雑学食べ物・飲み物

棗(なつめ)とデーツの違いは?味はどう違う?栄養や効果、漢方薬としての効能まで現役薬剤師がわかりやすく解説

よぉ、桜木健二だ。今回はなつめとデーツの違いをみていくぞ。日本ではドライフルーツとして親しまれる、なつめとデーツ。干した実だけを見るとよく似ていて、区別が難しいよな。デーツはなつめやしとも呼ばれ、名前までそっくりだ。しかし、植物としての特徴や、味や食感、栄養成分などには違いがある。
漢方薬にもなるなつめと、栄養豊富なデーツ。両者が健康に役立つ点も合わせて、現役薬剤師ライターのアラノるかと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/アラノるか

現役薬剤師ライター。生薬としてのなつめ(大棗)は、実家の漢方薬局で見慣れた存在。いつか海外で生のデーツを食べてみたい。患者さまへの説明同様、わかりやすい解説を心がけている。

1.なつめとデーツは別のもの!植物としての特徴は?

ドライフルーツとして売られているところを見ると、なつめデーツの見た目はそっくり。しかし、植物としての種類や、木になっている姿は大きく違います。写真を見比べながら説明していきましょう。

1-1.棗(ナツメ)の特徴や原産地は?

image by iStockphoto

ナツメクロウメモドキ科の落葉樹。一本の木だけで実を結びます。南ヨーロッパ原産で、西アジアを経由して中国に伝わったというのが一説ですが、中国原産であるとの意見も。

日本には奈良時代以前に伝わりました。庭木として親しまれてきましたが、現代では多くが伐採されてしまっているようで、商業的に果樹栽培されているのはごくわずか。ドライフルーツとしての流通がほとんどで、今の国内では珍しい果物という印象です。

中国韓国では広く栽培され、品種もさまざま。日常的に生食されるほか、干しなつめが料理にもしばしば使われます。

1-2.デーツ(ナツメヤシ)の特徴や原産地は?

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デーツヤシ科の常緑高木ナツメヤシの果実のことを指します。ナツメヤシは雄株と雌株に分かれているため、両方がそろった環境でなければデーツは実りません。風によって受粉する植物なのですが、現代の商業栽培では人工授粉が行われます。

紀元前6000年ごろにはすでに栽培が始まっていたらしく、人類の介入以前の原産地の特定は難しいようです。北アフリカか西南アジアが原産ではないかと推定されています。北アフリカ中東地域を中心に広く栽培される、乾燥に強いオアシス作物です。

デーツは砂漠でも育つ上、栄養価が高く、乾燥させて長期保存することもできるため、中近東諸国では重要な食料として扱われてきました。近年では健康目的で注目され、日本でも名前を聞くことが増えてきています。

2.どうしてデーツはなつめやしと呼ばれる?なつめとデーツの名前の由来

デーツの和名である「なつめやし」は、果実がなつめに似ていることから名づけられました。

一方で、なつめは英語圏では「Chinese date(中国のデーツ)」と呼ばれることも。そっくりな果物同士の面白い関係性ですね。

2-1.なつめの名前の由来

なつめの和名の由来は「夏芽」。初夏に芽を出すことから、こう呼ばれるようになったと言われています。

漢字では「」と書きますが、これはなつめの中国名、「棗(そう)」の漢字を取り入れたもの。元々は「棘」という漢字から転じた字です。字の示す通りに、なつめの枝や幹には鋭い棘が生えています。

\次のページで「2-2.デーツの名前の由来」を解説!/

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