
鉛の有毒性
鉛は有毒性の高い金属であることがわかっています。血液中の鉛濃度が高くなると、頭痛・貧血・胃腸障害・歩行障害などの症状に加えて、人格が変化するなどの精神的な症状があらわれるとされていますよ。
また、鉛は人間だけでなく動植物にも悪い影響を与えます。特に海の中にいる魚の場合、生物濃縮の影響で生態系ピラミッドの頂点に位置する魚の血中鉛濃度が非常に高くなってしまうという問題もあるのです。
鉛の環境への流出
鉛が環境中に流出する経路はいくつか存在しますが、最も多いのは家電製品の不法投棄に起因するものです。家電製品の中には、有鉛はんだが含まれています。それが酸性雨と反応することで、イオン化し水に溶けるのです。
水に溶けた鉛は最初は土壌へと流出し、やがて河川・湖沼・海洋へとたどり着きます。また、以前は自動車用ガソリンの添加剤に鉛が含まれており、自動車の排ガスも鉛の流出経路になっていましたよ。
鉛の規制と鉛フリー技術
近年、鉛による環境汚染が深刻な問題として捉えられるようになりました。そこで、国際的な鉛の規制枠組みが誕生したり、代替技術が開発されたりするようになったのですね。鉛の規制として最も有名なものはRohs指令です。これはEU(ヨーロッパ連合)における鉛規制の法律ですよ。
また、有鉛はんだの代替品として、鉛フリーはんだや導電性接着剤などが登場しています。鉛フリーはんだはすず・銀・銅などを含む合金ですよ。導電性接着剤は銀などのナノ粒子を接着剤に練りこんだものになります。
鉛という元素の光と影を学ぼう!
この記事の中では、鉛の化学的な性質や特徴について説明するだけでなく、鉛を利用した技術と鉛による環境汚染についても述べました。鉛を利用した技術は光の部分であり、人々の生活を豊かにすることができます。一方で鉛による環境汚染は影の部分ですよね。
このように、科学技術は光と影の二面性を含んでいることがほとんどです。鉛というのは、このことを理解するための良い教材だと言えるでしょう。ぜひこの記事を読んで、鉛という元素について学んでみてくださいね。