この記事では「血気に逸る」について解説する。

端的に言えば「血気に逸る」の意味は「勢い込んで激しい行動をすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「血気に逸る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「血気に逸る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「血気に逸る(けっきにはやる)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「血気に逸る」の意味は?

「血気に逸る」には、次のような意味があります。

一時の意気に任せて向こう見ずに事をする。「—・った行動」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「血気に逸る」

この言葉は、「血の気に任せて、激しい行動をしようとすること」を意味する慣用表現です。「血の気に任せて」という点がポイントで、衝動的である・我慢できないというニュアンスがあることを押さえましょう。

「血の気に任せて」とは、簡単に言えば、カーッと頭に血が上った状態と言えるでしょうか。冷静な判断ができない時に何かしようとすると、だいたい物事は上手くいきませんね。そんな人がどんな言動を取りがちか、想像してみるのも理解に役立つでしょう。

「逸る(はやる)」も押さえて欲しいポイント。「逸材(いつざい=優れた人物のこと)」などの単語がありますが、「逸」には「他より抜きんでている・先に行っている」という意味があります。

気持ちなどが「先に行っている」ことを「焦る、慌てる」と言うように、気持ちが制御できない感じをイメージしてください。

「血気に逸る」の語源は?

次に「血気に逸る」の語源を確認しておきましょう。「血気」とはもともとも、「血液と気力」のこと。その、「体を支える力」という意味から「活動的な、激しい気持ち」を意味する言葉としても使われていました。

「血気盛ん」や「血の気が多い」などの表現もありますね。興奮し、攻撃的であるニュアンスを感じさせる言葉ですが、そこに先ほど解説した「逸る」という言葉がセットになって、衝動的な行動を表すのに使われるようになったと考えられるのがこの言葉なのです。

なお余談ですが、言葉の響きから「血気に走る」と勘違いしてしまう人もいる様子。そのような表現はありませんので、気を付けてくださいね。

\次のページで「「血気に逸る」の使い方・例文」を解説!/

「血気に逸る」の使い方・例文

「血気に逸る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・新入社員が血気に逸っているさまを見て、俺も若者の頃はあんなに情熱的だったという上司だが、今でも十分エネルギッシュだし、無鉄砲でさえある。

・血気に逸る相手に限って興奮した感情が冷めやすかったりするのだが、衝突してエネルギーを発散させるからだと心理学でも解釈されている。

・昔は血気に逸る生徒が多かったと先生は言うけど、自分に言わせれば今は静かに自分なりに奮起するのが主流なのだ。

「向こう見ずなことをする」「感情任せに行動する」というニュアンスが伝わりますでしょうか。気持ちを制御しきれないイメージからか、その行動によって失敗した・周囲に迷惑をかけたという結果になることが多くあります。良くない展開や重大な事態が続くことがあるため、注意しましょう。

一方で、「血気に逸る若者」のように言った場合は、その元気さを褒めている場合も。体育会系なイメージと言えるでしょうか。どちらの意味にせよ、文脈から読み取れるようにしたいものです。

このニュアンスのためか、若者や経験の浅い人に対して使われることが多いのですが、現代では年配の人も「血気に逸る」行動をするニュースを耳にしたりしますね。もしかすると、年代に関係なく使うのが今後普通になってくるかもしれません。

「血気に逸る」の類義語は?違いは?

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「血気に逸る」の類義語には、「軽挙妄動(けいきょもうどう)」を紹介します。

「軽挙妄動」

「軽挙妄動」は「軽はずみで、考えなしの行動を取ること」。「軽挙=軽はずみな行動」で「妄動=考えのない動き」と、悪い意味が重なっている四字熟語です。

どちらの熟語も耳にすることは少なく、読み方もあまりしないものだと思いますので、言葉としてしっかり押さえましょう。余裕があれば、自分なりに辞書や用語辞典で引いてみることもおすすめします。

「血気に逸る」との大きな違いとしては、「若さ・元気さ」を表現するような前向きな使われ方はしないこと。こちらはあくまで、その良くない行動を示すことに限定されているのに注意です。

\次のページで「「血気に逸る」の対義語は?」を解説!/

授業で用語の説明をするとき、先生は授業をサボって日中から遊んでいるクラスメートを示して、あれが軽挙妄動だと言っていた。

「血気に逸る」の対義語は?

「血気に逸る」の対義語には、「冷静沈着(れいせいちんちゃく)」を紹介します。

「冷静沈着」

「冷静沈着」は「落ち着いていて、理性的である態度」のこと。こちらは現代でもよく耳にする四字熟語のため、知っている人も多いでしょう。時に「冷たい」や「感情の動きが無い」というと悪い意味になることもあるでしょうが、「冷静沈着」は良い意味で使われることが多い表現ですね。

なお、「沈着(ちんちゃく)」はこれ単体だと、漢字の意味をそのままに「色素など物質がたまって付着する」という意味もあります。あまり使わない言葉ですが、こちらも覚えておくといいでしょう。

法律事務所で働いている人たちはみんな沈着冷静なのかと思っていたが、全然そんなことはなく、むしろオフではアクティブな人も多い。

「血気に逸る」の英訳は?

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「血気に逸る」の英訳は「hasty」「hot-blooded」を紹介します。

「hasty」「hot-blooded」

「hasty」は「(動作や判断が)急いだ、せっかちな」を意味する形容詞。「短気な」という意味もあり、良い意味で使われることはあまりない単語です。「血気に逸る」が元気さを前向きに捉える場合もあったのと比べ、こちらはそのように使われません。

「hot-blooded」は「向こう見ずな、怒りっぽい」を意味する形容詞。「hot(熱い)」「blooded(~な血・性質を持った)」とわかりやすい単語から成り立っています。「情熱的な・熱烈な」などの良い意味も持ち、使いやすいフレーズです。形容詞であるため「booled」と受動態にすることも忘れずに。

\次のページで「「血気に逸る」を使いこなそう」を解説!/

Don't be so hasty, Not good for you.
そんなに血気に逸るなよ、君のためにならないよ。

Hot-blooded young people sometimes look dangerous and sometimes brave.
血気に逸る若者は、時に危なっかしく時に勇ましく見える。

「血気に逸る」を使いこなそう

この記事では「血気に逸る」の意味・使い方・類語などを説明しました。「衝動的に」や「抑えきれずに」なんて言い方をすると、あまり良いものとして受け止められないのは、日本的な文化のせいか、それとも世代のせいでしょうか。

価値観が様々になってきた現代では、勢いに任せて行動するのもチャレンジとして前向きに捉えられるかもしれません。一歩踏み出せないという人も、時には「血気に逸った」行動をしてみてもいい、かもしれません。

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国語言葉の意味

【慣用句】「血気に逸る」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校講師がわかりやすく解説!

この記事では「血気に逸る」について解説する。

端的に言えば「血気に逸る」の意味は「勢い込んで激しい行動をすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「血気に逸る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「血気に逸る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「血気に逸る(けっきにはやる)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「血気に逸る」の意味は?

「血気に逸る」には、次のような意味があります。

一時の意気に任せて向こう見ずに事をする。「—・った行動」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「血気に逸る」

この言葉は、「血の気に任せて、激しい行動をしようとすること」を意味する慣用表現です。「血の気に任せて」という点がポイントで、衝動的である・我慢できないというニュアンスがあることを押さえましょう。

「血の気に任せて」とは、簡単に言えば、カーッと頭に血が上った状態と言えるでしょうか。冷静な判断ができない時に何かしようとすると、だいたい物事は上手くいきませんね。そんな人がどんな言動を取りがちか、想像してみるのも理解に役立つでしょう。

「逸る(はやる)」も押さえて欲しいポイント。「逸材(いつざい=優れた人物のこと)」などの単語がありますが、「逸」には「他より抜きんでている・先に行っている」という意味があります。

気持ちなどが「先に行っている」ことを「焦る、慌てる」と言うように、気持ちが制御できない感じをイメージしてください。

「血気に逸る」の語源は?

次に「血気に逸る」の語源を確認しておきましょう。「血気」とはもともとも、「血液と気力」のこと。その、「体を支える力」という意味から「活動的な、激しい気持ち」を意味する言葉としても使われていました。

「血気盛ん」や「血の気が多い」などの表現もありますね。興奮し、攻撃的であるニュアンスを感じさせる言葉ですが、そこに先ほど解説した「逸る」という言葉がセットになって、衝動的な行動を表すのに使われるようになったと考えられるのがこの言葉なのです。

なお余談ですが、言葉の響きから「血気に走る」と勘違いしてしまう人もいる様子。そのような表現はありませんので、気を付けてくださいね。

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