この記事では「頭を撥ねる」について解説する。

端的に言えば頭を撥ねるの意味は「ピンはねする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

塾講師を経験したナギセを呼んです。一緒に「頭を撥ねる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナギセ

塾講師経験のあるライター。もちろん国語も教えた経験あり。国語好きを生かし、楽しく解説する。

「頭を撥ねる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「頭を撥ねる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「頭を撥ねる」の意味は?

「頭を撥ねる」には、次のような意味があります。

人の取り分の一部を自分のものにする。ピンはねする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「頭(あたま)を撥(は)ねる」

「頭を撥ねる」よりもピンはねの方が耳にする機会が多いかもしれませんね。

「頭を撥ねる」の語源は?

次に「頭を撥ねる」の語源を確認しておきましょう。

頭にはうわまえという意味があります。撥ねるには取り除くという意味があるので、一部、うわまえを取り除くという意味で「頭を撥ねる」を使うようになったようです。

お尻や足ではなく頭を使うのが面白いですね。

「頭を撥ねる」の使い方・例文

「頭を撥ねる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.運営者がうまいこと頭を撥ねたようだ。
2.頭を撥ねたことが相手にばれた。
3.「こっそり頭を撥ねるなんて朝飯前さ。」と彼が言った。

人の利益の一部をとって自分のものにするという意味で使われています。良くない意味で使われることが多いですが、意外とそこらで行われているようです。

「頭を撥ねる」の類義語は?違いは?

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「頭を撥ねる」の類義語にはどのようなものがあるでしょうか。早速見ていきましょう!

その1「ピンはねする」

取り次いで人に渡すべき金品から、その一部を取って自分のものとするという意味の言葉です。聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

ピンはねのピンはポルトガル語のpinta(点)からきています。これはかるたや賽の目などの「一」のことです。一はね、つまり一割はねることから、「ピンはね」すると言われるようになりました。外来語からきているので「ピン」は片仮名なのでしょうね。

1.日当をピンはねしてから渡す。

2.ピンはねされていたことを知って不快感を感じた。

3.あそこの会社はピンはねするとたちまち噂になり、悪事千里を走るとはこのことか、と落ち込んだ。

その2「上前を撥ねる」

他人に取り次ぐ賃金や代金の一部を自分のものとする、かすめとるといった意味の慣用句です。「上前(うわまえ)」は「上米(うわまい)」からきており、仕事や売買の仲介をする者が取る賃金や代金などの一部のことを指します。

また、「上米」は江戸時代に諸国の年貢米を通過させるときに、神社がその幾分かを「初穂」として寄進させたもののことです。

1.手数料だと言って上前を撥ねる。

2.彼らが上前を撥ねているとうわさが流れたが証拠がなく、曖昧模糊とした状態になって終わった。

3.給料の上前を撥ねられていてショックだった。

その3「猫ばばする」

拾得物などをこっそり自分のものとすることという意味の言葉です、他に、悪いことをして素知らぬ顔をすることという意味もあります。これは、猫がフンをしたあとを、砂をかけて隠すところからきているようです。

1.人が稼いだ金を猫ばばするなんて、悪銭を手に入れた奴の気持ちが知りたい。

2.猫ばばされないような対策をおすすめされた。

3.明日も猫ばばされようものならただじゃおかない。

\次のページで「その4「搾取」」を解説!/

その4「搾取」

階級社会で、生産手段の所有者が生産手段を持たない直接生産者を必要労働時間以上に働かせ、そこから発生する剰余労働の生産物を無償で取得することを指す言葉です。「頭を撥ねる」のように一部の利益を人から取ることを表しています。

他に、乳などをしぼりとることという意味もありますよ。

1.今まで上手くやっていたつもりだったが、足元を見て搾取していたことがばれ、暗礁に乗り上げた。

2.搾取されない方法を暗中模索する。

3.搾取階級にうまいことやられてしまった。

搾取は本当にやってはいけないことです。労働と給料が見合わないようであれば、しっかりと相談したり、転職を考えたりする必要があります。

また、3の例文のように搾取階級という熟語もあり、資本家や地主を労働者や農民の側からいう言葉です。

「頭を撥ねる」の対義語は?

「頭を撥ねる」の対義語にはどのようなものがあるでしょうか。見ていきましょう!

「謹厳実直」

つつしみ深くまじめで正直であること、またそのようすという意味の四字熟語です。あまり聞き馴染みが無いかもしれませんね。また、読み方は「きんげんじっちょく」です。

1.今日も彼は謹厳実直だ。

2.彼女の、愛想は無いが謹厳実直な態度に安心感を覚える。

3.「謹厳実直な彼の揚げ足を取るような真似するな!」

謹厳実直な〇〇という言い方がよくされます。一緒に仕事をしていくうえで、謹厳実直な方は信頼できますよね。そんな人物を目指したいものです。

「頭を撥ねる」の英訳は?

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「頭を撥ねる」の英訳にはどのようなものがあるでしょうか。見ていきましょう!

その1「skim some off the top」

skim offでお金をくすねるという意味があります。the topで頭の部分、上前のことになるので頭を撥ねるの英訳になるのです。

\次のページで「その2「take a percentage」」を解説!/

I operate our application and skim some off the top.

(訳:アプリの情報を操作し、頭を撥ねる。)

その2「take a percentage」

percentageで分け前や部分という意味があるのです。takeでとるという意味があるので分け前を取る=頭を撥ねるとなりました。

I fight to take a percentage well.

(訳:うまく頭を撥ねるのに悪戦苦闘する。)

fightで悪戦苦闘するという意味にもなります。便利な単語ですね。

その3「take a rake-off from」

rake-offには分け前という意味があります。takeは取るという意味ですから分け前を取る=頭を撥ねるとなるのです。

I search for how to take a rake-off from them twice.

(訳:彼らから再度頭を撥ねる方法を検索する。)

「頭を撥ねる」を使いこなそう

この記事では「頭を撥ねる」の意味・使い方・類語などを説明しました。あまり使わない、というか使わない方がいい慣用句ではありますが、しっかりと覚えましょう。

皆さんは頭を撥ねられることがないよう、気をつけて働いてくださいね!あやしく思ったらすぐ相談ですよ!

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国語言葉の意味

【慣用句】「頭を撥ねる」の意味や使い方は?例文や類語を元塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「頭を撥ねる」について解説する。

端的に言えば頭を撥ねるの意味は「ピンはねする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

塾講師を経験したナギセを呼んです。一緒に「頭を撥ねる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナギセ

塾講師経験のあるライター。もちろん国語も教えた経験あり。国語好きを生かし、楽しく解説する。

「頭を撥ねる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「頭を撥ねる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「頭を撥ねる」の意味は?

「頭を撥ねる」には、次のような意味があります。

人の取り分の一部を自分のものにする。ピンはねする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「頭(あたま)を撥(は)ねる」

「頭を撥ねる」よりもピンはねの方が耳にする機会が多いかもしれませんね。

「頭を撥ねる」の語源は?

次に「頭を撥ねる」の語源を確認しておきましょう。

頭にはうわまえという意味があります。撥ねるには取り除くという意味があるので、一部、うわまえを取り除くという意味で「頭を撥ねる」を使うようになったようです。

お尻や足ではなく頭を使うのが面白いですね。

「頭を撥ねる」の使い方・例文

「頭を撥ねる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.運営者がうまいこと頭を撥ねたようだ。
2.頭を撥ねたことが相手にばれた。
3.「こっそり頭を撥ねるなんて朝飯前さ。」と彼が言った。

人の利益の一部をとって自分のものにするという意味で使われています。良くない意味で使われることが多いですが、意外とそこらで行われているようです。

「頭を撥ねる」の類義語は?違いは?

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「頭を撥ねる」の類義語にはどのようなものがあるでしょうか。早速見ていきましょう!

その1「ピンはねする」

取り次いで人に渡すべき金品から、その一部を取って自分のものとするという意味の言葉です。聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

ピンはねのピンはポルトガル語のpinta(点)からきています。これはかるたや賽の目などの「一」のことです。一はね、つまり一割はねることから、「ピンはね」すると言われるようになりました。外来語からきているので「ピン」は片仮名なのでしょうね。

1.日当をピンはねしてから渡す。

2.ピンはねされていたことを知って不快感を感じた。

3.あそこの会社はピンはねするとたちまち噂になり、悪事千里を走るとはこのことか、と落ち込んだ。

その2「上前を撥ねる」

他人に取り次ぐ賃金や代金の一部を自分のものとする、かすめとるといった意味の慣用句です。「上前(うわまえ)」は「上米(うわまい)」からきており、仕事や売買の仲介をする者が取る賃金や代金などの一部のことを指します。

また、「上米」は江戸時代に諸国の年貢米を通過させるときに、神社がその幾分かを「初穂」として寄進させたもののことです。

1.手数料だと言って上前を撥ねる。

2.彼らが上前を撥ねているとうわさが流れたが証拠がなく、曖昧模糊とした状態になって終わった。

3.給料の上前を撥ねられていてショックだった。

その3「猫ばばする」

拾得物などをこっそり自分のものとすることという意味の言葉です、他に、悪いことをして素知らぬ顔をすることという意味もあります。これは、猫がフンをしたあとを、砂をかけて隠すところからきているようです。

1.人が稼いだ金を猫ばばするなんて、悪銭を手に入れた奴の気持ちが知りたい。

2.猫ばばされないような対策をおすすめされた。

3.明日も猫ばばされようものならただじゃおかない。

\次のページで「その4「搾取」」を解説!/

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