セミの鳴き声が聞こえてきたら夏が始まり、セミの鳴き声からキリギリスやコオロギの鳴き声に変わると夏の終わり、秋の訪れを感じる。セミは夏の暑い時期にしきりに鳴き、そして2週間ほどで寿命を全うする。夏とセミの寿命は短いものだと思われがちですが、夏以外でもセミは生きているぞ。セミの寿命そしてセミの一生について、生物に詳しいライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

幼いころから地方の自然豊かな環境で育ってきたので、自然が大好き。夏はセミやカブトムシを捕まえたり、セミの抜け殻を机の上に並べたり、自然の中で遊んできた。もともと文系出身で、独学で生物学、分子生物学、微生物学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

セミの分類及び種類

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セミとは、熱帯や亜熱帯地域のように暑い地域に生息していますが、冷帯にも生息するものもいます。日本は四季のある温帯ですので、夏の気温が上がる時期に成虫となりますよ。セミは、卵、幼虫、成虫という不完全変態をします。この記事ではセミの一生について概要を説明していきますね。

セミの分類

セミは、節足動物の中の昆虫であり、なんとカメムシの仲間なのですよ。節足動物とは文字通り、からだは「節」で分かれています。各体節からは肢(あし)が出ていて肢には節(動物で言う関節みたいなもの)がありますよ。

その中でも昆虫は、からだが、頭、胸、腹の3つに分かれていて、それぞれから2本ずつ肢が出ていて合計6本肢を持っていますよ。

さらに昆虫は、胸部に翅がある有翅類、胸部に翅がない無翅類に分かれますが、セミは有翅類ですね。有翅類で不完全変態の昆虫ですね。

セミの種類

セミは基本的に熱帯や亜熱帯の気候帯に生息していますよ。中には冷帯に生息するセミもいますが、地上に出てくるのは、気温が上がる夏の時期です。日本のほとんどが温帯という気候帯に属していますので、同じく、日本のセミも気温が上がる夏に地上に出てきます。

世界で一番大きなセミはテイオウゼミです。体長が130㎜ほどあるそうですよ。一方でイワサキクサゼミは体長20㎜ほどしかない小さな種類もありますよ。イワサキクサゼミは、日本にも生息していますよ。

\次のページで「セミの卵の孵化から幼虫期」を解説!/

セミの卵の孵化から幼虫期

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セミは、夏の間に産卵します。広葉樹の雑木林で、古い木の隙間に採卵管を突き刺して卵を産み付けますよ。セミが卵から孵化してから幼虫の間のことを説明しますね。

土の中で過ごす期間

セミは、卵は産み付けられてからなんと1年は孵化しません。孵化後は、すぐに土壌に潜らず、最初の脱皮を経て土壌へもぐります。鳥や虫(人間も)などの天敵に運よく見つかることがなければ、長い土壌中の生活になりますよ。

土壌中で過ごす期間はセミの種類によって違うのですが、ツクツクボウシで1~2年ほど、アブラゼミで3~4年ほど、クマゼミで4~5年ほどです。

土の中で幼虫は何をしているのか

セミは、梅雨の時期くらいになると孵化して地中へもぐります。その間、木の根の汁を吸いながらそこから栄養を取って過ごすのですね。木の根を切ったり、樹液を吸ったりするので、セミの幼虫による農業被害もありますよ。土の中にも天敵がいて、モグラなどに食べられてしまうことがあります。天敵に捕食されず長い期間生き残ったものだけが羽化のチャンスがありますよ。

セミの幼虫期から成虫期

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上記で、セミは不完全変態で卵→幼虫→成虫という変化をたどると説明しましたが、セミは、サナギにならないだけであり、幼虫と成虫の見た目はかなりちがいます。セミは幼虫の時と成虫のときは樹液を吸って栄養を摂取しますよ。次に、セミの幼虫期から成虫期について見ていきましょうね。

幼虫から羽化へ

長い土の中での生活が終わり、いよいよ地上へ出て成虫になる準備をします。セミは不完全変態なので、サナギにはならず、幼虫からふ化して成虫になりますよ。幼虫が土の中から出てきだすのは、時間帯で言えば、夕方頃、暗くなり始めるころです。羽化は夕方から明け方まで暗いときに行われることが多いですが、それは鳥などの天敵から襲われないようにするためではないかと考えられていますよ。

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羽化とは

羽化(うか)とは、一般的に、完全変態昆虫がさなぎから出て成虫になることを指しますが、不完全変態昆虫でも、終齢若虫の硬いクチクラから成虫が出ることを羽化と言いますよ。羽化は、晴れた日の夕方に行われます。上記の写真がちょうど羽化を行っているところですね。

羽化の準備が整った終齢幼虫は、羽化をするために地上に這い上がってきて、木の幹を登り始めますよ。位置が定まったら、背中が割れて白い成虫が顔を出します。そして足で抜け殻にぶら下がり、翅を伸ばし乾かしますよ。

羽化したばかりのセミは写真のように透き通るような白色をしています。時間が経ち、外骨格が固まって体色が付いたセミになりますよ。木にくっついている抜け殻は、セミが羽化を行った後ですね。

セミの成虫期から寿命まで

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無事に羽化を果たし、成虫になって自由に飛び回れるようになったセミは、その間にパートナーを見つけ、子孫を残さなければなりません。最後にセミの成虫期から寿命までを見ていきましょうね。

セミの成虫の活動時期

セミの成虫の活動時期

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セミと言ったら、夏の風物詩ですね。セミの鳴き声が聞こえてきたら夏の訪れを感じます。セミはなぜ鳴くと思いますか。求愛行動なのですよ。オスのセミが鳴いてメスに自分の居場所を知らせるのです。図のように、セミの種類によって鳴く時期は異なりますよ。

セミはどのようにして鳴いているのか

セミはどのようにして鳴いているのか考えたことはありますか。コオロギは翅をこすり合わせて鳴いているのに対して、セミはお腹を振動させて鳴いていますよ。お腹の中の発音筋を振動させています。その回数は1秒間に2万回ほどだそうです。電動歯ブラシは1秒間に500回程度なので、いかにすごいかがわかりますね。

メスは鳴かないので、お腹の中は発音筋のような音を出す構造にはなっておらず、代わりに卵がありますよ。

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セミの一生は長いが儚い

セミはサナギにならない不完全変態の昆虫です。熱帯や亜熱帯などの気候帯に生息していますが、日本のような温帯にも生息していますね。木に産み付けられた卵は孵化するのに1年ほどかかります。孵化し土の中へもぐり、幼虫として長い土の中での生活が始まりますよ。セミの種類によって土の中で過ごす期間が異なり、一番長いのはクマゼミの4~5年です。

羽化をするために天敵に襲われにくい夜間に地上へ出てきて羽化開始。無事に羽化できて成虫になれたものだけが子孫を残すことができます。セミは成虫の時しか鳴きません。子孫を残すために求愛行動として鳴くのです。交尾を終えて子孫を残せたら、セミはその寿命を終えます。地中の中では長くて5年ほど生きて、成虫になって外で生活するのは1か月ほど。セミの寿命は長いけれども儚いですよね。

皆さんも、道端や公園で卵、幼虫、成虫でもセミを見かけたら、そっとしておいてくださればうれしいです。

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理科生物

3分で簡単セミの寿命!実は長生き?分類や成長の過程も生物系ライターが詳しくわかりやすく解説

セミの鳴き声が聞こえてきたら夏が始まり、セミの鳴き声からキリギリスやコオロギの鳴き声に変わると夏の終わり、秋の訪れを感じる。セミは夏の暑い時期にしきりに鳴き、そして2週間ほどで寿命を全うする。夏とセミの寿命は短いものだと思われがちですが、夏以外でもセミは生きているぞ。セミの寿命そしてセミの一生について、生物に詳しいライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

幼いころから地方の自然豊かな環境で育ってきたので、自然が大好き。夏はセミやカブトムシを捕まえたり、セミの抜け殻を机の上に並べたり、自然の中で遊んできた。もともと文系出身で、独学で生物学、分子生物学、微生物学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

セミの分類及び種類

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セミとは、熱帯や亜熱帯地域のように暑い地域に生息していますが、冷帯にも生息するものもいます。日本は四季のある温帯ですので、夏の気温が上がる時期に成虫となりますよ。セミは、卵、幼虫、成虫という不完全変態をします。この記事ではセミの一生について概要を説明していきますね。

セミの分類

セミは、節足動物の中の昆虫であり、なんとカメムシの仲間なのですよ。節足動物とは文字通り、からだは「節」で分かれています。各体節からは肢(あし)が出ていて肢には節(動物で言う関節みたいなもの)がありますよ。

その中でも昆虫は、からだが、頭、胸、腹の3つに分かれていて、それぞれから2本ずつ肢が出ていて合計6本肢を持っていますよ。

さらに昆虫は、胸部に翅がある有翅類、胸部に翅がない無翅類に分かれますが、セミは有翅類ですね。有翅類で不完全変態の昆虫ですね。

セミの種類

セミは基本的に熱帯や亜熱帯の気候帯に生息していますよ。中には冷帯に生息するセミもいますが、地上に出てくるのは、気温が上がる夏の時期です。日本のほとんどが温帯という気候帯に属していますので、同じく、日本のセミも気温が上がる夏に地上に出てきます。

世界で一番大きなセミはテイオウゼミです。体長が130㎜ほどあるそうですよ。一方でイワサキクサゼミは体長20㎜ほどしかない小さな種類もありますよ。イワサキクサゼミは、日本にも生息していますよ。

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