今回は「抵抗とインピーダンスの違い」について解説していきます。

抵抗とインピーダンスは、どちらも電流の流れくにさを表す指標になっている。そのため、両者の違いがわからずに混同した状態で理解してしまうことも少なくないぞ。そこで、この記事では両者の違いを明確にすることを目標とします。ぜひ、この機会に抵抗とインピーダンスの違いについての理解を深めてくれ。

中学時代に独学で第二種電気工事士免状を取得した理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

小学生のころ、電子工作にドハマリし、中学時代には独学で第二種電気工事士免状を取得した。電気について独学する機会が多かったこともあり、電気の学習がいかに難しいかということもよく理解している。

抵抗とインピーダンスの違いについて学ぶ前に

今回の記事のメインテーマは、「抵抗とインピーダンスの違い」です。これらの用語は、電気工学を学ぶと必ず目にする言葉ですよ。両者とも電流の流れにくさを表す指標として知られています

抵抗とインピーダンスの違いを本質的に理解するためには、直流と交流の違いを学んでおく必要がありますよ。そこで、記事の前半部分では、直流と交流についての説明をすることにしました。それでは早速、説明をはじめますね。

直流とは?

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直流はプラス極とマイナス極の向きが常に同じ電気のことを指します。具体的には、乾電池のような定電圧電源太陽電池のような定電流電源が直流電源に分類されますよ。都市部の鉄道や地下鉄は直流モーターを利用して動いています。

直流はスマートフォンのような精密電子機器を稼働させるような用途にも向いていますよ。また、蓄電池などに電気エネルギーをためる際にも直流の電気が使われるのです

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交流とは?

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交流はプラス極とマイナス極が絶えず入れ替わり続ける電気のことを指します。各家庭のコンセントにやってくる電気は実効値100Vの交流です。交流のプラス極とマイナス極が1秒間のうちに入れ替わる回数は周波数で表されます

交流の最大の特徴は、変圧器を用いて電圧を簡単に変えることができることです。この利点を活用して、発電所から需要家への送電は交流で行われています

抵抗器・コンデンサ・コイルの役割

電気回路において重要な役割を果たす素子として、抵抗器コンデンサコイルなどが挙げられます。ここでは、抵抗とインピーダンスの違いを議論する準備として、これら3つの素子の性質や特徴についての説明をしますね

特に、各部品が直流と交流に対してどのような振る舞いをするのかが議論の中で大切になります。ぜひ、この点に注目して記事を読み進めてくださいね。

抵抗器

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抵抗器は電流を流しにくくするための部品です電流の通しにくさの度合いは、抵抗値R(レジスタンス)で表されます。絶縁体の抵抗は限りなく大きくなり、導体の抵抗は極めてゼロに近くなるのです。なお、抵抗器は直流と交流のどちらにも同じ効果を示しますよ

抵抗値の単位はΩ(オーム)であり、それはオームの法則に従うことが知られています。また、抵抗器は抵抗負荷と表現されることもありますよ。抵抗器の例としては、電熱ヒーターや電球などが挙げられますよ

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コンデンサ

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コンデンサ(キャパシター)は電気を静電エネルギーとして蓄えるための部品です。コンデンサが蓄えることができる電気の量は、容量F(ファラッド)で表されます。コンデンサは電源の安定化のために使用されたり、ノイズフィルターとして使われたりしますよ

直流に対して、電源投入後を除き、コンデンサは絶縁体として作用することが知られています。一方、交流に対して、コンデンサは電気を通すことが知られていますよ。ただし、コンデンサは交流電流を無制限に流すわけではありません。つまり、コンデンサは交流電流を流しにくくする作用があるのです。この作用の度合いは容量性リアクタンスXC[Ω]で表されます。

コイル

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コイル(インダクター)は電気を磁気エネルギーとして蓄えることができる部品として知られています。その能力の大きさは、自己インダクタンスH(ヘンリー)という値と相関がありますよ。コイルもコンデンサと同じような用途で使用されます

コイルに直流電流を流すと、電源投入後を除いて、導体として振る舞いますよ。一方、交流をコイルに印加すると電流を流れにくくするように振る舞うのです。コイルが交流を流しにくくする作用の度合いは、誘導性リアクタンスXL[Ω]で表されます。

抵抗とインピーダンスの違いについて結論を出そう!

ここまでのチャプターで、抵抗とインピーダンスの違いを理解する上で必要になる前提知識をすべて説明することが出来ました。それでは、遅くなりましたが、本題に入っていきましょう。

以下では、抵抗とインピーダンスの定義をそれぞれ考えて、両者の違いを明らかにしていきますよ。また、抵抗とインピーダンスがどのような単位を使って表されるのかという点も考えてみましょう

抵抗とインピーダンスの違い

抵抗とインピーダンスの違い

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抵抗とインピーダンスはどちらも電流の流れにくさを表す指標ですが、対象となる電気の種類が異なりますよ。抵抗は直流電圧を印加したときの電流の流れにくさを表します。つまり、回路中に存在する抵抗器の成分のみを考慮した値となるのです

一方、インピーダンスは交流電圧を印加したときの電流の流れにくさを表します。つまり、インピーダンスの値は回路中の抵抗器・コンデンサ・コイルのすべてを考慮したものになりますよ。つそれゆえ、インピーダンスの大きさは抵抗値(レジスタンス)と容量性・誘導性リアクタンスの3つの値を用いて算出されます。

抵抗とインピーダンスの単位

抵抗とインピーダンスはどちらともΩ(オーム)という単位を用いて表されます。それゆえ、電気工学に関する文書の中でΩという表記を見つけた時には、抵抗とインピーダンスのどちらを表しているかをしっかりと確認する必要がありますよ。

同じ単位であっても表しているものが全く違うということは、今回のような抵抗とインピーダンスの違いだけには限られません。単位を見ただけで数値の意味を判断することなく、文脈から数値の意味を考える習慣も大切ですよね

抵抗とインピーダンスの違いを学ぶ意義

抵抗とインピーダンスはどちらも電流の流れにくさを表す指標であり、単位も同じものを使用しますよね。そのため、両者の違いをよく理解できていない方が多いかと思います。

実は、多くの製品の仕様表には抵抗やインピーダンスの文字が存在しますよ。身近な例としては、スピーカーやテレビの接続ケーブルの仕様表などが挙げられます。身近な存在でありながら、あまり知られていない抵抗とインピーダンスの概念をぜひこの機会に身につけてくださいね。

" /> 3分で簡単抵抗とインピーダンスの違い!両者の定義を現役理系学生ライターが徹底わかりやすく解説! – Study-Z
物理理科電磁気学・光学・天文学

3分で簡単抵抗とインピーダンスの違い!両者の定義を現役理系学生ライターが徹底わかりやすく解説!

今回は「抵抗とインピーダンスの違い」について解説していきます。

抵抗とインピーダンスは、どちらも電流の流れくにさを表す指標になっている。そのため、両者の違いがわからずに混同した状態で理解してしまうことも少なくないぞ。そこで、この記事では両者の違いを明確にすることを目標とします。ぜひ、この機会に抵抗とインピーダンスの違いについての理解を深めてくれ。

中学時代に独学で第二種電気工事士免状を取得した理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

小学生のころ、電子工作にドハマリし、中学時代には独学で第二種電気工事士免状を取得した。電気について独学する機会が多かったこともあり、電気の学習がいかに難しいかということもよく理解している。

抵抗とインピーダンスの違いについて学ぶ前に

今回の記事のメインテーマは、「抵抗とインピーダンスの違い」です。これらの用語は、電気工学を学ぶと必ず目にする言葉ですよ。両者とも電流の流れにくさを表す指標として知られています

抵抗とインピーダンスの違いを本質的に理解するためには、直流と交流の違いを学んでおく必要がありますよ。そこで、記事の前半部分では、直流と交流についての説明をすることにしました。それでは早速、説明をはじめますね。

直流とは?

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直流はプラス極とマイナス極の向きが常に同じ電気のことを指します。具体的には、乾電池のような定電圧電源太陽電池のような定電流電源が直流電源に分類されますよ。都市部の鉄道や地下鉄は直流モーターを利用して動いています。

直流はスマートフォンのような精密電子機器を稼働させるような用途にも向いていますよ。また、蓄電池などに電気エネルギーをためる際にも直流の電気が使われるのです

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