必要です。

MP4:MOVから派生した最も一般的な動画形式

MP4は、現在、業界で最も多く使われている一般的な動画形式と言えるでしょう。MOVをさらに洗練させた形で開発され、映像データをはじめ音声や字幕、3Dデータまで何でも格納できるという特長があります。

大抵の動画プレイヤーに対応しているので、動画データを「なんの形式で保存したらいいか分からない」という素人の疑問にも「とりあえずMP4で保存すれば問題なし」と言える、大変便利な形式です。

\次のページで「MOVとMP4は変換することはできる?」を解説!/

MOVとMP4は変換することはできる?

MOVとMP4は、それぞれお互いに変換し合うことができます。やり方は簡単なので、以下で説明しましょう。Windows・Macともに標準搭載されているソフトを使うことで、MOV→MP4のパターンでもMP4→MOVのパターンでもすぐ変換できます。

MOVをMP4に変換する方法

Windowsで、MOV形式で保存されている動画をMP4形式に変換する方法は以下の通りです(Windows10の場合)。まずは、変換したいMOVファイルを右クリックして「プログラムを開く」を選択し、標準ソフトである「フォト」を開きます。

「フォト」を開いたら右上の「編集と作成」をクリック。「テキスト入りビデオの作成」を選び、変換後の動画ファイルの名前を入力して「OK」を選択します。次に「ビデオの完了」をクリックしてビデオの画質を決め、「エクスポート」をクリックすればMP4形式の動画のできあがりです。

次はMacで、MOV形式の動画をMP4形式に変換する方法を説明しましょう。まず「QuickTime」を起動して「ファイル」「ファイルを開く」の順にクリックします。そして変換したいMOV動画をインポートして下さい。

インポートが終わったらもう一度「ファイル」をクリックし、今度は「エクスポート」「名前を付けてエクスポート」の順にクリックしてから「MovietoMPEG-4」を選択すればOKです。この時、変換後のファイルの保存先のフォルダも選びます。

MP4をMOVに変換する方法

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今度はWindowsで、MP4形式で保存されている動画をMOV形式に変換する方法です。まずは変換したいMP4ファイルが保存されている「ファイル」を開き「表示」のタブをクリックして下さい。

次に「表示/非表示」の「ファイル名拡張子」にチェックを入れます(既にチェックが入っていればそのままでOKです)。そして変換したいMP4ファイルを右クリックして「名前を変更」を選択し、拡張子の「MP4」を「MOV」に書き換えて下さい。

この時「拡張子を変更すると、ファイルが使えなくなる可能性があります」という警告メッセージが表示されますが、問題ありませんので「OK」をクリックしましょう。これでMP4はMOV形式になりました。

次はMacで、MP4形式の動画をMOV形式に変換する方法です。まず「Video Converter for Mac」を起動し、「ファイルの追加」メニューから、変換したいMP4ファイルを選びます。もしくは、変換したいMP4ファイルをドラッグアンドドロップして下さい。

次に「フォーマットリスト」に移動し、出力フォーマットとしてMOVを選択します。そして「変換」ボタンをクリックすれば完了です。

MOVとMP4は再生機器やアップロード先によって使い分ける

MOVとMP4の相互変換は簡単にできるものの、もともとは全く違う動画形式です。よって、再生するためのプレーヤーやWeb上でのアップロード先などとの相性はとても重要で、相性がよくなければ再生できなかったりアップロードできなかったりします。

以下では、MOVとMP4をどんなシーンで使い分けるといいのかを説明しましょう。

MOVはMacなどで使える

先述した通り、MOVはApple社によって開発されたものなので、Macを始めとするApple社製品との相性が抜群です。一方で、WindowsでもMOV形式の動画を再生することができます。

注意が必要なのは、Web上にこの動画形式をアップロードする場合です。YoutubeやFacebookはMOV形式をアップロードできますが、Twitterは「モバイルアプリから」のアップロードのみ可能で、「PCから」はできません。

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MP4はWindowsなどで使える

MP4は全般的なプレーヤーで再生可能な動画形式なので、MacでもWindowsでも、PCによる再生は問題なく行えます。またYoutube、Facebook、Twitterなどでも、端末の種類に関係なく全てアップロードすることができるので難しく考える必要はありません。

動画をMOV形式で保存するか、それともMP4形式にするかで迷ったら、再生機器やアップロード先をほとんど選ばないMP4にしておけば問題ないでしょう。

MOVとMP4の特徴と生まれた経緯は?

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ここまでで、MOVとMP4形式の大まかな違いや扱い方について説明してきました。最後に改めて、両者の特徴を整理しておきましょう。

大まかには「MOV=Apple用」「MP4=何でもOK」という括りで、MP4はMOVから派生して作られたものだと覚えておけば十分です。

MOVはApple製品と相性がいい

「.mov」「.pt」の拡張子で表されるMOVファイルは、Apple社の動画再生ソフト「Quicktime」のための標準動画形式として開発されました。よってここまでで何度も書いてきた通り、Apple製品やMacとの相性については右に出るものはいません。

よってMacやiPhon、iPadなどを使うことに慣れている場合やこだわりがある場合は、動画はMOV形式で保存・編集するのがおすすめです。

一方、Windowsでも再生などはできるものの、基本的に相性が抜群とは言えないので注意しましょう。まれにWindowsのPCで再生できないこともあります。

MP4はほとんどの動画プレイヤーに対応している

MP4はMOVの後発の動画形式なのもあり、ほとんどの動画プレイヤーに対応可能という形で差別化されています。再生機器を選ばないので、デジタル機器などに疎い人でも簡単に扱えて、使う環境や人を選ばない汎用性を持っていると言えるでしょう。

動画データの保存形式を何にすればいいか分からない場合は、とりあえずMP4を選んでおけば大丈夫です。

MP4はMOVから派生して生まれた

MP4は、もともとMOVをもとに策定されたものです。MOVの動画形式はQuickTimeのマルチメディア技術の一部として開発されましたが、MP4の仕様はその後、MOVを元に開発され、2001年に標準化されて2004年に更新されるなどして使われ続けています。

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MOVとMP4はどちらも動画形式の一種で、相性のいい再生機器などが違う

デジタル界隈にはさまざまな「動画形式」があり、MOVとMP4もその一種です。MOVはApple社が自社製品向けの標準形式として開発したものですが、MP4はMOVよりも後で作られたことから、MOVに比べて使用機器などを選ばないなど欠点を広くカバーできる汎用性があります。

ただ、古くから愛好家の多いApple製品に慣れている人は、そちらの標準形式として特化されたMOVの方が、使い心地や使い勝手のよさを感じるかも知れません。

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IT・プログラミング雑学

MOVとMP4はどう違うの?その特徴や使い分け、変換方法や生まれた経緯などを雑学好きライターがわかりやすく解説

今回は動画形式の一種であるMOVとMP4について説明します。動画データを扱ったことがある人なら、どちらも一度は目にしたことがあるでしょう。ではそもそも「動画形式」とはどういう意味で、MOVとMP4にはどういう違いがあるのでしょうか。ほとんどの場合、両者の違いを意識せずとも動画の再生はできるが、これらを知っておくとさらに理解が深まるぞ。雑学好きのWebライター・ねぼけねこと一緒に見ていくことにしよう。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

MOVとMP4は動画形式の一種

MOVもMP4も「動画形式」の一種です。動画形式というのは動画データを入れておくための「型」「箱」「容器」のようなもので、似たような言葉に「動画フォーマット」「コンテナ」「動画コーデック」というのもあります。以下でもう少し詳しく説明しましょう。

動画形式とは?

MOVもMP4も「動画形式」の一種です。では動画形式とはなんでしょうか? それは、撮影した動画を保存する時に選ばれる「型」あるは「箱」のようなもので、「動画フォーマット」や「コンテナ」とも呼ばれています。

この「型・箱」の種類もさまざまです。旧式のもの、最新のもの、軽いもの、重いもの、音声のみ対応しているもの、動画も対応しているもの……。よってそれぞれの形式に対応したプレイヤーを使わないと、その動画を再生することはできません。

ちなみに似た言葉で「動画コーデック」があります。これは動画データそのものの画質やデータ量に関わる処理(圧縮処理)の規格で、この処理を受けた動画データが、「箱」としての動画形式の中に入れられると考えるといいでしょう。

MOVとMP4の違いをざっくり解説

image by iStockphoto

まずは、MOVとMP4の大まかな違いを説明します。簡単にまとめると、MOVは先に作られた動画形式でApple製品ユーザー向けです。一方のMP4はMOVの後で開発されたもので、Apple製品を含めてほとんどのプレイヤーで再生可能。より一般的な動画形式と言えます。

以下で、両者の特徴をさらに詳しく説明しましょう。

MOV:Appleの標準動画形式

MOVはApple社でMP4よりも先に作られた動画形式で、Apple製品との相性の良さは抜群です。特にMacについて言えば、MOVはQuicktime標準動画形式なので、MacOS上で動画データを編集するのであれば断然MOVファイルが向いていると言えるでしょう。

逆に、MOVはWindowsとの相性がよくありません。Windowsの古い型などの場合、 MOVファイルが開けないこともあるので注意が必要です。

MP4:MOVから派生した最も一般的な動画形式

MP4は、現在、業界で最も多く使われている一般的な動画形式と言えるでしょう。MOVをさらに洗練させた形で開発され、映像データをはじめ音声や字幕、3Dデータまで何でも格納できるという特長があります。

大抵の動画プレイヤーに対応しているので、動画データを「なんの形式で保存したらいいか分からない」という素人の疑問にも「とりあえずMP4で保存すれば問題なし」と言える、大変便利な形式です。

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