この記事では「雷を落とす」について解説する。

端的に言えば雷を落とすの意味は「大声で叱ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で6年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「雷を落とす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な6年目のライター、eastflower。「雷を落とす」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「雷を落とす」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「雷を落とす」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「雷を落とす」の意味は?

まずは、「雷を落とす」の辞書の意味を見ていきましょう。

1. 大声で怒鳴るなどして叱りつけることを指す慣用表現。

 日本国語大辞典(精選版)「雷が落ちる」

「雷を落とす」(かみなりをおとす)と「雷が落ちる」(かみなりがおちる)は、ほぼ同じ意味で使われる言葉ですが、「雷が落ちる」の方は、自然現象をそのまま表現する場合に多く使われます。一方、「雷を落とす」という慣用句が使われる場合には、辞書で説明されているとおり、ほぼ「大声で叱りつけること」の比喩として使われているのです。

「雷を落とす」の語源は?

次に「雷を落とす」の語源を確認しておきましょう。
「雷を落とす」あるいは、「雷が落ちる」という表現は、古来より使われてきた表現だと考えられています。現代とちょっと違うのは、「雷を落とす」のは、「雷神」(らいじん)、つまり「雷の神様」だと信じられてきました。人間の知識や知恵の及ばない自然界の現象に対して、神の意思だと考えるのは、なにも日本に限ったことではなくいたるところで信じられてきたのです。「雷神」と並んで風の神である「風人」(ふうじん)もいたと考えらてきました。農耕社会では、豊作を司る地元の神が存在し、狩猟社会でも「海の神」や「大地の神」の存在が信じられてきたわけです。

\次のページで「「雷を落とす」の使い方・例文」を解説!/

「雷を落とす」の使い方・例文

次に「雷を落とす」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 「あの温厚で知られるM先生が授業で雷を落としたんだって。」
 「先生も人間だからね。時には、感じたまま大声で叱ってもいいと思うよ。」

2. 「そうだな。子供の頃を思い出しても父親から雷を落とされたことはないな。
  一方で、母からはしょっちゅう、雷を落とされていたわ。
  その場の感情をストレートに出すタイプだから。」

「雷を落とす」は、「先生が生徒に対して」あるいは、「親が子どもに対して」など、強い立場の人が弱い立場の人に大声で叱りつける状態を表す慣用句なのです。

「雷を落とす」の類義語は?違いは?

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では、「雷を落とす」の類義語を見ていきましょう。

「大目玉を食らわす」

「雷を落とす」は、「大声を出して叱りつけること」でしたが、同じように上から目線で相手に対して叱りつける別の表現に「大目玉を食らわす」(おおめだまをくらわす)があります。人が「目玉」(めだま)を大きくするのは、怒るときや驚いたときが多いですよね。大目玉を食らわすは、「大きな目をひんむいて、ひどく叱ること」なのです。また、「雷を落とす」と同様に「大目玉を食らわす」のも目上の人で下へ叱るときに使われますね。「大目玉を食らわす」は、例えば、「お父さんが放蕩(ほうとう)息子をしかりつける」、「上司が部下を叱る」「先生が宿題をやってこなかった生徒をしかるような場合によく使われます。

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「雷を落とす」の対義語は?

次に「雷を落とす」の対義語を見ていきましょう。

「叱咤激励」

「雷を落とす」の目的は、「大声を出すことによって叱りつける」ことで、「二度と同じ過ちを繰り返さないようにさせること」であったり「現在の状態を改善するように促すこと」などがあるでしょう。

一方で、「叱りつける」方法ではなく、「良い点を褒(ほ)め、励ます」ことによって相手を元気づけるという言葉に「叱咤激励」(しったげきれい)があります。「叱咤激励」の「叱咤」(しった)と「激励」(げきれい)とは、ほぼ同じ意味ですが、「叱咤」には、「大声で励ます」という意味だけでなく、「大声で叱る」という意味で使われることもありますね。いずれにしても、「叱咤激励」は、「叱る場合もあるのかもしれないものの、目的は相手を元気づけて奮起させること」になります。「雷を落とす」は、どちらかというとその場の感情で叱りつける様子を想起させますが「叱咤激励」の方は「励ますために」発せられる言葉なのです。

 

「雷を落とす」の英訳は?

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次に「雷を落とす」の英訳を見ていきましょう。

「give hell to」

「雷を落とす」は、「ひどく叱ること」でしたから、高校生英語で英訳の問題が出たら、「叱る」という意味を持つ動詞、「scold」(skóʊld)を使うか、もし、「scold」が思いつかないようであれば、「大声を出す」という意味を持つ単語、例えば、「shout」(ʃάʊt)「yell」(jél)と表現すれば、相手に意味は伝わるでしょう。

今回ご紹介するのは、「どやしつける」という意味を持つ「give hell (to)」という口語表現です。「give hell (to)」の「hell」(hiːl)は、ご存知の通り、「地獄」や「地獄のような苦悩の場所」という意味で、「give hell (to)」で、まさに「どやしつける」という意味になります。例えば、「彼をどやしつける」を英文にすると「I will give hell to him」になるわけです。「give」は、非常にひんぱんに出てくる動詞ですね。単語が頭に浮かばないようなことがあれば「give」を工夫して表現すると案外、うまく伝えられるかもしれませんね。

「雷を落とす」を使いこなそう

この記事では「雷を落とす」の意味や使い方を見てきました。「雷を落とす」は、「大声で叱りつけること」でしたね。先生が生徒に、あるいは上司が部下に大声で叱りつけることは、かってはよく目にする光景だったのかもしれません。しかし、生徒にも部下にも人権があるわけで、もし今の時代大声で怒鳴りつけるようなことがあれば、教育委員会に訴えられたり、パワハラで訴えられることもあるでしょう。自分の中で怒りがこみ上げてきたら深呼吸して自分を落ち着かせることが必要な時代になってきたのではないかと思います。

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国語言葉の意味

【慣用句】「雷を落とす」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「雷を落とす」について解説する。

端的に言えば雷を落とすの意味は「大声で叱ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で6年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「雷を落とす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な6年目のライター、eastflower。「雷を落とす」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「雷を落とす」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「雷を落とす」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「雷を落とす」の意味は?

まずは、「雷を落とす」の辞書の意味を見ていきましょう。

1. 大声で怒鳴るなどして叱りつけることを指す慣用表現。

 日本国語大辞典(精選版)「雷が落ちる」

「雷を落とす」(かみなりをおとす)と「雷が落ちる」(かみなりがおちる)は、ほぼ同じ意味で使われる言葉ですが、「雷が落ちる」の方は、自然現象をそのまま表現する場合に多く使われます。一方、「雷を落とす」という慣用句が使われる場合には、辞書で説明されているとおり、ほぼ「大声で叱りつけること」の比喩として使われているのです。

「雷を落とす」の語源は?

次に「雷を落とす」の語源を確認しておきましょう。
「雷を落とす」あるいは、「雷が落ちる」という表現は、古来より使われてきた表現だと考えられています。現代とちょっと違うのは、「雷を落とす」のは、「雷神」(らいじん)、つまり「雷の神様」だと信じられてきました。人間の知識や知恵の及ばない自然界の現象に対して、神の意思だと考えるのは、なにも日本に限ったことではなくいたるところで信じられてきたのです。「雷神」と並んで風の神である「風人」(ふうじん)もいたと考えらてきました。農耕社会では、豊作を司る地元の神が存在し、狩猟社会でも「海の神」や「大地の神」の存在が信じられてきたわけです。

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