端的に言えば口が掛かるの意味は「誘いがある」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
塾講師を経験したナギセを呼んです。一緒に「口が掛かる」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/ナギセ
塾講師経験のあるライター。もちろん国語も教えた経験あり。国語好きを生かし、楽しく解説する。
「口が掛かる」の意味は?
「口が掛かる」には、次のような意味があります。
1.芸人・芸妓などが客の座敷に呼ばれる。
2.仕事の注文などを受ける。
3.仲間などから誘いがある。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「口(くち)が掛かる」
三つの意味を持つ慣用句です。三つともそれぞれ少し似ていますね。誘いや依頼などがある際に使われます。何らかの形で必要とされていることがわかる言葉です。
「口が掛かる」の語源は?
次に「口が掛かる」の語源を確認しておきましょう。
口は話をする言語器官であるところから、呼び出しがかかることや友人の誘いがあることを「口が掛かる」というようになったようです。「掛かる」は他から作用が及ぶことを表すのでまさに「口が掛かる」の意味と一致しますね。
「口が掛かる」の使い方・例文
「口が掛かる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.彼女に宴会の口が掛かる。
2.イベントでのバイトの口が掛かった。
3.音声収録の口が掛かる。
三つとも意味の違う「口が掛かる」を使っています。読み比べてみましょう。どれも基本的には悪い意味では使いません。使いやすい言葉だと思うので、ぜひ覚えてたくさん使ってみましょう!
その1「御座敷が掛かる」
芸者・芸人などが客の座敷に呼ばれることや会合などに招かれることを指す慣用句です。御座敷はそのまま「おざしき」と読みます。「御座敷」は座敷の尊敬語でもありますが、芸者・芸人が呼ばれる酒宴の席のことも指しますよ。
1.お座敷が掛かったので、支度をして向かう。
2.他社からお座敷が掛かり、気合を入れて向かった。
3.どこか別の席でおすすめされたとお知らせがあり、お座敷が掛かったのでご要望通りの演目を行った。
その2「声が掛かる」
勧誘や招待を受けるという意味の慣用句です。他にも、呼びかけられる、目上の人に認められ特別の計らいを受ける、客席から舞台の俳優や歌手に声援がとぶなどという意味があります。よく使う表現ではありますが、複数意味があるので気をつけたい慣用句ですね。
声で勧誘や招待をするので、これが掛かることでこの意味になるのですね。
1.ゲストとして声が掛かった。
2.声が掛かったので、無料で会員向けのサービスを受けられた。
3.現在ご利用中の方から声が掛かる。
今回の例文はすべて、勧誘や招待を受けるという意味で「声が掛かる」を使っています。他の意味でもぜひ例文を作ってみてください。そうすると、より理解が深まりますよ!
「口が掛かる」の対義語は?
「口が掛かる」の対義語にはどのようなものがあるでしょうか。見ていきましょう!
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