この記事では「手を引く」について解説する。

端的に言えば手を引くの意味は「手を取って導く。続いていた関係を断ち切るなどして退く。」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

放送局の制作現場の最前線で10年の経験を積んだsinpeito88を呼んです。一緒に「手を引く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/sinpeito88

放送局の現場で10年間、ニュース原稿などを日々執筆。より正確な情報を届けられるよう言葉の探求を続けている。

「手を引く」の意味や使い方まとめ

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それでは早速「手を引く」の意味や使い方を見ていきましょう。ちなみに、この言葉の読みは「てをひく」です。

「手を引く」の意味は?

「手を引く」には、次のような意味があります。

1.手を取って導く。

2.続いていた関係を断ち切るなどして退く。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「手を引く」

まず、「手を引く」には「手を取って導く」という意味があります。相手の手を握るなどして、しかるべき方向に誘導するようなことです。例えば、お出かけなどで小さな子供やお年寄りなどをサポートしながら、その手を取って誘導するような動作を思い浮かべると良いでしょう。

そして「手を引く」のもう一つの意味が「続いていた関係を断ち切るなどして退く」です。仕事の関係で長年続けていた契約などを見直したりするなど関係を断つような時に使われます。いつもであれば手を伸ばしているところに対して、危うさを感じたり、慎重になったりするなどすることも「手を引く」と表現されることがありますので、覚えておきましょう。

「手を引く」の使い方・例文

「手を引く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「手を引く」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.サイトに記載された内容をもとに、彼女は二人の子供の手を引いて有名なレストランにたどりついた。

2.世界をリードする会社の経営に貢献する使命を胸に、立場を超えた意見を交わした結果、契約から手を引いた。

まず、1の例文では、彼女が二人の子供の手を引いて、目的地である有名なレストランまで導いてきたという意味で使われています。この場合の「手を引く」はまさに、小さな子供が行き先まで迷ったりはぐれてしまわないように手を取って導くという行動をそのものとして使われているのです。

続いて、2の文章では、「契約」という、続けていた関係を断ち切ったことを指して使われています。会社の経営などに象徴されるように、人間はありとあらゆる場面で選択と決断が求められるものです。特にビジネスにおいては無駄な支出を続けることは許されません。今回のケースでは、立場を超えた意見の集約や、会社としての指針などに諮ったうえで、これまで継続してきた契約を見直し、破棄するという決断をしたということになります。

「手を引く」の類義語は?違いは?

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「手を取って導く。続いていた関係を断ち切るなどして退く。」という意味を持つ「手を引く」という言葉。その類義語として挙げられるのは「先導する」「案内する」「踏ん切りをつける」「匙を投げる」「諦める」といった言葉です。「手を引く」には、大きく分けて二つの意味がありましたが、これらはその二つのどちらかに対して対応しているという類義語となっています。それでは、一つずつ確認をしていきましょう。

その1「先導する」

「先に立って導く」という意味の「先導する」という言葉。「手を引く」は「手を取って導く」でしたが、「先導する」では手を取るという動作こそないものの、人の先に立ってしかるべき方向に誘導するということになります。例えば、車を運転する相手に対してであれば、その車の前を走って導いたり、マラソン大会のランナーであれば、警察の白バイがコースを走りながら導くなどです。

ビジネスにおいても、プロジェクトのリーダーとなった人物が、仲間の社員たちを導くなどすることを「先導する」と表現することができます。

ペースメーカーのランナーに先導されて、先頭集団は10人ほどのかたまりでレースを進めた。

\次のページで「その2「案内する」」を解説!/

その2「案内する」

「案内する」には「道や場所を知らない人をそこに導くこと。また、ある地域を見せて歩くこと。」という意味があります。「手を引く」や「先導する」と同様に、誰かをしかるべき方向や場所に導いてあげるわけですが、「案内する」の場合は、道や場所、地域といった「目的地」がはっきりとしている場合に使われることが多いのが特徴です。

そのバスガイドは、中学生の修学旅行客を案内する役目を初めて担った。

その3「踏ん切りをつける」

「思い切って決心する。決断する。」という意味の「踏ん切りをつける」という言葉。「手を引く」の「続いていた関係を断ち切って退く」と同じような意味で使われることが多い表現となります。特徴としては、「手を引く」という言葉以上に、「思い切って」決断をするということです。慎重というよりは、大胆に。より積極性をもって「手を引く」という行為に近いことを決心した際に使うと良いでしょう。

パワハラ上司に不満を持ちつつも、夢だからという理由で続けてきた仕事に、踏ん切りをつける時が来た。

その4「匙を投げる」

「医者が、これ以上治療法がないとして病人を見放す。また、救済や解決の見込みがないとして、手を引く。」という意味の、「匙を投げる」という言葉。薬を調合する小さなスプーンのようなものである「匙」を放り投げてしまうという所から生まれたものです。本来の言葉の成り立ちをたどれば、医療関係に使われるということになりますが、多くの場合、そうした医療に関係する場面以外にも使われています。

話を聞かない若手社員に上司はあっさり匙を投げてしまったが、困るのは彼と仕事をする現場の同僚たちだ。

\次のページで「その5「諦める」」を解説!/

その5「諦める」

「諦める」は「もう希望や見込みがないと思ってやめる。断念する。」という意味の言葉です。希望や見込みをもってやっていたことに対して、それが叶わないと考えてやめることを決断しています。よって「手を引く」は「続いていた関係を断ち切り退く」という意味でしたが、「諦める」には、そこに希望がかなわなかったという残念な思いが乗っているということです。

トライアウトを受験したが、プロ野球チームからのオファーはなく、現役続行を諦める決断をした。

「手を引く」の対義語は?

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「手を引く」は「手を取って導く。続いていた関係を断ち切るなどして退く。」という意味の言葉。この対義語となる表現としては「手を取って導かない。続けていた関係をそのままにする」という意味の言葉になります。残念ながらそういった表現は見当たらないので、「手を引く」の対義語はありません。

ちなみに、「手を出す」という言葉はありますが、意味が「手を引く」と反対とはならないため、対義語として挙げるには不適当と考えます。

「手を引く」を使いこなそう

この記事では「手を引く」の意味・使い方・類語などを説明しました。「手を取って導く。続いていた関係を断ち切るなどして退く。」という意味のこの言葉。手にまつわる表現だけに、人物の関係性など、この言葉だけで本来持っている意味以上のものが想起されるような表現となっています。誰が誰の手を引くのか、誰が何から手を引くのか。その手の動きが指し示すものが感情や思考を映し出しているような単語です。

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国語言葉の意味

「手を引く」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「手を引く」について解説する。

端的に言えば手を引くの意味は「手を取って導く。続いていた関係を断ち切るなどして退く。」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

放送局の制作現場の最前線で10年の経験を積んだsinpeito88を呼んです。一緒に「手を引く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/sinpeito88

放送局の現場で10年間、ニュース原稿などを日々執筆。より正確な情報を届けられるよう言葉の探求を続けている。

「手を引く」の意味や使い方まとめ

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それでは早速「手を引く」の意味や使い方を見ていきましょう。ちなみに、この言葉の読みは「てをひく」です。

「手を引く」の意味は?

「手を引く」には、次のような意味があります。

1.手を取って導く。

2.続いていた関係を断ち切るなどして退く。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「手を引く」

まず、「手を引く」には「手を取って導く」という意味があります。相手の手を握るなどして、しかるべき方向に誘導するようなことです。例えば、お出かけなどで小さな子供やお年寄りなどをサポートしながら、その手を取って誘導するような動作を思い浮かべると良いでしょう。

そして「手を引く」のもう一つの意味が「続いていた関係を断ち切るなどして退く」です。仕事の関係で長年続けていた契約などを見直したりするなど関係を断つような時に使われます。いつもであれば手を伸ばしているところに対して、危うさを感じたり、慎重になったりするなどすることも「手を引く」と表現されることがありますので、覚えておきましょう。

「手を引く」の使い方・例文

「手を引く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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