この記事では「生木を裂く」について解説する。

端的に言えば生木を裂くの意味は「むりやり別れさせる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

塾講師を経験したナギセを呼んです。一緒に「生木を裂く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナギセ

塾講師経験のあるライター。もちろん国語も教えた経験あり。国語好きを生かし、楽しく解説する。

「生木を裂く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「生木を裂く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「生木を裂く」の意味は?

「生木を裂く」には、次のような意味があります。

相愛の夫婦・恋人などをむりやり別れさせる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「生木(なまき)を裂く」

相思相愛の人々の仲をむりやり裂くというのは酷いことですね。日本のような山国は樹木が十分にあるので「生木」という表現が使われたのでしょう。樹木がほとんど生えないような地域では生まれないであろう慣用句です。

このように慣用句は地域の特徴が色濃く表れていることが多くあります。日本語や英語以外の慣用句について調べてみるのも面白いですね!

「生木を裂く」の語源は?

次に「生木を裂く」の語源を確認しておきましょう。

「生木」は地に生えている樹木、または切ったばかりの十分に枯れていない樹木のことを指します。このような生木を縦に裂くことは簡単ではありません。そこから、簡単には離れないであろう相愛の人間同士を無理に引き離すことの比喩にしたのです。

「生木を裂く」の使い方・例文

「生木を裂く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.友人の彼女が好きだったので生木を裂いて彼女を自分のものにした。
2.周囲の反対を押し切って愛し合った彼らだったが、とうとう生木を裂かれてしまった。
3.生木を裂かれ、彼女の生活は色を失った。

生木を裂く側と裂かれる側に分けて例文を作ってみました。2や3の例文のように受け身形でもよく使われるので覚えておきましょう!

「生木を裂く」の類義語は?違いは?

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「生木を裂く」の類義語にはどんなものがあるでしょうか。早速見ていきましょう!

その1「離間」

仲たがいをさせること、互いの仲を裂くことという意味の言葉です。「りかん」と読みます。間を離れ(させ)ると書くのであまり良くない意味であることが漢字からうかがえますよね。

1.離間しようとしたがうまくいかなかった。

2.良い離間策を思いついた。

3.ある大人たちを離間したら、二度と仲が戻ることはなかった。

2の例文のように離間策という熟語もあります。合わせて覚えておくと良いでしょう。また、離間だけでは名詞になるので、離間するという形で使うのが一般的です。

その2「仲たがいさせる」

仲が悪くなることを仲たがいと言います。漢字では「仲違い」です。仲が違うと書くので仲が良くない状態ということがわかりますよね。これをあえて他人にすることを、仲たがいさせると言います。

1.彼らを仲たがいさせるために情報を集める。

2.仲たがいさせて、相手の日常を不穏なものにする。

3.仲のいい二者を仲たがいさせる。

仲たがいさせるという言葉として扱っていますが、当事者の立場になると、仲たがいするという形で使います。仲たがいだけでは名詞になりますよ。

\次のページで「その3「こじらせる」」を解説!/

その3「こじらせる」

物事をもつれさせ、処理を難しくする、めんどうにするという意味の言葉です。他に、病気を治しそこねて長引かせるという意味もあります。よく聞く表現ではないでしょうか。

1.あらゆる問題をこじらせている。

2.彼女は人の関係性をこじらせる達人だ。

3.さまざまな場面で物事をこじらせる。

今回は「生木を裂く」により類似している、物事をもつれさせめんどうにするという意味で例文を作りました。他の意味で例文を作ってみるのも面白いと思います。

「生木を裂く」の対義語は?

「生木を裂く」の対義語にはどのようなものがあるでしょうか。見ていきましょう!

その1「仲を取り持つ」

人と人との間柄を事がうまくいくように世話をするという意味の表現です。「取り持つ」には他に、相手の気持ちを損ねたり、座がしらけたりしないようにもてなすという意味や取り仕切って事を行うという意味、手に取って持つという意味があります。複数あるので大変ですが覚えておくとよいでしょう。

1.彼女たちの仲を取り持つ方法を考える。

2.仲を取り持った結果、うまくいったようすで嬉しくなる。

3.仲を取り持つために画策する。

その2「仲立ち」

双方の間に立って事をとりもつことという意味の言葉です。人と人との間に立つとなると、一見仲を邪魔しているようにも見えますが、人と仲良くなる前は仲人のような人物が間に入ることで上手くいきます。

1.男女の仲立ちをする。

2.彼らの仲立ちをしたら、なんとか仲直りしてくれた。

3.口下手な彼らの仲立ちをする。

その3「間に立つ」

当事者の間に入って、交渉や話し合いが成立するようにとりまとめることを表す慣用句です。よく使われますよね。間に人が入ることで円滑に物事が進んでいくようすを表しているんです。

\次のページで「「生木を裂く」の英訳は?」を解説!/

1.両者の間に立つ。

2.敵同士の間に立つのはなかなか骨が折れる。

3.「間に立つことで関係性を良く出来ていたのなら幸いです。」

「生木を裂く」の英訳は?

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「生木を裂く」の英訳にはどのようなものがあるでしょうか。見ていきましょう!

その1「force lovers to part company」

force 〇〇 to doで〇〇に~することを強制するという意味になります。loverは恋人、partは引き離す、companyは交際という意味です。そのため、恋人たちの交際を引き離すことを強制する=むりやり恋人たちを引き離すとなり生木を裂くの意味になります。

I will do anything to force lovers to part company.

(訳:生木を裂くために何でもするつもりだ。)

その2「force close friends apart」

forceには強いるという意味があります。closeは親密な、親しいという意味です。friendsは友達でapartは離れて、ばらばらにという意味。そこで、親しい友達を無理やり離ればなれにする=生木を裂くとなります。

I decided to force close friends apart.

(訳:私は生木を裂くことにした。)

「生木を裂く」を使いこなそう

この記事では「生木を裂く」の意味・使い方・類語などを説明しました。嫌な意味合いの言葉でしたね。

類義語とまではいきませんが、雰囲気の近い言葉に「好いた同士は泣いても連れる」という言葉や「生木に釘」といった言葉があります。調べてみるのも面白いと思いますよ。

さて、皆さんは生木を裂くことのないようにしてくださいね!

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国語言葉の意味

【慣用句】「生木を裂く」の意味や使い方は?例文や類語を元塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「生木を裂く」について解説する。

端的に言えば生木を裂くの意味は「むりやり別れさせる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

塾講師を経験したナギセを呼んです。一緒に「生木を裂く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナギセ

塾講師経験のあるライター。もちろん国語も教えた経験あり。国語好きを生かし、楽しく解説する。

「生木を裂く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「生木を裂く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「生木を裂く」の意味は?

「生木を裂く」には、次のような意味があります。

相愛の夫婦・恋人などをむりやり別れさせる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「生木(なまき)を裂く」

相思相愛の人々の仲をむりやり裂くというのは酷いことですね。日本のような山国は樹木が十分にあるので「生木」という表現が使われたのでしょう。樹木がほとんど生えないような地域では生まれないであろう慣用句です。

このように慣用句は地域の特徴が色濃く表れていることが多くあります。日本語や英語以外の慣用句について調べてみるのも面白いですね!

「生木を裂く」の語源は?

次に「生木を裂く」の語源を確認しておきましょう。

「生木」は地に生えている樹木、または切ったばかりの十分に枯れていない樹木のことを指します。このような生木を縦に裂くことは簡単ではありません。そこから、簡単には離れないであろう相愛の人間同士を無理に引き離すことの比喩にしたのです。

「生木を裂く」の使い方・例文

「生木を裂く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.友人の彼女が好きだったので生木を裂いて彼女を自分のものにした。
2.周囲の反対を押し切って愛し合った彼らだったが、とうとう生木を裂かれてしまった。
3.生木を裂かれ、彼女の生活は色を失った。

生木を裂く側と裂かれる側に分けて例文を作ってみました。2や3の例文のように受け身形でもよく使われるので覚えておきましょう!

「生木を裂く」の類義語は?違いは?

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「生木を裂く」の類義語にはどんなものがあるでしょうか。早速見ていきましょう!

その1「離間」

仲たがいをさせること、互いの仲を裂くことという意味の言葉です。「りかん」と読みます。間を離れ(させ)ると書くのであまり良くない意味であることが漢字からうかがえますよね。

1.離間しようとしたがうまくいかなかった。

2.良い離間策を思いついた。

3.ある大人たちを離間したら、二度と仲が戻ることはなかった。

2の例文のように離間策という熟語もあります。合わせて覚えておくと良いでしょう。また、離間だけでは名詞になるので、離間するという形で使うのが一般的です。

その2「仲たがいさせる」

仲が悪くなることを仲たがいと言います。漢字では「仲違い」です。仲が違うと書くので仲が良くない状態ということがわかりますよね。これをあえて他人にすることを、仲たがいさせると言います。

1.彼らを仲たがいさせるために情報を集める。

2.仲たがいさせて、相手の日常を不穏なものにする。

3.仲のいい二者を仲たがいさせる。

仲たがいさせるという言葉として扱っていますが、当事者の立場になると、仲たがいするという形で使います。仲たがいだけでは名詞になりますよ。

\次のページで「その3「こじらせる」」を解説!/

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