この記事では「身を削る」について解説する。

端的に言えば「身を削る」の意味は「非常な苦労をする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「身を削る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「身を削る」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは「身を削る」という言葉をご存知ですか?現代でも、「身を削って働く」などと使われている言葉なので聞いたことがある人も多いはず。今回は、そんな「身を削る」について詳しく解説していきたいと思います。

それでは早速「身を削る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「身を削る」の意味は?

「身を削る」には、次のような意味があります。

非常な苦労をする。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「身を削る」は「みをけずる」と読む慣用句です。

この慣用句で用いられている「身」とは、自分自身の体のことを指します。しかし、文字通りに実際に身体を削るわけではありません。「削る」は非常な苦労をすることの比喩表現です。

「身を削る」を使う場合、苦労の程度に注意する必要があります。少し何かを頑張ったくらいでは誇張になってしまうため、「身を削る」を使うのは適切とは言えません。身体がやせてしまうほどの非常な努力をした場合に用いられるので注意をしましょう。

「身を削る」の使い方・例文

「身を削る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「身を削る」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.若い頃に見を削るほど経営について勉強したおかげで、今ではいくつもの事業を取り仕切る経営者になることができた。
2.私が幼い頃に両親が離婚をしたが、お母さんは骨身を削る思いで昼夜問わず働いて私を育てあげてくれた。
3.あれほど毎日骨身を削るくらい毎日深夜まで勉強をしていたのだから、第一志望の大学に受からないわけがない。

ここでは3つの例文を挙げました。それでは、ひとつひとつ確認していきましょう。

例文1は、若い頃の甚だしい努力のおかげで現在の経営者としての自分があるということを表す例文です。このように、「身を削る」は過去の自分の努力があるからこそ今があると表現する場合に用いることで、その努力が甚だしいものであったと強調することができます。

例文2は、離婚した母が昼夜問わず働き、大変な苦労をしながらも私を育て上げてくれたことを表す例文です。ここで重要なのは、身を削っているのは私ではなく母ということ。このように、自分自身の苦労だけでなく、他者の苦労にたいしても用いることができます

例文3は、毎日眠る時間削って深夜まで勉強をしていたのだから、志望校に受からないわけがないという、自身の自信を表す例文です。ここで用いられているように「身を削った」を使って自分は大変な苦労をしたんだと声を大にして言うと、大げさととられてしまうこともあるので使用シーンには十分注意しましょう。

「身を削る」の類義語は?違いは?

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非常な苦労をすることを意味する「身を削る」と似た意味を持つ言葉には、どのようなものがあるのでしょうか。下記の言葉を確認していきましょう。

その1「骨身を惜しまず」

「骨身を惜しまず」は「ほねみをおしまず」と読む慣用句です。

ここでいう「骨身」は骨と肉、からだのこと、「惜しむ」は自分の労力を使うのを嫌がることを意味します。ここに打ち消しの助動詞「ず」が付くことで、苦労や面倒を嫌がらない、怠けたりせず全力で取り組むという意味になるのです。

1.骨身を惜しまず働く上司の姿に感化され、部下の仕事に対する姿勢も段々と良くなってきている。
2.チームメイトが怠けているのにも関わらず、骨身を惜しまず練習に打ち込む彼の姿勢は賞賛に値する。

\次のページで「その2「血の出るよう」」を解説!/

その2「血の出るよう」

「血の出るよう」は「ちのでるよう」と読む慣用句です。

実際に血が出るということではなく、努力・辛苦がひととおりではない様子を表す比喩表現になります。「身を削る」と同様に、ちょっとした頑張りではなく、並々ならない努力に対して用いられることを覚えておきましょう。

1.ステージ上で笑顔を振りまきキラキラとして見えるアイドルも、裏では血の出るような努力を重ねているに違いない。
2.みんなが憧れる甲子園の地に立つためには、血の出るような努力を日々続けていかなければならないのだ。

その3「身を粉にする」

「身を粉にする」は「みをこにする」と読む慣用句です。

ここで用いられている「身」は、「身を削る」と同様に自分自身の体のことを指します。実際にからだが粉になるというわけではなく、心身がすり減るほど働く様子から、苦労を厭わないで努力する、精根尽くすことを表わす比喩表現として用いられるのです。

なお、「身を粉にする」を「みをこなにする」と読むのは間違いなので注意しましょう。

1.生まれたばかりの愛娘に何不自由のない暮らしを与えるため、毎日朝から晩まで身を粉にして働く。
2.今回のコンペに勝つべく、チーム全員で身を粉にして準備をしてきたので他社に負けるはずがない。

「身を削る」の対義語は?

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「身を削る」の明確な対義語は見つかりませんでした

しかし、あえて非常な苦労をすることを意味する「身を削る」と反対の意味を持つ言葉を挙げるなら、働かないでブラブラと遊び暮らすことを意味する「無為徒食」(むいとしょく)が考えられるのではないでしょうか。

1.都会の喧騒の中であくせくと働いていると、家にこもって無為徒食な生活を送ってみたくなる。
2.アリとキリギリスのキリギリスのような無為徒食な生活を送るよりも、アリのように汗水を垂らして働いた方が充実感がある。
3.親のすねをかじって無為徒食な暮らしを送ってきたが、周りの皆が社会に出て結果を残していることに気づいて焦りを感じ、就活を始めることにした。

\次のページで「「身を削る」を使いこなそう」を解説!/

「身を削る」を使いこなそう

この記事では「身を削る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「身を削る」は、非常な努力をすることを意味する慣用句です。自分自身の努力に対して使うだけでなく、他者の努力を表現する際にも用いることができます。

なお、「身を削る」は、ちょっとやそっとの努力ではなく、その程度が並々ならない場合に用いられるため、誇張表現にならないように使用する際には見極めが必要です。
類義語として「骨身を惜しまず」、「血の出るよう」、「身を粉にする」を挙げました。「身を削る」と意味が共通しているだけでなく、いずれの慣用句も身体に関する言葉が含まれています。言葉の使い分けをうまくできるように、それぞれの言葉の意味をきちんと理解しておきましょう。

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【慣用句】「身を削る」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒現役ライターがわかりやすく解説!

この記事では「身を削る」について解説する。

端的に言えば「身を削る」の意味は「非常な苦労をする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「身を削る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「身を削る」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは「身を削る」という言葉をご存知ですか?現代でも、「身を削って働く」などと使われている言葉なので聞いたことがある人も多いはず。今回は、そんな「身を削る」について詳しく解説していきたいと思います。

それでは早速「身を削る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「身を削る」の意味は?

「身を削る」には、次のような意味があります。

非常な苦労をする。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「身を削る」は「みをけずる」と読む慣用句です。

この慣用句で用いられている「身」とは、自分自身の体のことを指します。しかし、文字通りに実際に身体を削るわけではありません。「削る」は非常な苦労をすることの比喩表現です。

「身を削る」を使う場合、苦労の程度に注意する必要があります。少し何かを頑張ったくらいでは誇張になってしまうため、「身を削る」を使うのは適切とは言えません。身体がやせてしまうほどの非常な努力をした場合に用いられるので注意をしましょう。

「身を削る」の使い方・例文

「身を削る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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