今回は身近な元素のひとつ、銅がテーマです。

銅と聞いて何が思い浮かぶでしょうか。おそらく10円玉、銅線、銅メダルを思い浮かべる人が多いでしょう。銅は昔から人類に利用されてきた、生活に根付いた金属である。実は日本の効果は1円玉以外には銅が含まれている。そんな身近な銅ですが、その特徴をみんなは知っているか?

今回はそんな銅の特性について解説する。解説は元素周期表が好きな科学館職員、たかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

周期表が好きな工業高校の教員免許を持つ科学館職員。新たな実験を求め、本とネットをあさる日々。

銅とは

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身近な金属である銅。まずはその特徴から確認していきましょう。

金属元素の一種である銅。銅は電気伝導性と熱伝導性に優れた金属です。そのため、電線や調理器具などに活用されています。銅は柔らかく加工しやすいことから、古くから活用されてきました。紀元前8000年頃には銅は発見されていたようです。三時代区分法(武器等を作る素材による時代の分類方法)によると石器時代と鉄器時代の間の時代は青銅器時代と呼ばれています。青銅とはいわゆるブロンズのことで、銅とスズの合金のことです。合金については後程解説します。エジプトのあたりでは紀元前3000年頃からこの青銅器時代が始まり、銅で武器や装飾具にが作られていたそうです。

銅の産出

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2018年の世界の銅の産出量は約1,650万トン。このうち約585万トン、世界の銅のうち35%以上がチリで産出されています。2位のペルーが240万トン程度ということで、いかにチリの銅産出量が多いかが分かりますね。チリの銅山としてチュキカマタ銅山が知られています。

元素としての特徴

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続いて、元素として銅の性質を見てみましょう。

Cu)は原子番号29番の元素で、金や銀と同じ11族の遷移元素の一種です。銅は英語でcopper、ラテン語ではcuprumと言います。この語源はキプロス島(cyprium)で採掘されていたことが由来です。

原子量 63.55

密度  8960㎏/m3

融点  1085℃

沸点  2571℃

金属は、金属元素が自由電子によって金属結合することで形されています。金属といえば水銀、鉄、アルミニウムなどがありますね。金属には次の特徴があげられます。

・展性   叩くと薄く広がる

・延性   金属を引っ張ると細長い線状に伸びる

・伝導性  電気や熱を通しやすい

・光沢   金属の表面で光が反射される

銅の性質として伝導性をイメージする人も多いでしょう。銅は電線として使われています。電気抵抗率(Ω・m)を比較してみましょう。電気抵抗率が低いほど、その物質は電気を流しやすいということになるのです。電気抵抗率を比較すると確認すると次のようになります。

銀 1.59×10−8

銅 1.68 ×10−8

金 2.44 ×10−8

水 2.50 ×105

石英ガラス 7.50 ×1017

最も電気を流しやすい金属は銀です。しかし、電線を銀にするとコストが膨大になるため、伝導率と価格の面から銅が用いられています。

電気抵抗についてはこちらの記事を参考にして下さいね。

イオン化傾向

イオン化傾向

image by Study-Z編集部

金属の陽イオンへのなりやすさを比べたものをイオン化傾向といいます。金属は酸と反応し陽イオンとなるのです。このイオン化傾向が大きいほど酸化されやすく化学反応が起こりやすい、そして還元されにくいということになります。

銅は安定した金属のため、水や薄い酸とは反応しません。空気中ではゆっくりと酸化し、酸化作用のある硝酸や濃硫酸と反応します。

緑青

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銅が酸化して生成したさびのことを緑青(ろくしょう)と言います。緑青は酸素に降れる表面にしかできません。緑青ができると酸化被膜が生じるため、腐食を防ぐことができます。

緑青はその色は名前の通り、青みがかった緑色です。その美しい色合いから緑青は銅合金の着色に使われています。例えば銅像や大阪城・名古屋城の屋根などに使われているのです。

\次のページで「銅の活用と歴史」を解説!/

銅の活用と歴史

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最初に銅の産出量はペルーが世界一と書きましたが、日本でも銅は産出されていました。実は日本が銅の産出量1位だったこともあります。1700年頃は日本でも多くの銅が産出され、優れた精錬技術で純度の高い銅が作られていました。しかし、輸入に頼るようになった結果、1994年に最後の銅山である温川鉱山(青森)と花岡鉱山が閉山し今では日本で銅は産出されていません。

日本では紀元前300年、弥生時代から銅は使われていました。日本最初の流通貨幣も銅で作られています。その名も和同開珎(わどうかいほう・わどうかいちん)。和銅とは708~715年にかけての元号で、この元号は武蔵国から銅が献上されたことが由来です。ただし、流通していたかは不明ですが、683年頃に作られたと思われる富本銭という和同開珎よりも古い銅銭が発見されています。752年に作られた奈良の大仏も銅製で、山口県で発掘された銅が使われました。

銅の合金

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合金とは、「純金属に他の金属や非金属を混ぜ作られた金属」のことです。鋼やチタン合金という言葉を聞いたこととがある人も多いでしょう。金属同士を混ぜ合わせることで、元よりも優れた性質を持った金属となるのです。

身近で活躍している、銅の合金を紹介していきます。

伸銅

伸銅とは合金の種類ではありません。

コトバンクで確認すると伸銅は「銅や銅の合金を圧延や押し出しなどの方法で、板、管、棒、線などに加工すること」とされています。銅と銅の合金を加工したもの、とイメージするとわかりやすいですね。

青銅

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先程からたびたび登場している青銅、いわゆるブロンズ。銅とスズの合金でその組成は次のようになっています。

銅 85~98

スズ 2~15

青銅は腐食しづらく加工しやすいのが特徴です。10円玉の素材も、この聖堂になります。

白銅

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白銅白銅は銀発色の合金で、50円や100円の硬貨に使われています。展延性、耐食性があるのが特徴です。

銅 80

ニッケル 20

海水に対しても強く、船の部品としても使われています。

黄銅・真鍮 

5JPY.JPG
パブリック・ドメイン, リンク

亜鉛と銅の合金を黄銅と言います。真鍮ともいい、聞いたことがある人も多いでしょう。装飾品や楽器に使われ、ブラスバンドのブラストは黄銅を意味しています。5円玉もこの黄銅から作られているのです。

黄銅は亜鉛の含有量によってその色が、赤黄色から黄色になります。

銅 60~70

亜鉛 30~40

\次のページで「洋白」を解説!/

洋白

500JPY.JPG
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2000年から発行されている500円玉に用いられているのが洋白です。銀メッキしてた食器は洋白銀器として知られています。

銅 50~70

ニッケル 5~30

亜鉛 5~30 

銅の鉱石

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銅を含む鉱物として、くじゃく石(マラカイト)が知られています。模様が孔雀の羽の模様に似ていることからこの名が付けられました。

くじゃく石はロシアのウラル山地、南アフリカで採掘されています。過去には日本でも採掘されていました。

銅の活用

銅は昔から人々に利用されてきました。銅の合金にはいろいろな種類のものがあります。皆さんのお財布に入ってる硬貨にも1円玉以外には銅が含まれているのです。また電気を通しやすことから、電線にも使われています。

銅はイオン化傾向、電池などの問題にもよく登場するので、そちらも確認してくださいね。

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化学理科

銅とはどんな元素?特徴や性質・日本の小銭のほとんどには銅が含まれている?周期表マニアの科学館職員がわかりやすく解説

今回は身近な元素のひとつ、銅がテーマです。

銅と聞いて何が思い浮かぶでしょうか。おそらく10円玉、銅線、銅メダルを思い浮かべる人が多いでしょう。銅は昔から人類に利用されてきた、生活に根付いた金属である。実は日本の効果は1円玉以外には銅が含まれている。そんな身近な銅ですが、その特徴をみんなは知っているか?

今回はそんな銅の特性について解説する。解説は元素周期表が好きな科学館職員、たかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

周期表が好きな工業高校の教員免許を持つ科学館職員。新たな実験を求め、本とネットをあさる日々。

銅とは

image by PIXTA / 29191751

身近な金属である銅。まずはその特徴から確認していきましょう。

金属元素の一種である銅。銅は電気伝導性と熱伝導性に優れた金属です。そのため、電線や調理器具などに活用されています。銅は柔らかく加工しやすいことから、古くから活用されてきました。紀元前8000年頃には銅は発見されていたようです。三時代区分法(武器等を作る素材による時代の分類方法)によると石器時代と鉄器時代の間の時代は青銅器時代と呼ばれています。青銅とはいわゆるブロンズのことで、銅とスズの合金のことです。合金については後程解説します。エジプトのあたりでは紀元前3000年頃からこの青銅器時代が始まり、銅で武器や装飾具にが作られていたそうです。

銅の産出

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2018年の世界の銅の産出量は約1,650万トン。このうち約585万トン、世界の銅のうち35%以上がチリで産出されています。2位のペルーが240万トン程度ということで、いかにチリの銅産出量が多いかが分かりますね。チリの銅山としてチュキカマタ銅山が知られています。

元素としての特徴

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続いて、元素として銅の性質を見てみましょう。

Cu)は原子番号29番の元素で、金や銀と同じ11族の遷移元素の一種です。銅は英語でcopper、ラテン語ではcuprumと言います。この語源はキプロス島(cyprium)で採掘されていたことが由来です。

原子量 63.55

密度  8960㎏/m3

融点  1085℃

沸点  2571℃

金属は、金属元素が自由電子によって金属結合することで形されています。金属といえば水銀、鉄、アルミニウムなどがありますね。金属には次の特徴があげられます。

・展性   叩くと薄く広がる

・延性   金属を引っ張ると細長い線状に伸びる

・伝導性  電気や熱を通しやすい

・光沢   金属の表面で光が反射される

銅の性質として伝導性をイメージする人も多いでしょう。銅は電線として使われています。電気抵抗率(Ω・m)を比較してみましょう。電気抵抗率が低いほど、その物質は電気を流しやすいということになるのです。電気抵抗率を比較すると確認すると次のようになります。

銀 1.59×10−8

銅 1.68 ×10−8

金 2.44 ×10−8

水 2.50 ×105

石英ガラス 7.50 ×1017

最も電気を流しやすい金属は銀です。しかし、電線を銀にするとコストが膨大になるため、伝導率と価格の面から銅が用いられています。

電気抵抗についてはこちらの記事を参考にして下さいね。

イオン化傾向

イオン化傾向

image by Study-Z編集部

金属の陽イオンへのなりやすさを比べたものをイオン化傾向といいます。金属は酸と反応し陽イオンとなるのです。このイオン化傾向が大きいほど酸化されやすく化学反応が起こりやすい、そして還元されにくいということになります。

銅は安定した金属のため、水や薄い酸とは反応しません。空気中ではゆっくりと酸化し、酸化作用のある硝酸や濃硫酸と反応します。

緑青

image by PIXTA / 50552413

銅が酸化して生成したさびのことを緑青(ろくしょう)と言います。緑青は酸素に降れる表面にしかできません。緑青ができると酸化被膜が生じるため、腐食を防ぐことができます。

緑青はその色は名前の通り、青みがかった緑色です。その美しい色合いから緑青は銅合金の着色に使われています。例えば銅像や大阪城・名古屋城の屋根などに使われているのです。

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