


解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/おとの
言葉の意味や違いへの興味が尽きない雑学オタク。業界用語や隠語も好き。覚えたての言葉はつい使いたくなってしまうが、知ったかぶりで恥をかかないように、入念な下調べを心がけている。
心肺停止と死亡の違いは蘇生の可能性の有無

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心肺停止と死亡の最大の違いは、蘇生の可能性の有無です。心肺停止とは死に面した深刻な状態ではありますが、迅速な救命措置によって蘇生する可能性があります。一方、死亡は生命活動に必要な器官が不可逆的に停止したため、どのような処置を施しても、蘇生する可能性はないのです。

蘇生の可能性の有無とは、平たく言えば、その状態になってからまだ助かる可能性があるかないかということだな。では、体の状態や症状の観点からすると、心肺停止と死亡にはどのような違いがあるのだろうか。次で詳しく解説するぞ。
心肺停止と死亡の定義

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この項では、心肺停止と死亡の臨床的な定義について解説します。最初にこの2つの違いは蘇生の可能性だと説明しましたね。ではその判断基準とは、体のどの器官がどのような状態になっていることなのでしょうか。以下でそれぞれの詳細を確認していきましょう。
心配停止:心臓と呼吸が停止している状態
心肺停止とは、心臓と呼吸が停止している非常に危険な状態です。心臓は全身に酸素や栄養を届けるポンプの役割。その心臓が止まっている状態が続けば、当然のことながら死に至ることになります。また人間の脳が重度の障害を負うまでの時間は、心臓が停止してからたったの3〜5分。そのため、万が一にでも心肺停止状態の人を見つけた場合には、心臓マッサージやAEDによって、早急な救命措置が必要となるのです。
死亡:心肺停止に加えて瞳孔散大の状態
死亡とは、心肺停止に加えて、瞳孔散大の状態を指します。瞳孔散大とは、開いた目に光を当てたとき瞳孔が開いたままであること。本来は目に入る光の量を調整するために、瞳孔は自然に小さくなるはずですよね。勿論、瞳孔が散大しているからといって必ず命の危機にあるわけではありません。薬の副作用や病気が原因の場合もあります。日本では心停止と呼吸停止および瞳孔散大を『死の三兆候』としており、これらが全て揃うと、蘇生の可能性はないとして死亡と判断されるのです。
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