今日はRAMとROMの違いについて説明していきます。どちらもコンピューターの記憶装置である「メモリ」の一種ですが、こうした記憶装置には他にもさまざまな種類があり、それらとの関係が分からないと混乱することもある。特にRAMはパソコンやスマホの容量を増やして操作性を上げる際には重要なものです。RAMとROMの違いとそれぞれの特長などを、雑学好きのライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

RAMとROMの違いをざっくり解説!

コンピューターの記憶装置の一種であるRAMとROMには、どのような違いがあるのでしょうか。まず最初に、両者の違いをざっくり説明します。

RAMとはコンピューターの「作業場」でデータの書き換え・消去が可能

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RAM(ラム)という名前はRandom Access Memory」(ランダムアクセスメモリ)の略称として使われています。コンピューターが動いている時、その中ではデータを書き換えたり、読み込んだり……とさまざまな「作業」が行われていますが、この時の「作業場」として機能しているのがRAMです

また、RAM記憶装置とも呼ばれています。何を記憶するのかというと、コンピューターが動いている時に、必要なデータを一時的に記憶・保存するのです。そしてRAMの中でそのデータの書き換えや消去などの作業が行われることになります。

記憶装置であると同時に「作業場」でもあるというのはこのような意味です。コンピューターの作業中にRAMに保存されたデータは、電源が切られると全て消去されます

ROMとは保存されているデータの書き換え・消去ができないメモリ

ROM(ロム)「Read Only Memory(リードオンリーメモリ)」の略称です。「Read Only」という名前からも分かりますが、これはデータの書き込みができません。コンピューターによる「読み取り」「読み出し」だけができるメモリです。

ROMの代表例としては、ゲームソフト、音楽CDなどが挙げられます。一定の年代以上の人の中には、ファミコンのカセットが「ロムカセット」と呼ばれていたり、コンパクトディスクが「CD-ROM」と呼ばれていたのを覚えている方も多いでしょう。

RAMとROMの役割の違い!

RAMはデータの「読み・書き」ができるメモリのことで、一方のROMは「読み」専用のメモリのことです。

RAMは、コンピューターが何らかの処理を行う時の「作業場」で、RAMの中に何か大事なデータがあるわけではありません。そこをさまざまなデータが処理され、通り過ぎていくわけです。

一方のROMは、そこに入っているデータはすでに固定されており、データを出し入れすることはできません。データを機械で読み取り、再生するだけです。RAMとROMは名前が似ているものの、使われ方やその役割は全く違います。

RAMとはコンピューターの「作業場」

コンピューターの「作業場」にあたるRAMが使われるのは、例えばWeb画面の表示、文書の閲覧や編集、ゲームプレイなどです。それらの作業時にデータやプログラムがRAM上に一時保管され、電源が切られるとすべて自動的に消去されます

よって、RAMの容量が大きいと、複数のアプリを同時に開いたり、たくさんのデータをまとめて処理したりと、並行して様々な作業が可能です。小さい作業机よりも、大きい作業机の方が多くの仕事ができるのと同じことですね。

\次のページで「ROMはスマホでは「内部ストレージ」を意味する」を解説!/

ROMはスマホでは「内部ストレージ」を意味する

ROMの方はあくまでも「読み取り専用のメモリ」ですが、日本では少しややこしい呼ばれ方をしています。なぜか、スマートフォンの内部保存領域のこともROMと呼ばれているのです。

スマートフォンには2種類のデータ保存領域があります。ひとつが本体の「内部ストレージ」と呼ばれる領域で、もう一つは取り外し可能なSDカードです。このうち「内部ストレージ」の領域の大きさが、「ROM〇〇GB」と表記される習慣になっています(GBは保存領域の大きさの単位)。

スマートフォンの「内部ストレージ」は、データの読み書き・出し入れが可能です。つまり機能としてはRAMに近いはずなのですが、国内キャリアのスマートフォンのスペック表では、内部ストレージをROMと呼び、さらに内蔵メモリについてもRAMROMの表記が使われています。ややこしいですね。

本来のRAMROMと、スマートフォンについて言われるROMとは、さしあたり別物として捉えた方が分かりやすいでしょう。

ROMはフラッシュメモリも含む

パソコン作業でフラッシュメモリを使う方も多いと思いますが、実はこのフラッシュメモリもROMの一種と見なされています。「データの書き込みや消去ができない」ことがROMの特徴でしたが、なぜかデータの出し入れが可能なフラッシュメモリがROMの一種というのは不思議ですね。

この分類の理由ははっきり分かりませんが、少なくともフラッシュメモリにはRAMのような「作業場」としての機能はないことから、例外的に「データの消去・書き込みが可能な」ROMと見なされているようです。

RAMとROMは内部データの保存期間が違う

ここまでで、RAMROMのそれぞれの特徴などを説明してきました。では改めて、両者の決定的な違いはどこにあるのかというと、それはデータの保存期間です。

RAMの保存期間は「処理中」のわずかな間だけ

RAMがデータを保存するのは、あくまでもコンピューター内で「作業」が行われている間に限られます。RAMにはあくまでも作業場としての役割しかなく、データの保存場所としての役割はないと言えるでしょう。

よって、作業中に一時的にデータを保存することはあっても、その作業が終わったり、電源が切られたりすれば、データは消去されてまっさらになります。RAMがデータを保存するのは、コンピューターによって処理が行われているわずかな間だけです。

ROMの保存期間は半永久的

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一方のROMは内部データが完全に固定されており、ROMそのものが物理的に壊れない限りデータはそのままで、消すことも新たに書き込むこともできません。つまり保存期間ということで言えば、半永久的に保存されると言えます。

\次のページで「RAMとROMと「ストレージ」の関係」を解説!/

RAMとROMと「ストレージ」の関係

RAMとROMはどちらも「メモリ(記憶装置)」です。ここで、「メモリ」と、スマートフォンについてよく使われる言葉「ストレージ」の関係について説明しておきます。

単純に言えば、メモリは、コンピューターの電源を切ると、それまで処理していたデータは全部消える記憶領域のこと。一方のストレージは、コンピューターの電源を切ってもデータは消えずに残る記憶領域のことです。

「それじゃRAMとROMの関係と同じじゃないか」と思われるかも知れません。確かにメモリはデータの保存期間が短いという意味ではRAMと同じだと言えます。一方、ストレージとROMが違うのは、ストレージはデータの「書き込み・消去」ができるという点です。そこはRAMの特長と重なり合いますね。

整理しますと、RAMとROMはどちらも「データ保存ができる」という意味ではメモリ(記憶装置)の一種です。一方、ストレージもデータ保存と読み込み・書き込みが自由にできるという点ではRAMと同じですし、そのデータが電源を切っても消えないという点はROMとも共通しています。この「ROMと同じところがある」点が、スマートフォンの内部ストレージもROMと呼ばれている理由でしょう

このように、ストレージはRAMとROMの両方の特徴を兼ね備えているのですが、不思議なことに、これは「メモリ」の一種とは見なされておらず、あくまでも違うものとして認識されているようです。

RAMの容量を増やす方法は?

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コンピューター内で行われる処理の能率は、RAMの容量によって大きく変わりますRAMはコンピューター内の「作業場」で、「容量」はいわばその作業場の「広さ」です。作業場が狭いと、作業効率はよくないですね。逆に広いと作業がはかどるのと同じで、RAMの容量も大きく、広くなければいけません。

もしも、パソコンで文書やソフトを開こうとしてもなかなか応答しなかったり、スマホで複数のアプリなどを開いていると動かなくなったり再起動したりする場合は、RAMの容量が不足しているので「メモリ増設」を行う必要があります。

RAMの容量を確認する方法

この項目では、windowsmacAndroidiPhoneRAMの容量の確認方法を説明します。

Windowsの場合:スタートメニューまたはWindowsボタンをクリックし、「コンピューター」か「マイコンピューター」を右クリックしましょう。 すると「システム」の下にRAMが表示されます。

macの場合:メニューバーの「Appleマーク」をクリックすると「アップルメニュー」が表示されるので、「このmacについて」をクリックしましょう。概要の「メモリ容量」から、上部タブメニュー「メモリ」をクリックするとメモリ容量の詳細が確認できます。

Androidの場合:使用するのは、非表示の開発者向けオプションメニューです。「設定」メニューの端末情報(タブレット情報)から「ビルド番号」の見出しを探して、複数回タップすると「開発者(デベロッパー)になりました!」というメッセージが表示されます。そこで「設定」ページに戻り「開発者向けオプション」「メモリオプション」の順にタップし、「メモリ」メニューで使用量を見てみましょう。

iPhoneの場合:単純な端末操作だけでは確認できず、確認用のアプリを入れなければなりません。アプリによっては、RAMの使用状況だけではなく、残りの容量やバッテリー関係の情報も見ることができるでしょう。

パソコンの場合

パソコンのメモリ増設は難しくはありませんが、自分のパソコンがどのメモリに対応しているのかをまず確認する必要があり、ここで少し時間がかかります。増設用のメモリも多くの種類があるので、パソコンに合ったものを使いましょう。

現在使っているものよりも容量の大きいメモリを購入したら、パソコンを開けて、先に挿入されているメモリをメモリスロットから抜き取ります。そして、新しいメモリを挿して電源を入れ、パソコンがメモリのことを認識しているのが確認できればOKです。

スマートフォンの場合

次にスマートフォンのメモリ増設方法ですが、これはAndroidiPhoneによって違ってきます。

まずAndroidは、マイクロSDカードを挿し込んで、データの保存先を内部ストレージではなくマイクロSDカードの方に設定しておけば完了です。AndroidにはもともとマイクロSDカードが入っているので、内部ストレージ内のデータをいったんそちらに移動させるだけでも効果はあります。

新しいカードを購入する場合は、今使っているものよりも大容量のをものを使用しましょう。

次にiPhoneの場合は、メモリが内蔵されていることからSDカードスロットがなく、AndroidのようにSDカードを使ったメモリの増設はできません。改造する方法もなくはないですが、相当難易度が高いのでやめた方がいいでしょう。

そのかわり、クラウドサービスやiPhone用の外付けHDDを利用して、データを外部保存するという選択肢があります。

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RAMとROMはデータの保存期間と使われ方が違う

RAMROMは、どちらもデジタルデータを保存する記憶装置で、それぞれ役割が違うことが分かりました。これらに加えて「メモリ」「フラッシュメモリ」「ストレージ」「SDカード」などさまざまな記憶装置があり、名前が違うのに同じものとして扱われていたり、一部の機能が共通していたり、分類があいまいだったりで、意外とカオスな世界ですね。デジタル端末は便利なようで、データの保存容量には意外と悩まされます。それぞれの記憶装置の特長を踏まえて、快適なデジタルライフを実現しましょう。

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IT・プログラミング雑学

RAMとROMは何が違う?その特徴やメモリを増やす方法を雑学好きライターがわかりやすく解説

今日はRAMとROMの違いについて説明していきます。どちらもコンピューターの記憶装置である「メモリ」の一種ですが、こうした記憶装置には他にもさまざまな種類があり、それらとの関係が分からないと混乱することもある。特にRAMはパソコンやスマホの容量を増やして操作性を上げる際には重要なものです。RAMとROMの違いとそれぞれの特長などを、雑学好きのライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

RAMとROMの違いをざっくり解説!

コンピューターの記憶装置の一種であるRAMとROMには、どのような違いがあるのでしょうか。まず最初に、両者の違いをざっくり説明します。

RAMとはコンピューターの「作業場」でデータの書き換え・消去が可能

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RAM(ラム)という名前はRandom Access Memory」(ランダムアクセスメモリ)の略称として使われています。コンピューターが動いている時、その中ではデータを書き換えたり、読み込んだり……とさまざまな「作業」が行われていますが、この時の「作業場」として機能しているのがRAMです

また、RAM記憶装置とも呼ばれています。何を記憶するのかというと、コンピューターが動いている時に、必要なデータを一時的に記憶・保存するのです。そしてRAMの中でそのデータの書き換えや消去などの作業が行われることになります。

記憶装置であると同時に「作業場」でもあるというのはこのような意味です。コンピューターの作業中にRAMに保存されたデータは、電源が切られると全て消去されます

ROMとは保存されているデータの書き換え・消去ができないメモリ

ROM(ロム)「Read Only Memory(リードオンリーメモリ)」の略称です。「Read Only」という名前からも分かりますが、これはデータの書き込みができません。コンピューターによる「読み取り」「読み出し」だけができるメモリです。

ROMの代表例としては、ゲームソフト、音楽CDなどが挙げられます。一定の年代以上の人の中には、ファミコンのカセットが「ロムカセット」と呼ばれていたり、コンパクトディスクが「CD-ROM」と呼ばれていたのを覚えている方も多いでしょう。

RAMとROMの役割の違い!

RAMはデータの「読み・書き」ができるメモリのことで、一方のROMは「読み」専用のメモリのことです。

RAMは、コンピューターが何らかの処理を行う時の「作業場」で、RAMの中に何か大事なデータがあるわけではありません。そこをさまざまなデータが処理され、通り過ぎていくわけです。

一方のROMは、そこに入っているデータはすでに固定されており、データを出し入れすることはできません。データを機械で読み取り、再生するだけです。RAMとROMは名前が似ているものの、使われ方やその役割は全く違います。

RAMとはコンピューターの「作業場」

コンピューターの「作業場」にあたるRAMが使われるのは、例えばWeb画面の表示、文書の閲覧や編集、ゲームプレイなどです。それらの作業時にデータやプログラムがRAM上に一時保管され、電源が切られるとすべて自動的に消去されます

よって、RAMの容量が大きいと、複数のアプリを同時に開いたり、たくさんのデータをまとめて処理したりと、並行して様々な作業が可能です。小さい作業机よりも、大きい作業机の方が多くの仕事ができるのと同じことですね。

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