突然ですが、今この記事を読んでいる君は「動物と植物の違いってなに?」と聞かれたらどう答えるでしょうか?
色々な違いが思い浮かぶと思うが、動物や植物の定義まで考えるとなかなか難しいでしょう。今回の記事を読めば動物と植物で違うポイントをしっかり掴むことができる。

大学院で植物の研究していた、生物に詳しいライターAnnaと一緒に解説していきます。

ライター/Anna

大学で生物学について幅広く学び、大学院では植物の研究をしていた。生物学の楽しさをたくさんの人に広められるよう日々勉強中。

動物と植物のざっくりした違い

image by iStockphoto

動物と植物の違いってなに?と聞かれると明らかに違うことは分かっていても意外と説明するのは難しいですよね。

そんな動物と植物の違いをテーマに、まずは生物学的な分類からざっくりと理解していきましょう。

動物とは?

動物とは?

image by Study-Z編集部

動物とは魚類、両生類、鳥類、爬虫類、哺乳類といった脊椎動物や、軟体動物、節足動物などの無脊椎動物などを中心とした幅広い種類の生物を含んだ系統群のことです。

一般的な特徴として運動性を持ち、自ら動いてエサを捕まえてエネルギーを得ることが挙げられます。

 

生物全体を5つの界に分ける「五界説」によると生物は、原核生物界、原生生物界、菌界、植物界、動物界に分類されていて、そのうち「動物界」に属する生物を「動物」と定義する場合もあるようです。

植物とは?

植物とは?

image by Study-Z編集部

植物とは種子をつくって子孫を残す種子植物や、胞子で増えるシダ植物、コケ植物などの光合成を行う生物のうち、細胞に核を持つ真核生物のことです。

一般的な特徴として運動性を持たず、光合成により自分自身でエネルギーを得ることが挙げられます。

先ほど解説した生物の分類「五界説」のうち「植物界」に属する生物を「植物」と定義する場合もあるようです。

\次のページで「動物と植物の違い4つ」を解説!/

動物と植物の違い4つ

生物学的な分類から動物と植物がそれぞれイメージできたと思います。ここからは動物と植物の違いを4つの重要なポイントごとにより詳しく見ていきましょう。

1.細胞

動物と植物では身体を作っている細胞の構造が異なります。細胞の基本的な構造は同じですが、植物の細胞には「細胞壁」と「葉緑体」という特殊な構造が存在するのです。

「細胞壁」とは植物の細胞の一番外側にある構造で、骨格として植物を支えているほか、細胞間の連絡や細胞膜を守る役割を担っています。

「葉緑体」とは光合成を行う細胞小器官です。葉緑体の中には葉緑素と呼ばれる緑色の色素があるため、植物の葉は緑色をしています。

2.エネルギーの作り方

生物は生きていくためにエネルギーが必要ですが、植物は光合成ができるため水と二酸化炭素から光を使ってエネルギー源となる有機物を合成することができます。

一方、動物は光合成ができないため他の動物や植物などを食べてエネルギーや栄養を得る必要があるのです。

植物は無機物(水、二酸化炭素、光)から有機物を作り出すことができるため「生産者」と呼ばれ、動物は他の生物を補食することで有機物を取り入れているため「消費者」と呼ばれることもあります。他にも、分解者は生物の死骸や排出物などに含まれる有機物を無機物に分解する菌類(キノコなど)は「分解者」と呼ばれることもあるのでぜひ覚えておきましょう。

\次のページで「3.動くことができるか」を解説!/

3.動くことができるか

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記事の最初に動物と植物のざっくりした違いでも解説しましたが、動物は自由に動き、食料を得たり敵から逃げたりすることができます。一方、植物は移動できないため環境が変化した場合でも同じ場所で一生を過ごさなくてはいけません。

4.繁殖方法

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動物は求愛行動をするなど能動的に相手を選んで繁殖しますが、植物は能動的に相手を選ぶことはありません。植物は花粉を他の生物(虫、鳥など)や風によって運んでもらい受粉をするなど、動物と比べると変わった方法で繁殖しますよね。

動物と植物の共通点とは?

ここまで動物と植物の違いを解説しましたが、共通点も多くあります。生物としての共通点を一つずつ見ていきましょう。

1.身体が細胞からできている

すべての生物の基本単位は細胞です。逆に言うと細胞を持たないものは生物ではないということにもなります。また、動物も植物も真核細胞という細胞に核を持つ細胞からできているんですよ。

2.DNAを持つ

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DNAとはデオキシリボ核酸の略称で、体の設計図とも言われ生物の細胞を作る上で欠かせないものです。動物、植物どちらもDNAを持っていて、DNAの遺伝情報を元に身体的な特徴が決まります。遺伝の授業や問題でよくDNAと一緒に登場する染色体は、このDNAがヒストンと呼ばれるタンパク質に巻き付き、折りたたまれたかたまりのことなんですよ。ちなみに、染色体は生物によって数が異なっていて例えばヒトは46本、トウモロコシは20本、イヌは78本と様々です。

\次のページで「3.生殖により子孫を残す」を解説!/

3.生殖により子孫を残す

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生物は子孫を残すことで繁栄していきます。生物の種類によっていろいろな繁殖方法がありますが、必ず子孫を残すという点は共通していますよね。生殖の方法には有性生殖(オスとメスが交配することで子孫を残す方法)と無性生殖(ある個体が単独で新しい子孫を残す方法)がありますが、多くの生物は有性生殖を行います。

4.代謝を行う

動物も植物も生きていくためにはエネルギーが必要です。動物と植物ではエネルギーの作り方は違いますが、代謝によってエネルギーを得て、そのエネルギーを使って生命を維持している点は共通していますね。代謝には異化と同化があり、異化は物質を分解することでエネルギーを得ること、同化はエネルギーを使って物質を合成することを言います。

異化の例:呼吸

同化の例:光合成(炭酸同化)、窒素同化

5.体内の状態を一定に保つ

生物が体内の状態を一定に保つことを恒常性(ホメオスタシス)と言いますが、この特徴も動物と植物に共通して見られます。例えば恒温動物では周りの気温や水温が変わっても体温をほぼ一定に保つことができたり、植物では乾燥した環境に対して葉の裏にある気孔という穴を閉じて体内の水分を維持したりすることが可能です。

動物と植物では組織や器官の発生過程も違う?

今回は分かっているようで意外と説明が難しい動物と植物の違いについて解説しました。

これまで解説した4つの違い以外にも、動物と植物では発生の過程に違いがあるのは知っていますか?

動物は胚発生時に心臓や肺などの器官や上皮などの組織が作られ、そのまま成体の器官や組織となります。一方、植物は始めは小さい葉や茎、根などの器官しかありませんが成長するにつれて新たに葉をつくったり、花をつくったりするなど器官や組織をつくりながら成長していくのです。普段はなかなか意識しない違いですが、ぜひこれを機に周りにいるたくさんの動物や植物に目を向けてみてくださいね。

イラスト使用元:いらすとや

" /> 3分で分かる動物と植物の違い!細胞やエネルギー生成の方法・共通点についても理系ライターが分かりやすくわかりやすく解説 – Study-Z
理科生物生物の分類・進化

3分で分かる動物と植物の違い!細胞やエネルギー生成の方法・共通点についても理系ライターが分かりやすくわかりやすく解説

突然ですが、今この記事を読んでいる君は「動物と植物の違いってなに?」と聞かれたらどう答えるでしょうか?
色々な違いが思い浮かぶと思うが、動物や植物の定義まで考えるとなかなか難しいでしょう。今回の記事を読めば動物と植物で違うポイントをしっかり掴むことができる。

大学院で植物の研究していた、生物に詳しいライターAnnaと一緒に解説していきます。

ライター/Anna

大学で生物学について幅広く学び、大学院では植物の研究をしていた。生物学の楽しさをたくさんの人に広められるよう日々勉強中。

動物と植物のざっくりした違い

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動物と植物の違いってなに?と聞かれると明らかに違うことは分かっていても意外と説明するのは難しいですよね。

そんな動物と植物の違いをテーマに、まずは生物学的な分類からざっくりと理解していきましょう。

動物とは?

動物とは?

image by Study-Z編集部

動物とは魚類、両生類、鳥類、爬虫類、哺乳類といった脊椎動物や、軟体動物、節足動物などの無脊椎動物などを中心とした幅広い種類の生物を含んだ系統群のことです。

一般的な特徴として運動性を持ち、自ら動いてエサを捕まえてエネルギーを得ることが挙げられます。

 

生物全体を5つの界に分ける「五界説」によると生物は、原核生物界、原生生物界、菌界、植物界、動物界に分類されていて、そのうち「動物界」に属する生物を「動物」と定義する場合もあるようです。

植物とは?

植物とは?

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植物とは種子をつくって子孫を残す種子植物や、胞子で増えるシダ植物、コケ植物などの光合成を行う生物のうち、細胞に核を持つ真核生物のことです。

一般的な特徴として運動性を持たず、光合成により自分自身でエネルギーを得ることが挙げられます。

先ほど解説した生物の分類「五界説」のうち「植物界」に属する生物を「植物」と定義する場合もあるようです。

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