この記事では心肺停止と死亡の言葉の違いについてみていきます。どちらも自分や家族、友人などのことを考えると遠ざけたい言葉ですね。心肺停止と聞くと、もう助からないイメージも強く、死亡との差がハッキリ分かっていない人も多いでしょう。調べてみるとこの2つには、体の状況や確認方法など様々な違いがあるみたいです。今回はこれらの言葉の意味や違いを、日本語が大好きなライターおとのと一緒に解説していきます。

ライター/おとの

言葉の意味や違いへの興味が尽きない雑学オタク。業界用語や隠語も好き。覚えたての言葉はつい使いたくなってしまうが、知ったかぶりで恥をかかないように、入念な下調べを心がけている。

心肺停止と死亡の違いは蘇生の可能性の有無

image by iStockphoto

心肺停止と死亡の最大の違いは、蘇生の可能性の有無です。心肺停止とは死に面した深刻な状態ではありますが、迅速な救命措置によって蘇生する可能性があります。一方、死亡は生命活動に必要な器官が不可逆的に停止したため、どのような処置を施しても、蘇生する可能性はないのです。

心肺停止と死亡の定義

image by iStockphoto

この項では、心肺停止と死亡の臨床的な定義について解説します。最初にこの2つの違いは蘇生の可能性だと説明しましたね。ではその判断基準とは、体のどの器官がどのような状態になっていることなのでしょうか。以下でそれぞれの詳細を確認していきましょう。

心配停止:心臓と呼吸が停止している状態

心肺停止とは、心臓と呼吸が停止している非常に危険な状態です。心臓は全身に酸素や栄養を届けるポンプの役割。その心臓が止まっている状態が続けば、当然のことながら死に至ることになります。また人間の脳が重度の障害を負うまでの時間は、心臓が停止してからたったの3〜5分。そのため、万が一にでも心肺停止状態の人を見つけた場合には、心臓マッサージやAEDによって、早急な救命措置が必要となるのです。

死亡:心肺停止に加えて瞳孔散大の状態

死亡とは、心肺停止に加えて、瞳孔散大の状態を指します。瞳孔散大とは、開いた目に光を当てたとき瞳孔が開いたままであること。本来は目に入る光の量を調整するために、瞳孔は自然に小さくなるはずですよね。勿論、瞳孔が散大しているからといって必ず命の危機にあるわけではありません。薬の副作用や病気が原因の場合もあります。日本では心停止と呼吸停止および瞳孔散大を『死の三兆候』としており、これらが全て揃うと、蘇生の可能性はないとして死亡と判断されるのです。

\次のページで「心肺停止と死亡を判断するのは誰?」を解説!/

心肺停止と死亡を判断するのは誰?

image by iStockphoto

上の項では心肺停止と死亡の定義や基準について確認しましたが、ではその判断は誰が下すものなのでしょう。確かに心音を聞いたり、口や鼻に手を当てたりすれば、心肺停止か否かは分かりますよね。ペンライトを持ち歩くことは少ないでしょうが、スマートフォンのライトでも瞳孔の状態の確認は可能かも知れません。しかし、これらの判断は専門的な知識がなくても行って良いものなのでしょうか。ここでは、心肺停止と死亡はどんな立場の人間が判断するのか解説していきます。

心肺停止:誰でも可能

心肺停止は、心臓の動きがなく呼吸も止まっていることを正しく確認すれば、誰でもその判断を下すことができます。救急車を呼ぶ際に患者や被害者の状況を伝える必要がありますが、そのときに「意識がなく心肺停止の状態です」と言っても構いません。先述した通り、心肺停止は蘇生の可能性があります。できる限りの応急処置をして救急車の到着を待ちましょう。

死亡:医師のみが可能

心肺停止と瞳孔散大の状況を確認して死亡の判断を下すのは、実は医師のみに許された医療行為です。災害や事件の現場に駆け付けた警察官や救急隊員では、心肺停止までは確認できても、その後の死亡を判断することはできません。ニュースを見ていると「心肺停止の状態で搬送され、その後死亡が確認されました」との言い方をよく聞きますが、それは実際の状況でどうであれ、搬送先で医師が確認するまで死亡の判断ができないためなのです。

推理小説などでは、探偵が被害者の死を断定し、救急車ではなく警察を呼ぶように指示する場面がありますが、正式にはこれは間違いということですね。

医師以外が判断する社会死とは?

社会死とは、医者が判断するまでもなく、誰が見ても亡くなっている状態のことです。大規模な災害や事故で負傷者が多数いる場合、救急隊員は1人でも多くの命を助けるために、生存者と死亡者を早急に見極めなければいけません。その際、社会死が明らかであれば、救急搬送や蘇生処置をしなくても良いとされています。

社会死にはいくつかの判断基準があるので確認しましょう。例えば頭部の激しい損傷や胴体の切断、ミイラ化や全身の炭化が見られた場合、一見して蘇生不可と考えられます。その他、以下の6つの項目を全て満たしている際にも、明らかに死亡していると判断が可能です。1.意識レベルがJCS300、2.呼吸をしていない、3.全ての頸動脈で脈拍が感知できない、4.瞳孔散大および対光反射がない、5.体温がなく冷感が認められる

社会死を正しく判断するのはとても難しいこと。近年でも、社会死と判断された後に、本当はまだ息があることが判明して緊急搬送されたケースもあります。非常時こそ冷静かつ慎重な判断ができるように心構えが必要ですね。

具体例で使い方を確認しよう

心肺停止と死亡の詳細が分かったところで、これらの言葉が利用される際の具体例を確認しましょう。現実味があってイメージしやすい状況を選びました。実際に似たような話を見たり聞いたりしたことがないか、思い出しながら読んでみてくださいね。

\次のページで「心肺停止:死亡の判断がされていない状況」を解説!/

心肺停止:死亡の判断がされていない状況

心肺停止とは死亡の判断がされていない状況のことを指します。

・事故に遭った少女は心肺停止の状態で病院に運ばれたが、懸命な処置によって一命を取り留めた。
・事件現場は凄惨だった。ニュース速報では心肺停止と伝えていたが、助かる望みは少ないだろう。
・倒れていた男性が心肺停止だと分かると、周囲の人たちは手分けして救急車を呼んだり心臓マッサージを施したりした。

状況がいかに難しく見えても、医師が確認するまでは助かる望みがあると考えるのが心肺停止。そのため上の例文では、一命を取り留めたり、手分けして救命措置を行ったりしていますね。ニュース速報で心肺停止と伝えて死亡と断言していないのも特徴です。

死亡:蘇生の可能性はないと判断された

・医師は祖父の死亡を確認すると、腕時計を見て静かに「ご臨終です」と言った。
・ニュースで「病院に運ばれましたが」と聞くと、続く言葉が「死亡が確認されました」なのか「命に別状はありません」なのかドキドキする。
・アメリカでは、死亡したと判断された人間が遺体安置所で息を吹き返した事例があるらしい。

死亡は蘇生の可能性がない状態。最初の例文では医師が死亡を宣言している点が特徴的です。ニュースを見ていると「死亡が確認された」というフレーズをよく耳にしますね。これも、病院にて医師の確認が済んだということです。海外では、明らかに死亡していたはずなのにその後に呼吸が確認されるなど不思議なニュースがあり、調べてみると面白いですよ。

\次のページで「脳死との違い」を解説!/

脳死との違い

心肺停止と同じように意識がなく、死に瀕した危機的状態に脳死があります。この項では、脳死について詳細を確認しましょう。

脳には大きく分けて3つの部位があります。知覚や記憶や感情などの心の動きを司る大脳、運動に関わる小脳、呼吸や循環機能や意識のを担当する脳幹。脳死はこれら全ての部位が機能しなくなった状態です。もう少し厳密に言えば、これは「全脳死」と呼ばれ、脳幹のみ機能していない「脳幹死」と区別されます。しかし脳幹死もやがては全脳死に至るため、ここでは全脳死を前提として解説しますね。

脳死は脳幹が機能を停止しているため、自発的に呼吸することはできない状態です。残念ながら回復の見込みはなく、人工呼吸器などの補助があっても、数日から10日ほどで心停止を起こして死亡します。世界の多くの国で、脳死は人の死として扱われているようです。しかし日本においては臓器提供を前提とした場合のみ、人の死として認定されます。つまり臓器提供の意思の有無によって、脳死の段階で死とするか、三兆候を満たしてから死とするかが変わってくるのです。

少しの注意で自分と周りの人を守ろう!

事故や災害は、いつどこで襲ってくるか分からないものです。しかし、本当はどれだけ身近なものだったとしても、私達は常日頃からそのことばかりを考えているわけではありませんよね。寧ろ、遠ざけたい出来事として考えないようにしている部分もあるかも知れません。普段はそれで良いのだと思います。しかし、避けられない災難がある一方で、ちょっとした注意で防げる事故があるのも事実。例えばシートベルトをしっかり着用する。歩きスマホをしない。自転車でスピードを出しすぎるのも危険ですし、飲酒運転など以ての外ですね。「面倒くさい」「このくらい大丈夫」という気持ちを少しだけ抑えることが、自分と周りの大切な人を守ることに繋がります。心肺停止や死亡という深刻なテーマを読んでくれたこの機会に、そのことを少し意識してもらえると嬉しいです。

" /> 3分で分かる心肺停止と死亡の違い!定義や具体例・脳死との違いまで日本語大好きライターが徹底わかりやすく解説! – Study-Z
言葉雑学

3分で分かる心肺停止と死亡の違い!定義や具体例・脳死との違いまで日本語大好きライターが徹底わかりやすく解説!

この記事では心肺停止と死亡の言葉の違いについてみていきます。どちらも自分や家族、友人などのことを考えると遠ざけたい言葉ですね。心肺停止と聞くと、もう助からないイメージも強く、死亡との差がハッキリ分かっていない人も多いでしょう。調べてみるとこの2つには、体の状況や確認方法など様々な違いがあるみたいです。今回はこれらの言葉の意味や違いを、日本語が大好きなライターおとのと一緒に解説していきます。

ライター/おとの

言葉の意味や違いへの興味が尽きない雑学オタク。業界用語や隠語も好き。覚えたての言葉はつい使いたくなってしまうが、知ったかぶりで恥をかかないように、入念な下調べを心がけている。

心肺停止と死亡の違いは蘇生の可能性の有無

image by iStockphoto

心肺停止と死亡の最大の違いは、蘇生の可能性の有無です。心肺停止とは死に面した深刻な状態ではありますが、迅速な救命措置によって蘇生する可能性があります。一方、死亡は生命活動に必要な器官が不可逆的に停止したため、どのような処置を施しても、蘇生する可能性はないのです。

心肺停止と死亡の定義

image by iStockphoto

この項では、心肺停止と死亡の臨床的な定義について解説します。最初にこの2つの違いは蘇生の可能性だと説明しましたね。ではその判断基準とは、体のどの器官がどのような状態になっていることなのでしょうか。以下でそれぞれの詳細を確認していきましょう。

心配停止:心臓と呼吸が停止している状態

心肺停止とは、心臓と呼吸が停止している非常に危険な状態です。心臓は全身に酸素や栄養を届けるポンプの役割。その心臓が止まっている状態が続けば、当然のことながら死に至ることになります。また人間の脳が重度の障害を負うまでの時間は、心臓が停止してからたったの3〜5分。そのため、万が一にでも心肺停止状態の人を見つけた場合には、心臓マッサージやAEDによって、早急な救命措置が必要となるのです。

死亡:心肺停止に加えて瞳孔散大の状態

死亡とは、心肺停止に加えて、瞳孔散大の状態を指します。瞳孔散大とは、開いた目に光を当てたとき瞳孔が開いたままであること。本来は目に入る光の量を調整するために、瞳孔は自然に小さくなるはずですよね。勿論、瞳孔が散大しているからといって必ず命の危機にあるわけではありません。薬の副作用や病気が原因の場合もあります。日本では心停止と呼吸停止および瞳孔散大を『死の三兆候』としており、これらが全て揃うと、蘇生の可能性はないとして死亡と判断されるのです。

\次のページで「心肺停止と死亡を判断するのは誰?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: