現代社会

5分で分かる「内藤湖南」天才と言われた人物像と関連著書の概要を会社員ライターが分かりやすく解説!

(中略)しかし天然を征服するという事が決して真の文化ではない。民族生活の極度のものではない。その上に天然を醇化…すなわち天然を保護し育成して天然の中に安んじうる程度になるところのものがすなわち真の文化生活であらねばならぬ。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

実際の著書ではこの項のなかで唐宋変革論についても詳しく解説されているぞ。掲載内容については前項と重複するからここでは省略するがな。

内藤湖南は元々日本史や哲学といった分野から次第に中国文化史に専念していくようになった人物です。だからこそ、それぞれの文化の特色をみつめなおすことができたと言えるのではないでしょうか。

日本と中国はそれぞれ長い歴史の中であらゆる文化を、時間をかけて成熟させてきたのです。それはときに受け入れ模倣し、またそれが発信されさらに手が加えられていくというようになりました。こうした一連の大きな流れそのものに文化的な価値があるというのが湖南の論述の一つであると言えるでしょう。

<考察>持続可能な社会へとつながる視点

image by iStockphoto

湖南の考える真の文化生活は自然との調和を訴えるものでした。自然を保護し、そこにある資源の中で生活していくという考え方は今まさに国際的に議論が白熱しているSDGs(持続可能な開発目標)の考え方に通ずるものがあるのではないでしょうか。

内藤湖南の生きた時代は主に明治初期から昭和前期にかけて、まさに日本が文明開化から戦争を経て経済的にも著しく発展していった時代。SDGsという言葉は近年よく取りざたされるようになりましたが、百年近く前からすでに課題は提起されていたのです。ここまで解決を引き延ばしてきた問題に我々は向き合うときが来ているのではないでしょうか。

東洋文化史は内藤湖南の入門書

「東洋文化史」は湖南の死後残されていた資料を他の人が再編纂したものです。そのため、内藤湖南を紹介するにあたっては代表作として支那論などを挙げる人もいるでしょう。今回この作品を紹介したのは、入門書として読みやすいからです。ここには彼の論述の骨子となる部分が非常に分かりやすく端的にまとめられています。短編の論述の組み合わせで構成されているのもまた読みやすさの理由の一つです。今回紹介しきれなかった京大文科設立に関する項や、希少資料についての項など、実際に一度彼の論述に触れてみていただきたいと思います。文化の多様性が求められる時代に優劣をつける彼の論旨は現代の私たちからすると不自然に感じるところもあるかもしれません。しかし、京都シナ学の開祖とされる当時の彼の斬新な視点が現代の研究の礎を築いているのです。

1 2 3 4
Share: