ただ呆れているだけじゃない？「聞いて呆れる」の意味と使い方を類語・対義語・英語訳まで網羅してご紹介！

ライター／ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。100%のウソは嫌いだが、「聞いて呆れる」ような誇張表現の並々ならぬ使い手。

「聞いて呆れる」はなにに呆れること？

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「聞いて呆れる」は、誰しも一度は見聞きしたことのある表現ではないでしょうか。文脈から意味を察することのしやすい言葉ですので、辞書引きすることなく使っている方も多いでしょう。しかしそうした言葉は、改めて「どういうこと？」と質問されると返答に窮するもの。まずは「聞いて呆れる」の意味をしっかりと押さえておきましょう。

辞書にみる「聞いて呆れる」の意味

「聞いて呆れる」は辞書では次のように書かれています。

言ったことが実情とは大違いで、聞いていてばからしくなる。「清廉潔白が―・れる」

出典：デジタル大辞泉（小学館）　「聞いて呆れる」

ある「こと」や「もの」について、聞いたことや紹介されていることの内容が、目の当たりにした現実とかけ離れているときに使われる言葉です。ただ呆れ返ることではなく、聞いていた内容がオーバーな割りに実情が大したことのない場合に用いられます。

「聞いて呆れる」を使いこなすための例文3選

辞書で言葉の意味を知っても、使い方を間違えないかは不安なもの。「聞いて呆れる」を使った例文を3つ挙げますので、みていきましょう。

1．オーナー企業であるうちの会社の社長は、よそで下積みの苦い経験をしたこともなく、今は自分の側近をイエスマンで固めている。そんな人が経営理念に社会貢献などと謳っていても、聞いて呆れる。
2．こんなずさんな管理体制で、年間目標が『クレームゼロ』？クレームへの対策案にはいつも中身がない精神論ばかりだし、掲げる目標が空々しすぎて聞いて呆れるわ。
3．うちの子の保育園での様子を聞くと、どの先生からも「素直でいい子」と言われるが、聞いて呆れる。家ではわがままし放題で、一番自由に過ごしているのに。

例文1と2は、『社会人あるある』ではないでしょうか。企業の経営理念には、多くの場合耳触りのいい言葉がズラリ。しかし昨今の品質不正などのニュースを聞くと、そんな理念も絵にかいた餅でしかないのだろうと、下衆の勘繰りがはたらいてしまいます。

例文3のように、小さい子どもが家の中では手がかかるのに家の外では聞き分けのいい状態は、健康的に成長している証。両親には思い切り甘えられるから、家の中で自由になれるわけですね。家の内外の態度がこれと逆の子は、要注意。子どもが両親にいい顔をするのは、家の中が安らぎの場になっていないからかもしれません。

「聞いて呆れる」の意味を類語で補完！

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それでは、「聞いて呆れる」の類語を3つご紹介します。

「開いた口が塞がらない」：呆れてものが言えない様子

驚きや呆れで一度開いた口が、何も言えずに開いたままになっている様子を表現した言葉。呆れたというマイナスイメージで用いられることが多いですが、古くは驚いてうっとりしている状態を指すときにも使われていたようです。

「何をか言わんや」：もう何も言うことがない

「なにを言おうか、いや、なにを言うまでもあるまい」という意味。何をかの「か」は反語の助詞で、「や」は反語もしくは詠嘆の終助詞です。古典語の名残のある言葉で、「何をか～や」の形は入試で出題されることもしばしばだそう。この機会にぜひ覚えておきましょう。

「二の句が継げない」：呆れて次にいう言葉が出ない

二の句は、雅楽の朗詠（詩吟）において3段階ある中の2番目の句を意味します。二の句は高音域であるため息切れしやすいことから、「二の句が継げない」という言葉が生まれました。もともとの意味は上記の通りですが、「聞いて呆れる」と同じような意味で使われるようになったのは、江戸時代以降のようです。

「聞いて呆れる」に対義語はある？

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「聞いて呆れる」と真逆の意味の慣用句は辞書などに示されてはいません。ここでは、「聞いて呆れる」の意味から連想される対義語を2つご紹介します。

「汚名返上」：新しい成果で悪評をしりぞけること

「聞いて呆れる」は、いい評判と現実の乖離に言葉を失うことでしたね。悪い評判をいい結果で覆すという「汚名返上」は、「聞いて呆れる」の反対の言葉と言えるでしょう。「汚名返上」と似た言葉には「名誉挽回」があります。この2つを混同して「汚名挽回」や「名誉返上」と間違えてしまっているケースをよく見かけるので、これらの言葉を使うときはご注意を。

「脱帽する」：敬服すること

西洋では相手を敬うときに帽子を脱ぐことが、古くからのマナー。また、日本ではとてもかなわない相手に降参することを、「兜を脱ぐ」と表現します。西洋のマナーと日本の風習が合わさって、敬服すること・かなわない相手に降参することを「脱帽する」と言うようになったとのことです。

「聞いて呆れる」を英語で表現してみよう！

「聞いて呆れる」に相当する英語の慣用句的表現を2つ挙げます。

What a joke！

直訳すると「冗談でしょ⁈」となります。聞いた内容が現実と違い過ぎてジョークのように聞こえるという、若干皮肉を混ぜた表現ですね。

all hat and no cattle

こちらも直訳すると「大きな帽子で牛がいない」となります。わけがわかりませんね。その意味するところは、「カウボーイハット（大きな帽子）を被っているのに牛を扱っていない」であり、すなわち「格好だけのカウボーイ」ということ。これが転じて、「口先では大そうなことを言うが、実際にはなにもできないやつ」という表現になります。