今日はM4AとMP3の違いについて説明します。この2つはどちらも音楽データを圧縮したものですが、それぞれファイル名の後ろに「.m4a」「.mp3」という拡張子がつくということ以外、細かい違いはあまり知られていない。ぱっと見で、同じ音楽データの一種である「MP4」とごっちゃになる人もいそうです。ここでは両者の特徴と違い、適した再生機器と変換方法について、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

M4A MP3の特徴をざっくり解説

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最初に、M4AとMP3の両者の特徴を、簡単に確認しておきましょう。どちらも「音声データ」あるいは「音楽データ」と呼ばれるデジタルデータの一種なのですが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか?

M4A:音声データを圧縮したもので音質がよい

M4Aは音声データの記録形式の一種で、その大きな特徴はMP3と比べて音質が良いという点です。

音声や音楽を録音したデジタルデータの中には、人の耳では聴き取れないレベルのものを含む雑音が含まれています。私たちが普段、スマホやPCで聴く音楽データはこうした雑音を取り除く「圧縮」という処理が施されており、M4Aもその一種です。

MP3:音声データを圧縮したもので容量が小さい

MP3は正式名称を「MPEG1 Audio Layer-3」といい、これもM4Aと同様に圧縮処理によって雑音を取り除いた音声データです。もともとの音声データをMP3形式に圧縮することで、もとのデータの10分の1にまでサイズを縮めることができます。

M4AとMP3の違いは?

M4AとMP3の違いは、専用のプレーヤーで再生したときの「音質」と、データそのものの「重さ」、対応している再生ソフトの数(汎用性)、そして「知名度」の4つに大別できます。

M4AとMP3は「音質と重さ」が違う

M4AとMP3はどちらも圧縮された音楽データですが、再生した時の音質はM4Aの方がいいと言われています。もともとM4AはMP3が進化したものなので、音楽データとしてMP3よりも高品質に作られているのです。

音楽が1秒間再生される間のデータ量を示す「圧縮率」という単位でM4AとMP3を比べてみると、MP3よりもMA4の方が圧縮率が高いという結果になります。よって同じ再生時間で考えるとM4Aの方がデータの密度が高いので、M4AはMP3に比べて重いのです。

デジタルデータとはいえ、含まれている物質の密度が高ければ高いほど重さが増すのは、アナログな物理の世界と同じなんですね。

M4AとMP3は「汎用性と知名度」も違う

M4AとMP3は音楽データです。よって、再生するには専用のアプリやプレーヤーなどの再生ソフトが必要になりますが、M4AとMP3はそれぞれ対応しているソフトにも違いがありますM4Aの方が、再生ソフトが限られているのです。

もともとM4Aは、Apple社が自社の機器の中で利用することを想定して開発されました。よってiPhone、iPad、iPodなどのApple社製のデバイスでは再生可能です。またその他のWindows Media PlayerやVLCなどの標準的なプレーヤーでも再生できるのですが、一部の古いプレーヤーやAndroidでは再生できません。Youtubeにはアップロードできない点も特徴的です。

これに対してMP3ファイルは多くのPC、プレーヤー、モバイルデバイスで再生することができ、汎用性はMP3の方が抜群だと言えます。この汎用性の高さと、データの軽さゆえの扱いやすさ、歴史の長さなどから、知名度もMP3の方が上です。

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M4AとMP3のメリットとデメリットは?

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ここまでで、M4AとMP3の特徴と違いについて説明してきました。では、音楽データが必要となる具体的な場面で、M4AとMP3を使うことで、それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

M4Aのメリット

M4Aの一番のメリットは、先述した通り「音質のよさ」にあります。M4AはMP3の進化系なので当然と言えますが、しかもM4Aは現在も開発・改良が続いているので、今後の発展性や将来性を考えると、M4A形式に慣れておいた方がいいと言えるかも知れません。

M4Aのデメリット

一方、デメリットは、やはり「データの重さ」と「汎用性の低さ」にあります。一つひとつのデータが重いためMP3と比べて保存時の容量を食うのに加えて、再生できるプレーヤーも限定的なため敬遠されがちです。

例えば、iPhoneではM4Aの音楽データを再生できてもAndroidではできないとか、M4Aの音楽データをカーナビで再生しようとしてもM4Aには対応していない、ということがあります。また一部の編集ソフトもM4Aには対応していません。

MP3のメリット

MP3はほとんどの音声・動画の再生アプリやプレーヤーで利用することができます。古いPC内の古いソフトでも再生可能なことが多く、汎用性についてはM4Aと比較するまでもなく、何種類もある音楽データの形式でMP3に勝るものはありません。

またMP3は「軽さ」も魅力のひとつで、MP3形式の音楽データなら、たくさんダウンロードしてもハードディスクの容量をあまり食いません。よってM4Aと比べて、大量かつ手軽に保管したり送信したりすることが可能です。

MP3のデメリット

一方、MP3のデメリットとして、開発からすでに約30年が経過していることもあり、すでに開発が終了しているという点が挙げられます。新しく登場したプレーヤーに応じて、MP3そのものが改良されるということは今後ありません。

M4AをMP3に変換する方法は?

ここまで、M4AとMP3の特徴と違い、メリットとデメリットを説明しました。次は、M4AをMP3に変換する方法を説明します。M4Aは音質はいいものの、MP3に比べるとデータが重くて汎用性に欠けるため、MP3形式に変換した方が使い勝手はいいでしょう。

さて、M4AをMP3に変換する方法をネットで検索してみると、たくさんの方法があることが分かります。特殊なダウンロードソフトを使うもの、オンラインサイトで変換するもの、有料のもの無料のもの……。

ここでは、Apple社による音楽管理ソフト「iTunes」を使う方法をご紹介します。これはMacでもWindowsでも使うことができ、処理が速いうえにファイルサイズの制限もないので最適です。

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macで変換する場合

最初に、Macを使った変換方法を説明します。まずiTunesを開き、「iTunes」→「環境設定」→「一般」→「読み込み設定」の順にクリックしましょう。次に「読み込み設定」のプルダウンメニューから「MP3エンコーダ」を選択します。

あとは簡単です。MP3形式に変換したいM4Aのデータをライブラリから選択し、メニューから「ファイル」→「変換」→「MP3バージョンを作成」の順でクリックすれば変換は終了となります。

windowsで変換する場合

Windowsの場合も、Macのやり方と大きな違いはありません。まずiTunesを起動させ、画面上のメニューから「編集」→「環境設定」の順でクリックしていきます。そしてiTunesのインポート設定にあたる「環境設定」を開きましょう。

次に、そこが「一般」になっているのを確認して「CDをセットしたときの動作」の「インポート設定」を選択します。そして「インポート方法」を「MP3エンコーダ」に設定しましょう。少しでも音質を良くしたいなら、下にある「設定」を「高音質(192 kbps)」にして、設定が終わったら「OK」をクリックします。

次に、iTunesのファイルのMP3バージョンへ変換したい曲を選択。その状態で画面上のメニューから「ファイル」「変換」「MP3バージョンを作成」の順にクリックすればMP3への変換完了です。

M4AとMP3の再生方法は?

M4Aを、より汎用性の高いMP3形式へと変換する方法を説明しましたので、次は両者の再生方法について解説します。

MP3形式であればほとんどのプレーヤーで再生することができますが、Appleユーザーの方はM4Aの音質の良さというメリットも捨てがたいことでしょう。では、この長所を生かすにはどのプレーヤーを使うのが最適でしょうか。

M4AはAndroid端末を除く標準的なプレーヤーで再生できる

M4Aは、MP3と比べて汎用性が低いとはいえ、iPhoneやiPodなどのAppleデバイスをはじめ、iTune、Quicktime、Windows Media playerなどの標準的なプレーヤーなら多くのもので再生できます。

まずは手持ちの端末に入っているプレーヤーやアプリで再生できるかどうか試してみましょう。ただ悩ましいのは、AndroidだけはM4A再生アプリがないと再生できない点です。

MP3は標準的なプレーヤーで再生できる

一方、MP3はWindows ユーザーならおなじみのWindows Media Playerをはじめとする各種音楽プレーヤーで再生可能です。またこれ以外にも、iTunes、foobar2000、Video LAN、GOM Playerなどでも再生できます。

スマホでもAndroid端末も含めて普通の音楽再生アプリなら問題なく聴けるでしょう。MP3は再生プレーヤーを選ばないと言っても過言ではありません。

M4AとMP3のどちらを使うといい?

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M4AとMP3は、どちらも一般的な再生プレーヤーなら再生することができます。また、必要ならM4AからMP3に変換することもでき、「どちらが使えるか」をあまり心配する必要はなさそうです。

ではそうなると、あとはM4AとMP3のどちらか好きな方を選ぶだけ。以下では、人によってどちらを使うのが適当なのかについて説明します。

\次のページで「M4Aは「データの音質」を重視する人向け」を解説!/

M4Aは「データの音質」を重視する人向け

M4Aの最大の魅力は「音質がいい」ということです。よって、何はともあれ高音質で音楽を聴きたい、あるいは特に高音質で再生したい曲や歌がある場合は、M4Aを選ぶといいでしょう。

MP3は「データの軽さ」を重視する人向け

MP3の最大の魅力は「データの軽さ」にありますので、お気に入りの音楽を大量に所有して好きなものを好きな時に聴きたい人に向いています。また、MP3はダントツの汎用性を誇りますので、時と場所を選ばずにいつでも再生できるのが大きな利点です。

M4AとMP3の違いはなぜ生まれた?その歴史は?

最後に、M4AとMP3が生まれた経緯を説明します。まずMP3は、1993年にドイツで開発されました。当初、対応する再生プレーヤーを開発するのにお金がかかったことから、対応しないメーカーもありました。

一方、M4AはApple社が独自に開発したものです。まずApple社はMP3の進化系であるMP4というファイル形式を開発しました。これは動画や音声、字幕の文字など複数のデータを記録することができる保存形式でしたが、ここからさらに音声データの保存機能に特化したものとして生まれたのがM4Aです。

M4AとMP3はデータの重さや音質に差があるので好みで使い分けるとよい

M4Aはひとことで言えば「基本的にAppleユーザー向け」。ただし音質はよく、一方のMP3はM4Aと比べて音質は劣るものの、その軽さゆえ保存容量を食わないのが利点です。さらに、どんな再生プレーヤーにも対応しているというフットワークの軽さもMP3の大きな魅力でしょう。

MP3形式の音楽データは多くの人が触れたことがあると思いますが、こうしてM4Aという別のデータ形式と比べてみると、見慣れたMP3という形式の特徴もはっきり見えてきます。お互いの特徴を踏まえて、好みの方を使うといいでしょう。

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M4AとMP3の違いは何?macやwindowsで変換はできる?音楽データについて雑学好きライターがわかりやすく解説

M4AとMP3のメリットとデメリットは?

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ここまでで、M4AとMP3の特徴と違いについて説明してきました。では、音楽データが必要となる具体的な場面で、M4AとMP3を使うことで、それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

M4Aのメリット

M4Aの一番のメリットは、先述した通り「音質のよさ」にあります。M4AはMP3の進化系なので当然と言えますが、しかもM4Aは現在も開発・改良が続いているので、今後の発展性や将来性を考えると、M4A形式に慣れておいた方がいいと言えるかも知れません。

M4Aのデメリット

一方、デメリットは、やはり「データの重さ」と「汎用性の低さ」にあります。一つひとつのデータが重いためMP3と比べて保存時の容量を食うのに加えて、再生できるプレーヤーも限定的なため敬遠されがちです。

例えば、iPhoneではM4Aの音楽データを再生できてもAndroidではできないとか、M4Aの音楽データをカーナビで再生しようとしてもM4Aには対応していない、ということがあります。また一部の編集ソフトもM4Aには対応していません。

MP3のメリット

MP3はほとんどの音声・動画の再生アプリやプレーヤーで利用することができます。古いPC内の古いソフトでも再生可能なことが多く、汎用性についてはM4Aと比較するまでもなく、何種類もある音楽データの形式でMP3に勝るものはありません。

またMP3は「軽さ」も魅力のひとつで、MP3形式の音楽データなら、たくさんダウンロードしてもハードディスクの容量をあまり食いません。よってM4Aと比べて、大量かつ手軽に保管したり送信したりすることが可能です。

MP3のデメリット

一方、MP3のデメリットとして、開発からすでに約30年が経過していることもあり、すでに開発が終了しているという点が挙げられます。新しく登場したプレーヤーに応じて、MP3そのものが改良されるということは今後ありません。

M4AをMP3に変換する方法は?

ここまで、M4AとMP3の特徴と違い、メリットとデメリットを説明しました。次は、M4AをMP3に変換する方法を説明します。M4Aは音質はいいものの、MP3に比べるとデータが重くて汎用性に欠けるため、MP3形式に変換した方が使い勝手はいいでしょう。

さて、M4AをMP3に変換する方法をネットで検索してみると、たくさんの方法があることが分かります。特殊なダウンロードソフトを使うもの、オンラインサイトで変換するもの、有料のもの無料のもの……。

ここでは、Apple社による音楽管理ソフト「iTunes」を使う方法をご紹介します。これはMacでもWindowsでも使うことができ、処理が速いうえにファイルサイズの制限もないので最適です。

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