
漢方薬にもなるなつめと、栄養豊富なデーツ。両者が健康に役立つ点も合わせて、現役薬剤師ライターのアラノるかと一緒に解説していきます。
- 1.なつめとデーツは別のもの!植物としての特徴は?
- 1-1.棗(ナツメ)の特徴や原産地は?
- 1-2.デーツ(ナツメヤシ)の特徴や原産地は?
- 2.どうしてデーツはなつめやしと呼ばれる?なつめとデーツの名前の由来
- 2-1.なつめの名前の由来
- 2-2.デーツの名前の由来
- 3.なつめとデーツの味や栄養素、違いはあるの?
- 3-1.なつめの味と栄養、おいしい食べ方
- 3-2.デーツの味と栄養、おいしい食べ方
- 4.漢方薬にもなるなつめ、その効能とは?
- 4-1.大棗(たいそう)として用いられるなつめ
- 4-2.大棗を含む主な漢方薬について
- 5.スーパーフードとして注目されるデーツ、何が期待できる?
- 5-1.デーツを食べて健康に
- 似て非なるなつめとデーツ、どちらも健康の味方
この記事の目次

ライター/アラノるか
現役薬剤師ライター。生薬としてのなつめ(大棗)は、実家の漢方薬局で見慣れた存在。いつか海外で生のデーツを食べてみたい。患者さまへの説明同様、わかりやすい解説を心がけている。
1.なつめとデーツは別のもの!植物としての特徴は?
ドライフルーツとして売られているところを見ると、なつめとデーツの見た目はそっくり。しかし、植物としての種類や、木になっている姿は大きく違います。写真を見比べながら説明していきましょう。
1-1.棗(ナツメ)の特徴や原産地は?

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ナツメはクロウメモドキ科の落葉樹。一本の木だけで実を結びます。南ヨーロッパ原産で、西アジアを経由して中国に伝わったというのが一説ですが、中国原産であるとの意見も。
日本には奈良時代以前に伝わりました。庭木として親しまれてきましたが、現代では多くが伐採されてしまっているようで、商業的に果樹栽培されているのはごくわずか。ドライフルーツとしての流通がほとんどで、今の国内では珍しい果物という印象です。
中国や韓国では広く栽培され、品種もさまざま。日常的に生食されるほか、干しなつめが料理にもしばしば使われます。
1-2.デーツ(ナツメヤシ)の特徴や原産地は?

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デーツはヤシ科の常緑高木、ナツメヤシの果実のことを指します。ナツメヤシは雄株と雌株に分かれているため、両方がそろった環境でなければデーツは実りません。風によって受粉する植物なのですが、現代の商業栽培では人工授粉が行われます。
紀元前6000年ごろにはすでに栽培が始まっていたらしく、人類の介入以前の原産地の特定は難しいようです。北アフリカか西南アジアが原産ではないかと推定されています。北アフリカや中東地域を中心に広く栽培される、乾燥に強いオアシス作物です。
デーツは砂漠でも育つ上、栄養価が高く、乾燥させて長期保存することもできるため、中近東諸国では重要な食料として扱われてきました。近年では健康目的で注目され、日本でも名前を聞くことが増えてきています。
2.どうしてデーツはなつめやしと呼ばれる?なつめとデーツの名前の由来
デーツの和名である「なつめやし」は、果実がなつめに似ていることから名づけられました。
一方で、なつめは英語圏では「Chinese date(中国のデーツ)」と呼ばれることも。そっくりな果物同士の面白い関係性ですね。
2-1.なつめの名前の由来
なつめの和名の由来は「夏芽」。初夏に芽を出すことから、こう呼ばれるようになったと言われています。
漢字では「棗」と書きますが、これはなつめの中国名、「棗(そう)」の漢字を取り入れたもの。元々は「棘」という漢字から転じた字です。字の示す通りに、なつめの枝や幹には鋭い棘が生えています。
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