日本史鎌倉時代

保元の乱の敗者を賛美する「保元物語」のあらすじ、背景、隠されたメッセージを元大学教員が5分で解説

保元物語が世のなかに与えた衝撃

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保元物語は時代の大きな変化をあらわしています。300年以上実施されなかった死刑が復活。敗者崇徳側に付いた武士たちは、ことごとく首を斬られました。親子兄弟身内同士が敵味方に分かれたため、息子が父を、甥が叔父の首を斬ることも。この悲惨な結末は、人々に衝撃を与えました。一つの時代の終焉を象徴するのが保元の乱だったのです。

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内乱により力を失う平安貴族たち

藤原頼通は、貴族の威光を盾に戦に口を出して、崇徳を敗戦に落とし込みました。そして、貴族は戦では逃げ惑うばかりで、最後には表舞台から消え去ります。また、この内乱をきっかけに400年間、廃止されていた天皇・上皇への島流しが復活。崇徳は讃岐に流され、その地で憤死、怨霊になったと噂されました。

それまでは合戦があっても、女性や子供は非戦闘員と見なされ、殺されることはありませんでした。しかし保元の乱では、女性や子供まで情け容赦なく殺されました。貴族が合戦でまったく役に立たないことが判明。武士が天下をとりました。保元の乱をもって平安時代は終焉。中世つまりは武士の時代に変化したのです。

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保元の乱を通じて失われた天皇の権威

ことの発端は鳥羽上皇が自分の子どもである崇徳を不倫の子と疑い、憎悪していたとこと。さまざまな要因が絡み合い、内乱に発展しました。また、一強体制を長らく維持してきた藤原摂関家も、跡継ぎを巡って内輪もめしていたことも、保元の乱の一因となりました。

これまで武士階級は、貴族の番犬という位置づけ。それが瞬く間に表舞台に躍り出ました。しかしなあがら武士たちも安泰な立場ではありませんでした。崇徳側に付いたのは、貴族では藤原頼長、武士では源氏の源為義と為朝、平氏の平忠正。後白河側に付いたのは、藤原忠通、信西入道、平清盛、源義朝でした。

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これまでは番犬に過ぎなかった武士たち。しかし朝廷は、これら武士の力を借りなければ、事態を収拾できない事態に陥っていた。そこで力をつけた武士たちが政治の表舞台に躍り出たというわけだ。

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謎が多い保元物語の成立過程

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Katsukawa, Shuntei, 1770-1820, artist – Library of Congress Catalog: https://lccn.loc.gov/2008660450 Image download: https://cdn.loc.gov/service/pnp/jpd/01600/01652v.jpg Original url: https://www.loc.gov/pictures/item/2008660450/, パブリック・ドメイン, リンクによる

保元物語の細かい内容は、諸本によって違いがあります。しかし、どの本も源為朝の活躍がメイン。また、為朝の父である源為義を始め、敗者となった崇徳、藤原頼長たちに同情的。敗者にフォーカスを当てた作品ですが、どんな人がなんの意図で書いたのかは不明です。

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保元物語の作者は誰かはいまだに不明

保元物語の作者については、いろいろな説が生れましたが確定的なものはなし。作者不詳とされています。漢文に通じている、貴族にも武士にも通じている人物であると推測。主人公である源為朝を「智・仁・勇」の三つの徳を兼ね備えた「理想の武士」として描いているところから、源為朝に近い学者であったとも言われています。

歴史的資料では、源為朝の具体的な活躍の場面は記されていません。崇徳に味方した武士のなかでは特別な存在であったことは確か。しかしながら為朝に近い学者が、作品の執筆に関わったと断定するまでの根拠はありません。

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作者については、身長が7尺(210センチメートル)あった、左手が右手より4寸(12センチ)長かったなど、さまざまな伝説があります。はっきりしたことは言えませんが、この作品の成立には複数の人あるいは集団が関わっていたという説が濃厚。また「平治物語」「平家物語」「承久記」すべてが、この集団により創作されたいう説もあるんですよ。

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hikosuke