
アルコール依存症やギャンブル依存症の仕組み
世の中にはアルコール依存症やギャンブル依存症など様々な依存症が存在しますよね。お酒もギャンブルも適度に嗜む程度であれば楽しくリフレッシュできて良いのですが、度が過ぎると「もっと飲みたい」「次は勝てるかもしれない」「やめられない」といった具合に依存症になってしまいます。
この「もっと~したい」という感情はA10神経系を介して自己報酬系が活性化することで快楽がもたらされること、その良い気分を記憶・学習してしまうこと、が原因なのです。
A10神経系から繋がる2つのルート

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それではもっと詳しく依存症になる仕組みを見ていきましょう。A10神経系から放出されたドーパミンは2つの経路で活性化させます。それは側坐核と前頭前野です。一つづつ説明しますね。
まずA10神経系から放出されたドーパミンを受け取って側坐核が活性化すると高揚感がもたらされます。さらにもう一つのルートである前頭前野というのは記憶・学習を司る場所なので側坐核で得られた高揚感を記憶し、「またあの感覚を得たい」と強く感じるようになります。これが依存のはじまりです。
依存症の脳はどんな状態?

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とは言え、自己報酬系が活性化するたびに依存症になってしまっては困ってしまいます。なので通常であれば放出されたドーパミンを再吸収する働きがあり、興奮は適度な状態で治まるため、お酒を飲んでも平気なのです。
しかし過剰の依存症の脳ではこのドーパミンの再吸収が起こらないことがわかっています。特にアルコールはドーパミンの再吸収を阻害する働きがあるのです。そうなると興奮が治まらず異常な状態、つまり依存状態になってしまいます。
さらに困ったことに、ドーパミンが過剰に分泌された状態ではドーパミン受容体の数が少なくなってしまうのです。そのため、ドーパミンの放出量に対して高揚感が少なく、「もっともっと」と衝動が強くなっていく悪循環に陥ってしまいます。
A10神経系に関係する病気
最後にA10神経系に関係する病気であるパーキンソン病についてご紹介します。
パーキンソン病はA10神経からのドーパミンの分泌量が異常に少なくなってしまう病気です。患者の数は10万人に100人~150人くらいで、高齢になるほど発症率が高いと言われています。発症の原因はよくわかっていません。
症状としては体が動かしにくくなったり表情がこわばったりします。身体的な症状以外だと鬱や幻覚などの精神症状や認知障害、自律神経系の症状など様々な症状があり、ドーパミンがいかに人間の生活に必要なものであるかがわかりますね。
A10神経系を活性化して、楽しく勉強しよう!
やる気や集中力をアップさせるためにはA10神経系を活性化することが重要であることがわかりましたね。嫌々頑張って勉強するよりも、面白さを見出したり達成感を一度味わい、その高揚感を覚えておくことのが重要なんです。皆さんも自分の脳の仕組みを理解して、上手にやる気を引き出しましょう!
一方で、くれぐれもA10神経系を暴走させて依存症になってしまうことのないように気を付けてくださいね。
イラスト引用元:いらすとや