シニア海外ボランティアに従事する団塊の世代も
団塊の世代の特徴は働くことが好きということ。そこで定年後は自分の経験や技術を活かし、シニアボランティアとして海外に渡る人も出てきました。おもに発展途上地域に渡航し、製造技術や農業技術を伝えることで、国際交流を促進させました。
なかでも活躍の場を広げたのがエンジニアです。中国や東南アジア諸国に製造メーカーが多数進出。そこで技術を伝えるために現地で再就職するケースも増えました。団塊の世代が日本人が海外で働く基盤を作ったと言ってもいいかもしれません。
日本のものづくりを支えた団塊の世代
団塊の世代と言えば日本をものづくり大国に押し上げたことを忘れてはならないでしょう。日本の高度経済成長を加速させた要因のひとつが製造業の急成長。団塊の世代はさまざまなかたちで製造メーカーの業務に携わりました。
団塊の世代が成長させた製造業
団塊の世代の時代に成長したのが自動車メーカー。トヨタ、日産、ホンダなどが急成長し、下請けの会社も多数生まれました。また、住宅ローンが浸透したこともあり、働き盛りのタイミングでマイホームを取得する家庭が増加。そこで成長したのがミサワホームです。
核家族化が進んだことで「一家に一台」という考え方が増加。家電を購入する家庭が増えてきます。車に加えてテレビ、冷蔵庫。電話などの売り上げが大きく伸びました。そこでソニー、シャープ、NECなどが頭角をあらわすことに。海外に進出した製造メーカーも多く、今でも日本は自動車や家電のイメージが強く残っています。
組織化された年功序列と終身雇用で保護された
ものづくりで急成長した日本の企業は社員を手厚く保護します。会社の規模が大きくなるにつれて厳格に組織化。社長、部長、課長、係長、そのほかの細かい役職が作られ、年齢により序列化されました。当時はまじめに働いてさえいれば、年齢と共に役職と給与がアップすると信じられていました。
また、いちど就職したら定年までその会社で働ける終身雇用も定着。極端な言い方をすれば、能力が十分でなくても、まじめに働いていれば雇用が保証されていたのです。今とくらべたら、雇用の安定性という面では、恵まれた世代でした。
終身雇用は、働く側としては恵まれている一面もあるが、長らく同じ会社にいると甘えが出てくるのが自然な流れ。また、有能な人材がいても会社に迎え入れることが難しくなるデメリットがあります。実は、終身雇用が一般的な国は少なく、基本的に海外では「実力主義」「能力主義」が当たり前。また、日本は不況に陥ったことで終身雇用を保証することもできなくなりました。そのため今の日本では、終身雇用はあいまいな形となっています。
団塊の世代は私たちの「今」と密接に関連
団塊の世代は日本の人口構成に大きな影響を与えました。団塊の世代の人口の多さからその後の世代は就職難に陥った、医療費の税金負担が大きくなったなど、ネガティブに捉えられることも少なくありません。しかしながら今の日本の経済的安定をもたらしたのも団塊の世代。さまざまな角度から私たちの生活との関連を見ていくことで、団塊の世代がもたらしたものが理解できるようになるでしょう。