この記事では「潮が引く」について解説する。

端的に言えば「潮が引く」の意味は「盛んだった勢いが衰える」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「潮が引く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「潮が引く」の意味をわかりやすく伝える。

「潮が引く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「潮が引く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「潮が引く」の意味は?

「潮が引く」には、次のような意味があります。

1. 引き潮になる。干潮になる。

2. それまで盛んだった勢いが衰える。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「潮が引く

「潮が引く」は「しおがひく」と読み、海が引き潮・干潮になった場合又は、勢いが衰えた際に使用する言葉です。このように「海の物理的現象」と、「勢いや雰囲気などの状況の変化」といった2つの意味を有しています。双方の意味は全く異なりますので取り違えることは少ないと思いますが、念のため注意しておきましょう。

「潮が引く」の語源は?

次に「潮が引く」の語源を確認しておきましょう。「潮が引く」の語源は明確ではありませんが、2つの言葉がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認してみます。

まず「潮」ですが、「海の物理的現象」の方は「月や太陽の引力によって周期的に起こる海面の昇降。」の意味で、「引く」は「出ているものが遠くへ去る。しりぞく。」でしょう。これはわかりやすいかと思います。

次に「勢いや雰囲気などの状況の変化」については、「潮」は「事をするのによい機会。しおどき。」という意味ですね。海の干満からこのような意味が生じたのだと思われます。一方この場合の「引く」は「うせる。なくなる。」の意味でしょう。そのため丁寧に言い回すと、「事をするのによい機会がなくなる」となることがわかります。

「潮が引く」の使い方・例文

「潮が引く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「潮が引く」の類義語は?違いは?」を解説!/

1. 地震で津波の緊急警報が発表されたけど、浸水被害も無く潮が引いたみたいだ。

2. プレミアム会員になって特別なサービスやお知らせがあるかと思ったけど、特に無くて自分の気持ちの潮が引いたよ。

3. 「ご要望やお問合せは大変ありがたいのですが、今後は回答出来かねます。」ととても親切だったスタッフが潮を引いたように対応してきた。

例文の1は「海水の物理的現象」を示しており、例文の2や3は「勢いや雰囲気の状況の変化」を示していることがわかりますね。前者は文脈が海や海水となることがほとんどであるため、2つの意味を取り違える可能性は少ないでしょう。

「潮が引く」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「潮が引く」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

1. 「引き潮」

今回ご紹介する最初の類義語が「引き潮」(ひきしお)です。良く使用される言葉ですが、念のため国語辞書で意味を確認しておきましょう。

1. 満潮時から干潮時まで、海面がしだいに下降し、海岸線が沖に退くこと。また、その現象。落ち潮。下げ潮。

2. 退く時機。ひきさがるころあい。引き潮時。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「潮が引く

このように「引き潮」は「潮が引く」と同様の2つの意味を有していることがわかりますね。ただし2つ目の「勢いや雰囲気の状況の変化」については、「潮が引く」は「勢いが盛んなものが衰える」という意味だったのに対し、「引き潮」は「盛んだった」という状況のニュアンスは弱めで、「退く時期」というタイミングのみが表現されている言葉となっています。

なお「引き潮時」(ひきしおどき)という言葉も良く使われますが、ほぼ同じ意味と捉えて構いません。

\次のページで「2. 「退潮」」を解説!/

2. 「退潮」

次の類義語が「退潮」(たいちょう)です。こちらも意味を確認しておきましょう。

1. 潮がひくこと。ひきしお。

2. 盛んだった勢いが衰えること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「退潮

このように「退潮」も「潮が引く」や「引き潮」とほとんど同じ意味です。ただし「退潮」は「潮が引く」と同じように、「盛んだった」という過去のニュアンスが表現されていることを頭の片隅に置いておきましょう。

3. 「下火」

今回ご紹介する最後の類義語が「下火」(したび)です。こちらも意味を確認しておきます。

1. 火勢が衰えること。

2. 盛んだった物事の勢いがだんだん衰えてくること。

3. オーブンなどで下から当てる火。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「下火

「潮が引く」の類義語としては2つ目の意味ですね。「盛んだった」状況が衰えている・変化していることを示すことができる言葉です。

「潮が引く」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

\次のページで「「上げ潮」」を解説!/

「上げ潮」

「潮が引く」の対義語としては「上げ潮」(あげしお)が挙げられるでしょう。意味としては2つあり、「満ちてくる潮。満ち潮。差し潮。」と「興隆・充実していく勢いにあること。また、その時期。」ですから、対義関係にあることがわかりますね。

なお「上げ潮」と対応して「下げ潮」という言葉もありますが、こちらは「潮が引く」や「引き潮」と同じ意味で使用可能です。

「潮が引く」の英訳は?

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最後に、「潮が引く」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「lose momentum」

「潮が引く」のうち「勢いや雰囲気の状況の変化」を英語で言い回す場合は、「lose momentum」という言い方があります。「勢いが衰える」という幅広い意味ですから、様々な状況で使用することができるでしょう。以下に例文を見てみます。

・The mysterious group of animals had been vandalizing houses for some time, but we have been informed that they have lost their momentum.

家屋の破壊行動が続いていた謎の動物グループでしたが、その潮は引いたとの情報が入ってきました。

・We were vigorously conducting joint surveys over a vast area of Japan, but the company put a stop to it and now the momentum has lost and the surveys have stagnated.

日本中の広大な範囲を勢いよく合同調査していましたが、会社からストップがかかり、現在では潮が引いたように調査は停滞しています。

・That salesman used to sell TV receivers at a breakneck pace, but his momentum seems to have lost steam lately.

あの営業マンはテレビの受信機を飛ぶ鳥を落とす勢いで売っていたが、最近は潮が引いたようだ。

「潮が引く」を使いこなそう

この記事では「潮が引く」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「潮が引く」は海が引き潮・干潮になった場合又は、勢いが衰えた際に使用する言葉でした。ビジネスシーンでも日常生活でも、「引き潮」なタイミングを間違えると悲惨なことになってしまいますから、常に出口戦略を持っておくことが重要ですよね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「潮が引く」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「潮が引く」について解説する。

端的に言えば「潮が引く」の意味は「盛んだった勢いが衰える」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「潮が引く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「潮が引く」の意味をわかりやすく伝える。

「潮が引く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「潮が引く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「潮が引く」の意味は?

「潮が引く」には、次のような意味があります。

1. 引き潮になる。干潮になる。

2. それまで盛んだった勢いが衰える。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「潮が引く

「潮が引く」は「しおがひく」と読み、海が引き潮・干潮になった場合又は、勢いが衰えた際に使用する言葉です。このように「海の物理的現象」と、「勢いや雰囲気などの状況の変化」といった2つの意味を有しています。双方の意味は全く異なりますので取り違えることは少ないと思いますが、念のため注意しておきましょう。

「潮が引く」の語源は?

次に「潮が引く」の語源を確認しておきましょう。「潮が引く」の語源は明確ではありませんが、2つの言葉がくっついた慣用句ですから、それぞれの意味を確認してみます。

まず「潮」ですが、「海の物理的現象」の方は「月や太陽の引力によって周期的に起こる海面の昇降。」の意味で、「引く」は「出ているものが遠くへ去る。しりぞく。」でしょう。これはわかりやすいかと思います。

次に「勢いや雰囲気などの状況の変化」については、「潮」は「事をするのによい機会。しおどき。」という意味ですね。海の干満からこのような意味が生じたのだと思われます。一方この場合の「引く」は「うせる。なくなる。」の意味でしょう。そのため丁寧に言い回すと、「事をするのによい機会がなくなる」となることがわかります。

「潮が引く」の使い方・例文

「潮が引く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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