この記事ではビスケットとクッキーの違いについてみていきます。

2つとも食べたことがない人はいないというくらい身近な焼き菓子というイメージがあるよな。材料や作り方は似ている2つの違いはずばり、呼び方のようです。さらに、調べてみると国によって同じもののことを色々な言葉で読んでいることがわかった。

今回はそんなビスケットとクッキーの違いを、発祥地や語源・材料から確認しつつお菓子好きライター平いずみと一緒に解説していきます。

ライター/平 いずみ

刺しゅう作家兼ライター。自身で菓子作りもするほどお菓子好き。今回はその経験を生かしつつ執筆する。

ビスケットとクッキーのざっくりした違いとは?

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ビスケットもクッキーもスーパーで売っている形が丸や四角のお菓子で、みなさん一度は食べたことがあるのではないでしょうか。どちらも、西洋の焼き菓子というイメージがありますが、具体的に2つの違いとはいったい何なのでしょうか。今から解説してきます。

ビスケットは薄めで硬く塩気のある焼き菓子

一般的にビスケットとは、厚さが薄めで食感が硬く、塩気のある焼き菓子です。日本では、1971年に全国ビスケット協会により、「砂糖と脂肪分が全体の40%未満のもの」と定義づけられました。また、昔から「機械生産で作られる安価なもの」というイメージを持たれていることが多いでしょう。

クッキーは厚めで柔らかく甘みのある焼き菓子

一方、クッキーとは、厚さが分厚くて柔らかく甘みがある焼き菓子です。日本では同じく1971年に全国ビスケット協会により、「手作り風の外観で、砂糖と脂肪分が全体の40%以上のもの」と定義づけられました。

”手作り風の外観”という意言葉の意味は、日本に入ってきた当初、機械生産のビスケットとは違ってクッキーが「手作りで作られる高級品」であったというイメージが関係しているようです。

日本で先に広まったのはビスケット

日本において先に広まったのはビスケットであり、その歴史は古く、1543年に種子島に漂着したポルトガル人により鉄砲などと共に伝えられました。その後、風月堂がビスケット作りに成功し、日本で最初に販売を始めました。当時は「乾蒸餅」というネーミングでした。

クッキーという名前が広まったのは、1927年に泉屋が京都で販売を始めてからだと言われています。始めは貿易商だった創業者夫婦がアメリカ人宣教師の妻にクッキーの作り方を習い、その後日本人好みの味に改良して完成させました。

ビスケットとクッキーの発祥地は?

海外から伝えられたビスケットとクッキーですが、それぞれの発祥地について解説します。

\次のページで「ビスケットはイギリス発祥」を解説!/

ビスケットはイギリス発祥

ビスケットはイギリス発祥とされていますが、起源は古く今から1万年ほど前にバビロニアで、旅行や航海をする際の保存食として生まれたそうです。当時は日持ち良くするために、パンを2度焼いたものであったそう。

その後、現在のビスケットに近い形になったのは、16世紀後半のヨーロッパの宮廷です。イギリスのエリザベス女王やフランスのマリー・アントワネットも宮廷内でビスケットを製造されていたと言われています。

クッキーはアメリカ発祥

一方、現在の日本で馴染みのあるクッキーはアメリカ発祥です。17世紀初頭に北アメリカに入植した移民たちの食文化が様々に融合し、またホームメイドへのこだわりも強かったことから、家庭ごとにレシピが生まれて定着していったと言われています。

海外ではビスケットとクッキーは同じものを指す

日本においてはビスケットとクッキーは区別されていますが、海外ではどちらも同じものとされています。違うのは国ごとの呼び方の違いであり、アメリカでは両方を含む焼き菓子全般を「クッキー」、イギリスでは全て「ビスケット」と呼ばれているでしょう。因みにイギリスでは、クッキーと言う言葉自体ありません。

アメリカにおけるビスケットは日本でのものとは別物で、ケンタッキーで販売されている柔らかいパンのようなものを「ビスケット」と呼んでいます。またフランスでの焼き菓子の呼び方は、「ビスキュイ」です。

ビスケットとクッキーの語源は?

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次は、ビスケットとクッキーの語源について調べてみましょう。

ビスケットの語源は「bis coctus(ビス・コウトゥス)」

ビスケットの語源は、「bis coctus(ビス・コウトゥス)」で、ラテン語で「二度焼かれたもの」が言葉の由来。また、フランス語の「biscuit(ビスキュイ)」の語源でもあります。

\次のページで「クッキーの語源は「koekje(クーキェ)」」を解説!/

クッキーの語源は「koekje(クーキェ)」

クッキーの語源は「koekje(クーキェ)」であり、オランダ語で「小さな焼き菓子」という言葉が由来。それがアメリカに伝わり、「cookie」という言葉が生まれたと言われています。

ビスケットとクッキーの材料は同じ?違う?

海外では区別されていないビスケットとクッキーですが、そもそも材料も同じなのでしょうか。今から解説します。

ビスケットは中力粉を使っている

ビスケットの材料は、小麦粉にバターや砂糖、卵、牛乳などが加えて作ります。小麦粉はサクサクとした食感を出せる中力粉を用いることが多いでしょう。中力粉はグルテンの量が9%ほどあり、粘度が高いため硬めに仕上がり、きれいに成形できるでしょう。バターや砂糖の配分が少なく、水分が多いのが特徴です。

クッキーは薄力粉を使っている

クッキーはビスケット同様、材料として小麦粉にバターや砂糖、卵、牛乳などを用います。小麦粉は薄力粉を使用することが多いでしょう。薄力粉はグルテンが7%程度と中力粉より低いため、弾力はありませんがふんわり、サクッとした食感になるでしょう。また、砂糖やバターの配分を多くし、水分は控えめにするのが特徴です。

まだまだある!似たようなお菓子のサブレとスコーンって?

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ビスケットやクッキーに似ている焼き菓子として、サブレやスコーンがありますが、それぞれどのようなものなのでしょうか。見ていきましょう。

\次のページで「サブレとはフランス発祥の焼き菓子」を解説!/

サブレとはフランス発祥の焼き菓子

サブレとはフランス発祥の焼き菓子で、サクサクとした食感から「砂」を意味する「sable(サブル)」が語源だと言われています。特徴としては、小麦粉は少量でショートニングやバターが約2倍多く使われ、ベーキングパウダーは使用されていない点があげられるでしょう。

スコーンはスコットランド発祥のパンのような焼き菓子

スコーンはスコットランド発祥の小型の丸いパンのような焼き菓子。材料は小麦粉とベーキングパウダー、牛乳、砂糖、バターなどを使います。イギリスのアフタヌーンティーには欠かせないもので、ジャムやバター、クリームなどを添えて食べることが多いでしょう。アメリカでの「ビスケット」と同じ意味になります。

ビスケットとクッキーはもともと同じものだった!

これまでにビスケットとクッキーの違いについて解説しました。海外においては基本的に2つは焼き菓子全般を意味する同じものであり、国によって「クッキー」「ビスケット」「ビスキュイ」など呼び方が違うということがわかりました。また、日本においては先にビスケットが広まったものの、後から入ってきたクッキーと区別するために定義づけされ、別物ととして扱われるようになりました。

呼び方は違えど、どちらも美味しいお菓子。ビスケットとクッキーのルーツや歴史に思いを馳せながら、優雅なティータイムを楽しんでみるのも良さそうですね。

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形が似ているクッキーとビスケットの違いは呼び方にあった!発祥地や語源・材料などについてお菓子好きライターがわかりやすく解説!

この記事ではビスケットとクッキーの違いについてみていきます。

2つとも食べたことがない人はいないというくらい身近な焼き菓子というイメージがあるよな。材料や作り方は似ている2つの違いはずばり、呼び方のようです。さらに、調べてみると国によって同じもののことを色々な言葉で読んでいることがわかった。

今回はそんなビスケットとクッキーの違いを、発祥地や語源・材料から確認しつつお菓子好きライター平いずみと一緒に解説していきます。

ライター/平 いずみ

刺しゅう作家兼ライター。自身で菓子作りもするほどお菓子好き。今回はその経験を生かしつつ執筆する。

ビスケットとクッキーのざっくりした違いとは?

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ビスケットもクッキーもスーパーで売っている形が丸や四角のお菓子で、みなさん一度は食べたことがあるのではないでしょうか。どちらも、西洋の焼き菓子というイメージがありますが、具体的に2つの違いとはいったい何なのでしょうか。今から解説してきます。

ビスケットは薄めで硬く塩気のある焼き菓子

一般的にビスケットとは、厚さが薄めで食感が硬く、塩気のある焼き菓子です。日本では、1971年に全国ビスケット協会により、「砂糖と脂肪分が全体の40%未満のもの」と定義づけられました。また、昔から「機械生産で作られる安価なもの」というイメージを持たれていることが多いでしょう。

クッキーは厚めで柔らかく甘みのある焼き菓子

一方、クッキーとは、厚さが分厚くて柔らかく甘みがある焼き菓子です。日本では同じく1971年に全国ビスケット協会により、「手作り風の外観で、砂糖と脂肪分が全体の40%以上のもの」と定義づけられました。

”手作り風の外観”という意言葉の意味は、日本に入ってきた当初、機械生産のビスケットとは違ってクッキーが「手作りで作られる高級品」であったというイメージが関係しているようです。

日本で先に広まったのはビスケット

日本において先に広まったのはビスケットであり、その歴史は古く、1543年に種子島に漂着したポルトガル人により鉄砲などと共に伝えられました。その後、風月堂がビスケット作りに成功し、日本で最初に販売を始めました。当時は「乾蒸餅」というネーミングでした。

クッキーという名前が広まったのは、1927年に泉屋が京都で販売を始めてからだと言われています。始めは貿易商だった創業者夫婦がアメリカ人宣教師の妻にクッキーの作り方を習い、その後日本人好みの味に改良して完成させました。

ビスケットとクッキーの発祥地は?

海外から伝えられたビスケットとクッキーですが、それぞれの発祥地について解説します。

\次のページで「ビスケットはイギリス発祥」を解説!/

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