
齧歯類とよばれる動物の仲間にはどんなものがいるのか、どんな共通点があるのか…いろいろな角度から確認していきたい。自分の身の回りにいる齧歯類についても考えられるようになるといいな。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。

ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
齧歯類とは?
齧歯類(げっしるい)とは、哺乳綱(ほにゅうこう。哺乳類とも)の齧歯目(げっしもく)に含まれている動物を指す言葉です。
齧歯目はネズミのなかまが属しているグループであることから、ネズミ目といわれることもあります。

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その通りですね。「齧」という漢字が難しいので、一般的にはひらがなを使って書かれることの方が多いと思います。齧歯目も「げっ歯目」の表記の方がよくみられるでしょう。
ちなみに、「齧」は「齧る(かじる)」という漢字です。ネズミのなかまの特徴をうまく表した分類群の名称ですよね。
齧歯類の特徴
では、齧歯類の代表であるネズミの姿を思い浮かべながら、齧歯類の特徴を確認してきましょう。
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伸び続ける門歯
齧歯類という言葉の由来でもあり、最大の特徴といっても過言ではないのが、齧歯類のもつ大きな門歯(もんし)です。門歯というのは、私たちが前歯とよぶ歯ですね。切歯(せっし)ということもあります。

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齧歯類は、非常によく発達した門歯を上下にもっています。この門歯は一生にわたって伸び続けるのです。自然であれば、硬いものを食べるときに自然に削られて、歯が伸びすぎるということが防げます。
ちなみに、齧歯類の門歯は外側と内側で材質が違うんです。歯の外側は硬いエナメル質、内側はエナメル質よりも柔らかい象牙質からなります。
硬いものを門歯で齧りとろうとすると、歯の内側の方が早く削れて、鋭くとがった”のみ”のような形状になるのです。
犬歯や前臼歯がない
立派な門歯をもつ一方で、齧歯類には犬歯(けんし)や前臼歯(ぜんきゅうし)がありません。
犬歯とは私たち人間の口でいうところの”八重歯”になりことがある歯。肉食獣では発達した”牙”となることが多く、肉を切り裂くのによく使われます。前臼歯は犬歯のとなり(口の奥側)にある歯です。
齧歯類にこれらの歯がみられないのは、その食性が関係していると考えられます。
多くは草食性

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齧歯類はその多くが、おもに植物を食べる草食性です。伸び続ける門歯を上手に使い、硬い樹木の皮や木の実をかじります。肉を引き裂く犬歯が不要になったのも、この食性のためでしょう。
ただし、一部には虫や魚をおもに食べる、例外的な齧歯類もいます。
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