この記事では「頭を擡げる」について解説する。

端的に言えば頭を擡げるの意味は「隠れていたこと、押さえていたことが、考えや思いに浮かぶ。少しずつ勢力を得て現れてくる。台頭する。」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

放送局の制作現場の最前線で10年の経験を積んだsinpeito88を呼んです。一緒に「頭を擡げる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/sinpeito88

放送局の現場で10年間、ニュース原稿などを日々執筆。より正確な情報を届けられるよう言葉の探求を続けている。

「頭を擡げる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「頭を擡げる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。ちなみに、この言葉の読みは「あたまをもたげる」です。

「頭を擡げる」の意味は?

「頭を擡げる」には、次のような意味があります。

1.隠れていたこと、押さえていたことが、考えや思いに浮かぶ。

2.少しずつ勢力を得て現れてくる。台頭する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「頭を擡げる」

「頭を擡げる」には、二つの意味があります。まずは、「隠れていたこと、押さえていたことが、考えや思いに浮かぶ。」という意味です。これは、自分の頭の中に考えや思いに浮かんできたものが、自分としては隠れていたこと、もしくは押さえ込んでいてたものであり、それらが頭の中に持ち上がってきたような感覚を指しています。

そしてもう一つの意味が「少しずつ勢力を得て現れてくる。台頭する。」という意味です。こちらは、心の中に想起されてくるようなことというよりも、実際に団体などが勢力を得て台頭してくるような状況を指して使われるということになります。

よって「頭を擡げる」という言葉は、自分の心の中で考えや思いが浮かび上がってくるような内面的な状態を表すことと、実際の人物などが台頭してくるという外面的な様子のどちらに対しても使える言葉といえるわけです。

「頭を擡げる」の語源は?

次に「頭を擡げる」の語源を確認しておきましょう。まず初めに「擡げる」とは「持ち上げる」という意味の言葉。よって、この言葉は「頭を持ち上げる」という意味です。頭が上がることによって、視界が変わり、様々なものが見えてくるということにつながります。そうしたことから「隠れていたこと、押さえていたことが、考えや思いに浮かぶ。」という意味に繋がってくるのです。

また、「台頭」は「擡頭」とも書きます。そうしたことから、「少しずつ勢力を得て現れてくる。台頭する。」という意味を持つことにも自然とつながるわけです。

\次のページで「「頭を擡げる」の使い方・例文」を解説!/

「頭を擡げる」の使い方・例文

「頭を擡げる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.部長は将来的に私を差別して扱うのではないかという不安が頭を擡げて、眠れない夜を過ごした。

2.クリエイターは独立するのは簡単かもしれないが、日々新たな勢力が頭を擡げてくるような厳しい世界だ。

まず、1の例文では部長の言動などから自分のことを悪く扱ってくるのではないかという不安感が頭の中に浮かんできてしまい、結果睡眠を満足にとることができなかったという意味で「頭を擡げる」という言葉が使われています。心の中に隠れていた、あるいは押し込めていた考えや思いということですので、どちらかといえば例文のようなネガティブなものが想定されることが多いです。もちろん、長年温めていた夢であったり、自分にはできないとあきらめようとしていた目標など、ポジティブなものが浮かんでくる場合にも使えます

そして、2の例文では「台頭してくる」という意味合いで「頭を擡げる」が使われていますね。競争の激しい業界では、仮に独立するところまでは果たせたとしても、成長を続ける多くの勢力と戦いを続けなくてはなりません。そうした実際に存在する人物や団体の台頭に対して「頭を擡げる」が使われているわけです。

「頭を擡げる」の類義語は?違いは?

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「頭を擡げる」とは「隠れていたこと、押さえていたことが、考えや思いに浮かぶ。」もしくは「少しずつ勢力を得て現れてくる。台頭する。」という意味を持つ言葉です。その類義語として挙げられるのは「想起」「連想」「頭角を現す」「抜きんでる」といったものになります。

その1「想起」

「想起」とは「以前にあったことなどをおもいおこすこと」という意味の言葉です。「頭を擡げる」とは少し違って、以前経験した出来事や、考えたことなどが再びおもいおこされるということになります。

\次のページで「その2「連想」」を解説!/

それまで意識したこともなかったが、過去に見ていたツイートが突然、想起された。

その2「連想」

「連想」は「ある事柄から、それと関連のある事柄を思い浮かべること。また、その想念。」という意味の言葉。「頭を擡げる」は、思い浮かべる内容などに対しての規則性などを考えることなく使えましたが、「連想」の場合は関連性、連続性がある事柄を思い浮かべるという条件が加わります。

大学入試では、前後の文脈から連想される筆者の気持ちについて問われる問題が出た。

その3「頭角を現す」

「才能、技量などが、周囲の人よりも一段とすぐれる。」という意味の「頭角を現す」という言葉。「頭を擡げる」の意味のうち「少しずつ勢力を得て現れてくる。台頭する。」に近い意味を持っています。その中でも「才能や技量など」について使うことに適した用語です。

切れ味鋭い変化球と勢いのあるまっすぐで、あっという間に頭角を現した。

その4「抜きんでる」

「抜きんでる」にはひときわ高く出る。ひときわすぐれる。秀でる。」という意味があります。「頭を擡げる」の意味の中でも「少しずつ勢力を得て現れてくる。台頭する。」に近い意味の言葉です。

\次のページで「「頭を擡げる」の対義語は?」を解説!/

あのテレビCMで、彼は予備校の国語の講師の中では抜きんでた存在となった。

「頭を擡げる」の対義語は?

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「隠れていたこと、押さえていたことが、考えや思いに浮かぶ。」もしくは「少しずつ勢力を得て現れてくる。台頭する。」という意味を持つ「頭を擡げる」という言葉。この言葉について対義語になる言葉があるとすれば「考えや思いが浮かぶこともない」や「勢力を得て表れることがない。」などの意味を持つ単語となります。よって、そうした意味を持つ単語がないことから、対義語として挙げられる言葉はありません。

 

「頭を擡げる」を使いこなそう

この記事では「頭を擡げる」の意味・使い方・類語などを説明しました。「隠れていたこと、押さえていたことが、考えや思いに浮かぶ。」や「少しずつ勢力を得て現れてくる。台頭する。」という意味を持ったこの言葉。そもそもは「頭を持ち上げる」という意味なのですが、持ちあげたことによって嫌なことが見えてしまったりするので、なんとも皮肉な表現です。一方で「台頭する」という良い意味も含まれていますので、文脈によってどういったニュアンスなのかは、警戒が必要な単語といえます。

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国語言葉の意味

「頭を擡げる」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「頭を擡げる」について解説する。

端的に言えば頭を擡げるの意味は「隠れていたこと、押さえていたことが、考えや思いに浮かぶ。少しずつ勢力を得て現れてくる。台頭する。」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

放送局の制作現場の最前線で10年の経験を積んだsinpeito88を呼んです。一緒に「頭を擡げる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/sinpeito88

放送局の現場で10年間、ニュース原稿などを日々執筆。より正確な情報を届けられるよう言葉の探求を続けている。

「頭を擡げる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「頭を擡げる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。ちなみに、この言葉の読みは「あたまをもたげる」です。

「頭を擡げる」の意味は?

「頭を擡げる」には、次のような意味があります。

1.隠れていたこと、押さえていたことが、考えや思いに浮かぶ。

2.少しずつ勢力を得て現れてくる。台頭する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「頭を擡げる」

「頭を擡げる」には、二つの意味があります。まずは、「隠れていたこと、押さえていたことが、考えや思いに浮かぶ。」という意味です。これは、自分の頭の中に考えや思いに浮かんできたものが、自分としては隠れていたこと、もしくは押さえ込んでいてたものであり、それらが頭の中に持ち上がってきたような感覚を指しています。

そしてもう一つの意味が「少しずつ勢力を得て現れてくる。台頭する。」という意味です。こちらは、心の中に想起されてくるようなことというよりも、実際に団体などが勢力を得て台頭してくるような状況を指して使われるということになります。

よって「頭を擡げる」という言葉は、自分の心の中で考えや思いが浮かび上がってくるような内面的な状態を表すことと、実際の人物などが台頭してくるという外面的な様子のどちらに対しても使える言葉といえるわけです。

「頭を擡げる」の語源は?

次に「頭を擡げる」の語源を確認しておきましょう。まず初めに「擡げる」とは「持ち上げる」という意味の言葉。よって、この言葉は「頭を持ち上げる」という意味です。頭が上がることによって、視界が変わり、様々なものが見えてくるということにつながります。そうしたことから「隠れていたこと、押さえていたことが、考えや思いに浮かぶ。」という意味に繋がってくるのです。

また、「台頭」は「擡頭」とも書きます。そうしたことから、「少しずつ勢力を得て現れてくる。台頭する。」という意味を持つことにも自然とつながるわけです。

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