この記事では喪主と施主の違いについてみていきます。2つとも葬儀の際に呼称されるイメージがあるよな。違いはずばり「金銭的な負担」のようですが、実際には兼任することも可能で、必ずしも定義の通りではないみたいです。今回はそんな葬儀の時に必ず登場する2者の役割の違いと、喪主の挨拶内容やそのタイミングをお寺マニアのライターSadaieと一緒に解説していきます。

ライター/Sadaie

プログラマー、ヘルプデスク経験者。パソコン関係以外では文学、歴史が好き。寺社仏閣巡礼が趣味。

喪主と施主の違いとは?

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「喪主」、「施主」ともに葬儀の際に耳にするかと思います。最近では喪主が施主の役割も担うことが多いのですが、本来はそれぞれ役割が異なるのです。分け方としては、金銭的な負担を負うのが施主、それ以外のすべての仕事を担う喪主とするのがシンプルでしょう。

喪主と施主の読み方は?

喪主と施主はそれぞれ「もしゅ」、「せしゅ」と読みます。

「喪」の意味は故人に対して近親者が悲しみの意を示し、慎むこと。または、失うことや亡くすこと。対して、「施」はほどこしをあたえることを意味します。「施」の意味を考えれば、喪主と施主の違いも理解しやすいでしょう。

葬儀の代表者が喪主

喪主とは葬儀の主催者である、代表者のこと。基本的に喪主は故人に配偶者がいれば配偶者、いなければ血縁関係が深い人物が務めます。

血縁関係の順番は地域によって多少異なりますが概ね次の通り。故人の子供(男性、長男から順)、故人の子供(女性、長女から順)、故人の両親、故人の兄弟姉妹。

葬儀費用を負担するのが施主

施主は喪主をサポートする人を指し、金銭的な負担(お布施や葬儀屋の手配)を負う人のこと。基本的に金銭的な負担が可能な人物が務めます。

余談ですが、建設工事において工事の発注者のことを同じく「施主」と呼びますね。これは、お寺にお布施をするという上記の本来の意味から転じて、建築業者に報酬を払う人を指すようになった言葉なんです。

喪主と施主の決め方に厳密なルールはない!

基本的な決め方は上述の通りですが、実は喪主と施主の決め方に厳密なルールはありません。

少子高齢化が進む昨今、配偶者が高齢のため喪主を務めることが出来ない場合もあります。遺族でじっくり相談して決定しましょう。

\次のページで「喪主が施主を兼務することも可能」を解説!/

喪主が施主を兼務することも可能

以上の様に喪主と施主はそれぞれの役割があるのですが、現代では喪主が施主を兼務するケースも増えてきています。一層線引きがあいまいになっていきますね。

複数人でも可能

喪主と施主ともに複数人で務めることが可能です。喪主は1人で行う場合がほとんどですが、金銭的な負担を行う施主は兄弟など複数人で務める場合もあるでしょう。

喪主の役割

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喪主の役割は主に4つ。寺院との連携、弔辞の依頼、香典の管理、葬儀の要所で行う挨拶。

寺院との連携

喪主は菩提寺の僧侶に葬儀を依頼する必要があります。菩提寺(ぼだいじ)とは、先祖代々の墓がある寺院のこと。菩提寺が分からない場合は親族に確認を行いましょう。

弔辞の依頼

故人に贈る別れの言葉である弔辞を依頼するのも喪主の仕事になります。現代では、小規模な葬儀であれば省略されたり弔電の代読となることも多いでしょう。

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香典の管理

お通夜や告別式など葬儀で弔問客から故人の霊前に供えられる香典の管理も喪主の仕事です。香典には突然の出費を助け合う意味合いがあり、四十九日法要後に香典返しを贈るのがマナー。香典返しは香典の3分の1から半分程度に相当する現金または品物を贈るが一般的です。

挨拶

葬儀の要所で行われる挨拶も喪主の仕事。悲しみに暮れる中での大役ではありますが、施主や葬儀のディレクターである葬儀屋さんにご相談されるのも手でしょう。

喪主が挨拶するタイミングとコツ

喪主が挨拶を行うのは主に4回。通夜の終わり、通夜振る舞いの時、告別式の出棺前、精進落としの時。

詳しい内容は後述しますが、いずれも伝えるべきは「参列者への感謝の意」。内容をど忘れしようが、感極まって号泣しようが、大切なのはその気持ちなのですから。

通夜の終わり

通夜とは葬儀の前に行う儀式のことで、故人との最期の夜を過ごす意味合いを持っています。その通夜の終わり、読経と焼香が終わり、住職が退かれた後に最初の挨拶。

弔問・参列のお礼、故人の生前のエピソード、直後に行われる通夜振る舞いの案内、翌日行われる葬儀・告別式の案内といった内容を述べます。

通夜振る舞い

通夜振る舞いは故人との最期の食事を共にすることと、供養・お清めの意味合いがあります。

上の内容と重複しますが、弔問・参列のお礼、翌日行われる葬儀・告別式の案内といった内容に加えて、弔問客の帰路に対しての心遣いもあるとよいでしょう。

告別式の出棺前

告別式の最後、式場から出棺して斎場へ向かう直前にも挨拶が必要です。地域によっては式の途中で行う場合もあるようですが。

告別式参列の感謝、故人のエピソード、通夜・告別式の一連の葬儀参列への感謝を述べます。

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精進落とし

精進落としとは四十九日まで遺族が精進料理を食し、忌明けに通常の料理に戻していた慣習のこと。しかし、現代では火葬場から再び式場に戻った親族や参列者に飲食をふるまう場のことを精進落としと呼ぶようになりました。そして、その精進落としの席の始めと終わりに挨拶を行うのが最後の仕事。

会の始めには一連の葬儀を滞りなく終えることができたことに対するお礼を述べ、会の終わりには参列者へ今後も変わらぬ付き合いをお願いします。

法事・法要では喪主が施主に!

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喪主というのは葬儀の最中での呼称になります。葬儀の後に執り行う法事・法要では喪主であった人がお布施を行う人、すなわち施主となるわけですね。

法事・法要とは

法要とは故人が極楽浄土に至るように読経していただき、冥福を祈ること。法事とは法要に加えて、住職や参列者との会食を含んだものをさします。法事の中に法要が含まれることになりますね。

代表的な法事・法要

法要には中陰法要、年忌法要の2つがあります。

中陰とは仏教の考え方で、来世で転生する世界を決定するための裁きが行われる期間のこと。七日ごとに異なった王(有名なエンマ大王もその一人)に裁判を受けます。その最初と最後にあたる日が、それぞれ初七日(しょなのか)法要、四十九日法要

年忌法要とは故人の命日に供養を執り行う法要のこと。一周忌・三回忌などが一般的によく知られる。

喪主の仕事は多い!施主は喪主のサポートを

上で見てきたように、喪主の仕事は非常に多い。施主の本来の役目にとらわれず、喪主のサポートを行うことが望ましいでしょう。挨拶の台本作成や香典の管理など、手伝えることは多いです。葬儀が終わっても、すぐに初七日法要の準備が必要になり、それが済んだらすぐ四十九日法要と納骨。大変な行事ではありますが、あっという間に過ぎてしまうものです。

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喪主と施主の違いって?読み方・香典の管理ルール、挨拶のコツ・お寺マニアのライターがわかりやすく解説!

この記事では喪主と施主の違いについてみていきます。2つとも葬儀の際に呼称されるイメージがあるよな。違いはずばり「金銭的な負担」のようですが、実際には兼任することも可能で、必ずしも定義の通りではないみたいです。今回はそんな葬儀の時に必ず登場する2者の役割の違いと、喪主の挨拶内容やそのタイミングをお寺マニアのライターSadaieと一緒に解説していきます。

ライター/Sadaie

プログラマー、ヘルプデスク経験者。パソコン関係以外では文学、歴史が好き。寺社仏閣巡礼が趣味。

喪主と施主の違いとは?

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「喪主」、「施主」ともに葬儀の際に耳にするかと思います。最近では喪主が施主の役割も担うことが多いのですが、本来はそれぞれ役割が異なるのです。分け方としては、金銭的な負担を負うのが施主、それ以外のすべての仕事を担う喪主とするのがシンプルでしょう。

喪主と施主の読み方は?

喪主と施主はそれぞれ「もしゅ」、「せしゅ」と読みます。

「喪」の意味は故人に対して近親者が悲しみの意を示し、慎むこと。または、失うことや亡くすこと。対して、「施」はほどこしをあたえることを意味します。「施」の意味を考えれば、喪主と施主の違いも理解しやすいでしょう。

葬儀の代表者が喪主

喪主とは葬儀の主催者である、代表者のこと。基本的に喪主は故人に配偶者がいれば配偶者、いなければ血縁関係が深い人物が務めます。

血縁関係の順番は地域によって多少異なりますが概ね次の通り。故人の子供(男性、長男から順)、故人の子供(女性、長女から順)、故人の両親、故人の兄弟姉妹。

葬儀費用を負担するのが施主

施主は喪主をサポートする人を指し、金銭的な負担(お布施や葬儀屋の手配)を負う人のこと。基本的に金銭的な負担が可能な人物が務めます。

余談ですが、建設工事において工事の発注者のことを同じく「施主」と呼びますね。これは、お寺にお布施をするという上記の本来の意味から転じて、建築業者に報酬を払う人を指すようになった言葉なんです。

喪主と施主の決め方に厳密なルールはない!

基本的な決め方は上述の通りですが、実は喪主と施主の決め方に厳密なルールはありません。

少子高齢化が進む昨今、配偶者が高齢のため喪主を務めることが出来ない場合もあります。遺族でじっくり相談して決定しましょう。

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