この記事ではわかめと昆布の違いについてみていきます。2つとも栄養価が高く、健康食品としても人気のある海藻です。なんとなく似ているように思うが、見た目や栄養素など、調べてみるといろいろ違いがあるみたいです。
今回はそんなわかめと昆布の違いを、海藻の分類から確認しつつ、料理好きライター田嶋と一緒に解説していく。

ライター/田嶋あこ

食いしん坊な料理好きライター。健康が気になり、最近は素材の栄養素などについてもいろいろと調べるようになった。日々の料理経験を活かして、違いをわかりやすく解説していく。

わかめと昆布って同じ分類の海藻なの?

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わかめと昆布は褐色の海藻類(褐藻類)という点は同じですが、細かな分類は異なります。それぞれがどんな海藻なのか、さっそくチェックしてみましょう。

わかめ:褐藻網コンブ目チガイソ科の海藻

わかめは褐藻類の中のチガイソ科に分類されます。緑色というイメージを持っている方が多いかもしれませんが、わかめは海の中では褐色(濃い茶色)なため、褐藻類です。

チガイソ科の仲間
チガイソ・ヒロメ

よく流通しているわかめの種類
ナルトワカメ・ナンブワカメなど

主な商品
乾物・ボイルしたものが多い。時期によっては生も出回る。

昆布:褐藻網コンブ目コンブ科の海藻

昆布は褐藻網コンブ目コンブ科の海藻の総称です。コンブ科に分類される海藻は10種類以上とかなり多くあります。

コンブ科の仲間
アラメ・アントクメ(シワメ)・カジメ・ツルアラメ・オニコンブ・ガゴメ・ナガコンブ・ホソメコンブ・マコンブ・ミツイシコンブ・リシリコンブなど

よく流通している昆布の種類
マコンブ・リシリコンブ・ミツイシコンブ・ホソメコンブ・ナガコンブの5種。その中でもナガコンブは日本で生産量が最多。

主な商品
乾物や生物のほか、ホソメコンブはとろろ昆布・ガゴメコンブはおぼろ昆布などに加工されるなど、昆布の種類によって様々。

\次のページで「わかめと昆布の違いを詳しくチェック!」を解説!/

わかめと昆布の違いを詳しくチェック!

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わかめと昆布はどちらもメジャーな海藻です。食べたことはあるけど、細かな違いがわからないという方も多いのではないでしょうか?見た目や生産地など、様々な点から違いをみていきましょう。

わかめと昆布の「見た目」の違い

わかめは、根っこ→細胞が集まってできたヒダ→茎→葉っぱ(茎から複数に分かれる)という見た目をしています。茎は長めです。

一般的に「わかめ」という名称で売られているのは葉っぱの部分にあたります。わかめは茎の部分も美味しく、「茎わかめ」として人気です。成長していくと、葉っぱが1〜2mほどにの長さになるのも特徴。

昆布は、根っこ→茎→葉っぱ(1枚)という見た目。一般的に「こんぶ」として売られているのは葉っぱの部分です。

茎わかめほどメジャーではありませんが、昆布の茎も食べることは可能で、地域や時期限定で売られています。こんぶは成長すると、葉っぱが10mほどとかなりの長さになるのが特徴です。

わかめと昆布の「生産地」の違い

わかめは気温の影響をあまり受けないので、日本各地で収穫されています。また、養殖や中国・韓国からの輸入も盛んです。国内でよく食べられている海藻の中で生産量が最も多いため、価格も安いという特徴を持っています。

一方、こんぶは寒いところでしか育ちません。そのため日本国内での主な生産地は北海道(たまに東北)と限定されています。こんぶも養殖は行われていますが、天然物の生産量の方が多いです。そのため、わかめに比べて価格は高くなります。

わかめと昆布の「旬」の違い

わかめと昆布は、旬の時期や成長する期間が異なります。私たちが見慣れている乾物として売られるまでの加工期間も違ってくるので、併せてみていきましょう。

わかめ
旬:3月〜5月頃
成長期間:1年
加工方法:熱湯で茹で、海水で冷ました後に塩を絡める。1日置いてから葉と茎などに分けて冷蔵保存。その後は脱水して袋詰めされ出荷へ。

昆布
旬:7月〜9月頃
成長期間:2年(養殖だと1年の場合もあり)
加工方法:汚れを洗い流してから1枚1枚天日干しをする。完全に乾いたら袋詰めされ出荷へ。

わかめは育って1年目のものが商品になりますが、こんぶは基本的に2年目のものが食用として出荷するのにふさわしいとされています。

また乾物として出荷するまでの加工方法も、こんぶの方が大変です。天日干しは天候に左右されるので手間も時間もかかります。商品になるまでの期間や労力を考えると、わかめより昆布の方が高価であることも頷けますね。

わかめと昆布の「栄養素」の違い

わかめと昆布は栄養素も違ってきます。どちらも食物繊維が豊富で体にいいと言われている食材ですが、他にどんなが含まれているのか、特徴的な栄養素を確認してみましょう。

\次のページで「わかめと昆布のそれぞれに適した使い方って?」を解説!/

わかめの特徴的な栄養素
わかめは炭水化物に分類される、アルギン酸やフコイダンという成分が多く含まれている。整腸作用やコレステロールや血圧を下げてくれる効果も。

昆布の特徴的な栄養素
鉄分やカルシウムなどの体に必要な成分や、グルタミン酸という旨味成分を多く含む。

わかめと昆布に含まれるヨウ素について

ヨウ素は人間にとって必要不可欠な栄養素。新陳代謝などを促してくれる効果がありますが、過剰摂取は注意が必要です。

ヨウ素は摂取しすぎると甲状腺機能が低下する恐れがあります。機能が低下すると、疲労感が抜けなかったり食欲がなくなったりしてしまうことも。

わかめと昆布はヨウ素を豊富に含んでいるので、毎日食べるのは控えた方がいいでしょう。

わかめと昆布のそれぞれに適した使い方って?

わかめと昆布は料理における使い方も違いがあります。ポイントとなるのは旨味成分の出方の違いです。適した使い方を知って、美味しく調理しましょう!

わかめ:具材として使う

わかめは出汁としては不向きです。昆布の代わりにわかめで出汁を取ろうとしても、旨味成分はあまり抽出されません。

ただ、わかめは口に入れて噛むと豊かな風味を感じることができます。具材として使うことに向いている食材だと言えるでしょう。お味噌汁やナムル、酢の物などの具として使ってみてください!

昆布:具材・出汁として使う

昆布は旨味成分が豊富なので、出汁としても向いている食材です。水の量に対して1割の昆布を入れておくだけで、旨味成分が抽出されます。熱を通すと旨味成分がより濃厚にでるので、煮物や汁物にもぴったりです。

もちろんそのまま食べても美味しく頂けるので、具材として使うこともできますよ。刻んだ昆布を天ぷらにしたり、塩昆布を唐揚げの衣に混ぜたりするのもおすすめです。

わかめと昆布は「メカブ」「海苔」「ヒジキ」「モズク」とも違うの?

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スーパーに行くと、わかめや昆布の他にも様々な海藻が売られていますよね。中でもよく目にする、「メカブ」「海苔」「ヒジキ」「モズク」についてもご紹介していきます。

\次のページで「メカブ:わかめの一部」を解説!/

メカブ:わかめの一部

とろっとした粘り気が特徴的なメカブ。実はわかめの一部だということはご存知でしたか?

わかめには根っこの近くに、生殖細胞がヒダのように集まった部分があります。この部分がメカブなのです。

普段は刻んで加工されたものが売られていますが、時期によっては生の状態でお店に並ぶこともあります。肉厚で歯ごたえのあるコリコリした食感が楽しめるので、ぜひ試してみてください。

海苔・ヒジキ・モズク:全く別の海藻

海苔・ヒジキ・モズクは、どれもわかめや昆布とは別の海藻です。それぞれがどんな海藻なのかみていきましょう。

海苔
水中の岩に苔のように付いて生きている、食用藻類の総称。紅藻・緑藻・藍藻などが含まれる。乾燥させて紙のような形にした板海苔などに加工されることが多い。

ヒジキ
褐藻網ヒバマダ目ホンダワラ科の海藻。木の棒のような細長い形の葉が特徴。小さく切って乾燥させたものや、煮物として売られていることが多い。

モズク
褐藻網シオミドロ目ナガマツモ科の海藻。細い糸のような葉の形。海の中では、ホンダワラ類の海藻にくっ付いて生きている。もずく酢などに加工されてよく売られている。

違いを活かして美味しく食べよう!

わかめと昆布は似ているようで全く別の海藻です。料理での用途をみても、昆布は出汁としても使えるのに対して、わかめで出汁は取れなかったりと違いがあります。

両方とも健康にいい成分を多く含んでいる食材なので、それぞれの特徴を活かして料理してみてくださいね。乾燥されているものは特別な下処理も必要なく、手軽に使えるのでおすすめです!

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雑学食べ物・飲み物

わかめと昆布の違いって?見た目・栄養素・使い方・よく見かける海藻との違いまで、料理好きライターが詳しくわかりやすく解説

この記事ではわかめと昆布の違いについてみていきます。2つとも栄養価が高く、健康食品としても人気のある海藻です。なんとなく似ているように思うが、見た目や栄養素など、調べてみるといろいろ違いがあるみたいです。
今回はそんなわかめと昆布の違いを、海藻の分類から確認しつつ、料理好きライター田嶋と一緒に解説していく。

ライター/田嶋あこ

食いしん坊な料理好きライター。健康が気になり、最近は素材の栄養素などについてもいろいろと調べるようになった。日々の料理経験を活かして、違いをわかりやすく解説していく。

わかめと昆布って同じ分類の海藻なの?

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わかめと昆布は褐色の海藻類(褐藻類)という点は同じですが、細かな分類は異なります。それぞれがどんな海藻なのか、さっそくチェックしてみましょう。

わかめ:褐藻網コンブ目チガイソ科の海藻

わかめは褐藻類の中のチガイソ科に分類されます。緑色というイメージを持っている方が多いかもしれませんが、わかめは海の中では褐色(濃い茶色)なため、褐藻類です。

チガイソ科の仲間
チガイソ・ヒロメ

よく流通しているわかめの種類
ナルトワカメ・ナンブワカメなど

主な商品
乾物・ボイルしたものが多い。時期によっては生も出回る。

昆布:褐藻網コンブ目コンブ科の海藻

昆布は褐藻網コンブ目コンブ科の海藻の総称です。コンブ科に分類される海藻は10種類以上とかなり多くあります。

コンブ科の仲間
アラメ・アントクメ(シワメ)・カジメ・ツルアラメ・オニコンブ・ガゴメ・ナガコンブ・ホソメコンブ・マコンブ・ミツイシコンブ・リシリコンブなど

よく流通している昆布の種類
マコンブ・リシリコンブ・ミツイシコンブ・ホソメコンブ・ナガコンブの5種。その中でもナガコンブは日本で生産量が最多。

主な商品
乾物や生物のほか、ホソメコンブはとろろ昆布・ガゴメコンブはおぼろ昆布などに加工されるなど、昆布の種類によって様々。

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