この記事ではオマージュとパクリの違いについてみていきます。音楽や絵画といった芸術関係でよく聞く言葉ですが、どちらも元になる作品を利用するというイメージがあるよな。

その所為かハッキリとした境界線が分かりずらく、ニュースなどで取り上げられた際には混同する人もいるようです。

この記事では2つの違いを言葉の意味や類語などを確認しつつ、少女向け小説家兼ライターのさらささらと一緒に勉強していきます。

ライター/さらささら

少女向け小説家兼ライター。趣味は神社や名所巡り。お話のネタ探しのために様々な雑学を調べています。

「オマージュ」と「パクリ」では創作する側の考え方や対応が違う!

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皆さんもSNSなどの情報で「あの人気漫画に似ている!」「この広告に見覚えがある」といった話題を聞かれているかと思います。そのような場面で使われるのが「オマージュ」や「パクリ」ではないでしょうか。

そこで次の項目からは、例文を交えながら「オマージュ」と「パクリ」それぞれの言葉について説明したいと思います。

「オマージュ」と「パクリ」はどちらも見本となる作品から着想

絵を描いたりピアノを弾く時、多くの人が何かをお手本に使用しながら学習します。例えばデッサン集を見ながら絵の練習をしたり、ピアニストの演奏を聴いて技術を学んだりなどがそうです。

それでは「オマージュ」と「パクリ」に目を向けてみます。どちらも見本となる作品から着想を得ていますが、だとしたら、これらの違いは一体なんでしょう。

「オマージュ」:フランス語で「敬意」「賞賛」

「オマージュ(hommage)」とは、フランス語で「尊敬」や「賞賛」を意味しています。芸術や文学などで尊敬する作家(作品)に影響を受け、似たような作品を創作する行為を指す言葉なのです。

ちなみに日本語で使う場合「この作品は〇〇のオマージュだ」ですが、フランス語の意味そのままだと「この作品は〇〇の尊敬だ」で違った表現になってしまいます。そのため日本語の意味として「この作品は(尊敬する)〇〇から影響を受けた」がしっくりくるかもしれません。

「パクリ」:「窃盗(盗む)」から転じた言葉

「パクリ」は「大きな口で“ぱくり”と食べる」説や、「窃盗(盗む)」の意味が転じた言葉と言われています。"盗む"が語源とされているため、決して良い言葉ではありません。例えば、人の物を盗った相手に「パクっただろう」と使うこともありますね。

つまり「パクリ」とは、元となった作品があるにもかかわらずあたかも自分の創作であると発言する(詐称・盗作)行為に用いられます。

「オマージュ」と「パクリ」の境界線

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ここまで大ざっぱではありますが、「オマージュ」と違って「パクリ」にはあまり良いイメージがないことが理解できたのではないでしょうか。次からはさらに具体例をあげながら、今度は「オマージュ」と「パクリ」の境界線を解説したいと思います。

\次のページで「「オマージュ」は元の作品に捧げる愛」を解説!/

「オマージュ」は元の作品に捧げる愛

例えば、古い映画Aに感動した新人監督が、鑑賞者の中でも一部の人間が分かるようAの要素を含んだ映画Bを公開したとします。BはAの影響を受けてはいるものの、実際に映画Bを鑑賞してみると新人監督のアイディアにより新しいもしくは別の作品になっていました。つまりはこれが「オマージュ」です。

もっとも分かりやすい例をあげれば、人気漫画『北斗の拳』は海外のアクション映画『マッドマックス』のオマージュ作品として知られています。その『北斗の拳』が国内だけではなく、今では海外作品にも影響を与えているのは面白いですね。

「パクリ」はバレると困る悪意?

オマージュの項目で「Aだと分かるような要素を含んだB」と説明しましたが、それでは同じように「元となる作品の一部」を利用したパクリとはどんな行為なのでしょうか。

ここで思い出してほしいのが、オマージュが持つフランス語の意味「尊敬」や「賞賛」です。一方、前述したようパクリには「窃盗」の意味があるうえ、Aのアイディアを自作と偽るCの行為は「尊敬」とはかなり違ってしまいますね。

著作権など法的にはどうなるの? 

ほとんどの創作物は「著作権法」で守られています。「著作権」に関しては以下の引用を参考にしてください。

≪著作権とは≫
著作権は著作物を保護するための権利です。
著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいいます。

(出典:JPAA日本弁理士会,https://www.jpaa.or.jp/intellectual-property/copyright)

次からは簡単ですが、「パクリ」を発見した元作品側が裁判を起こし判決が下されるまでの流れを解説します。

周囲などの指摘により作品Cが元作品Aを「パクって」いることが発覚。Aの作者や制作側が、Cにより自分たちが不利益を被った(著作権侵害)と訴え裁判を起こすことに。

Aの関係者は「Aは実在し、自分たちの著作物である」ことを証明し、パクったCとの類似性などを集め、これらを証拠資料として裁判所に提出します。こうして訴えたAは被害者、Cは加害者(侵害者)になりました。

審議が進みパクリ行為(著作権侵害)が立証され判決が下ると、AはCに対して以下のような請求ができるようになります。

\次のページで「「オマージュ」と似た意味の言葉」を解説!/

1.「差し止め請求」:作品Cの公開および回収をするなど、著作権侵害の行為を辞めるよう請求が可能。
2.「損害賠償請求」:Cの著作権侵害によりAが損害を受けた場合、Cに対し損害賠償請求が可能。
3.「名誉回復処置の要求」:Cの著作権侵害によりAの名誉が侵害された場合、Cに対し謝罪広告や訂正文などの名誉回復処置が求められる。

実は、著作権侵害の罰則は「10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金刑」とかなり重いものなのです。他にもC側は、高額な裁判費用や社会的制裁などさまざまなペナルティーを負うことになるでしょう。

大きな事件として東京五輪エンブレム問題が記憶に新しいかと思います。こうしたアートやデザインなどに関して、実際に境界線を判断するのは専門家でも難しい場合があるようです。

また最近は、Twitterなどで他人のツイートや写真を自分の物のように投稿する「パクツイ」も著作権侵害の対象であると騒がれていますね。その背景には、ブログやインスタでもパクリ行為が横行しているからなのだとか。

盗用する理由として「人気があるから」など、オリジナルが持つ魅力に触れたい気持ちがあるのかもしれません。ですが、安易に人の表現を盗む行為がダメな理由は、ここまで読んだ皆さんならお分かりになりますね。

「オマージュ」と似た意味の言葉

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オマージュに類似した言葉はいろいろとあります。おそらく皆さんもメディアなどの情報でいくつか耳にしているかもしれません。こちらではよく使うけれど判別が難しい、そんなオマージュと似た代表的な言葉をご紹介いたします。

1.「インスパイア」:英語で「inspire」は「(思想などを)吹き込む」という意味を持つ動詞で、日本語化された意味では「(元となる作品に)感銘を受けて制作された作品」。ちなみに名詞形の「インスピレーション(inspiration)」は「ひらめき」や「思いつき」です。
2.「リスペクト」:英語で「respect」は主に「尊敬する」「賞賛する」などを意味し、フランス語の「オマージュ」と同じ使い方をします。ちなみに名詞形の「インスピレーション(inspiration)」は「ひらめき」や「思いつき」です。
3.「パロディ」:英語で「parody」は、既成の作品をユーモアや風刺などを加えて作り変えた技法。ギリシア語で真似歌を意味する「paroidia(Παρωδία)」を語源とした美術用語です。有名芸能人のものまねや新聞の風刺画、誇張されたギャグなどがあげられます。

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「パクリ」と似た意味の言葉

模倣、真似、盗作など、私たちが使う「パクリ」にはさまざまな言葉の意味が包含されています。本来の使い方とは微妙に違う言葉もあるようですが、時代の変化とともに意味が変わってしまったようです。

またメディアの発展によりパクリの手段も多様化し、結果として造語の数もそれに呼応するよう増えてしまいました。

1.「コピー」:コピーは日本語で「謄写(とうしゃ)」。「書き写す」という意味の言葉で、謄写版や複写機(コピー機)を使った印刷も含みます。偽ブランド品などはコピー商品とも呼ばれていますね。
2.「トレース(トレス)」:トレースは日本語で「透写(とうしゃ)」。「透き写しにする」と言う意味の言葉で、上に紙などを乗せて下絵をなぞる行為です。元は薄い紙(トレーシングペーパ)を使って図面を書く製図などの技法で知られています。
3.「トレパク」:トレースでパクっているの略語です。他者のイラストや写真などをトレースし、自分の作品もしく自分が考えたと偽った行為に使われます。
※これら3つの言葉は混合されたり、同じ意味で使われることが多いようです。

「オマージュ」は影響を受けた作品、「パクリ」はアイディア無き盗作

ここまでオマージュとパクリの違いについて解説してきました。違いは元作品から影響を受けたのがオマージュ、独自の見解を加えない模倣や盗作をパクリと呼ぶようです。また、そこには作者(クリエイター)や作品に対する敬意の有無も忘れてはいけません。

創作は作者が時間をかけて蓄積した知識や経験の結晶です。他人のアイディアを簡単に流用し作り上げるものではありません。「生みの苦しみ」という言葉もあるほど大変な作業ですが、世界に一つしかないあなただけの作品を作り上げてください。

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言葉雑学

3分でわかるオマージュとパクリの違い!創作をする際に大切なルールを小説家兼ライターが丁寧にわかりやすく解説!

この記事ではオマージュとパクリの違いについてみていきます。音楽や絵画といった芸術関係でよく聞く言葉ですが、どちらも元になる作品を利用するというイメージがあるよな。

その所為かハッキリとした境界線が分かりずらく、ニュースなどで取り上げられた際には混同する人もいるようです。

この記事では2つの違いを言葉の意味や類語などを確認しつつ、少女向け小説家兼ライターのさらささらと一緒に勉強していきます。

ライター/さらささら

少女向け小説家兼ライター。趣味は神社や名所巡り。お話のネタ探しのために様々な雑学を調べています。

「オマージュ」と「パクリ」では創作する側の考え方や対応が違う!

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皆さんもSNSなどの情報で「あの人気漫画に似ている!」「この広告に見覚えがある」といった話題を聞かれているかと思います。そのような場面で使われるのが「オマージュ」や「パクリ」ではないでしょうか。

そこで次の項目からは、例文を交えながら「オマージュ」と「パクリ」それぞれの言葉について説明したいと思います。

「オマージュ」と「パクリ」はどちらも見本となる作品から着想

絵を描いたりピアノを弾く時、多くの人が何かをお手本に使用しながら学習します。例えばデッサン集を見ながら絵の練習をしたり、ピアニストの演奏を聴いて技術を学んだりなどがそうです。

それでは「オマージュ」と「パクリ」に目を向けてみます。どちらも見本となる作品から着想を得ていますが、だとしたら、これらの違いは一体なんでしょう。

「オマージュ」:フランス語で「敬意」「賞賛」

「オマージュ(hommage)」とは、フランス語で「尊敬」や「賞賛」を意味しています。芸術や文学などで尊敬する作家(作品)に影響を受け、似たような作品を創作する行為を指す言葉なのです。

ちなみに日本語で使う場合「この作品は〇〇のオマージュだ」ですが、フランス語の意味そのままだと「この作品は〇〇の尊敬だ」で違った表現になってしまいます。そのため日本語の意味として「この作品は(尊敬する)〇〇から影響を受けた」がしっくりくるかもしれません。

「パクリ」:「窃盗(盗む)」から転じた言葉

「パクリ」は「大きな口で“ぱくり”と食べる」説や、「窃盗(盗む)」の意味が転じた言葉と言われています。”盗む”が語源とされているため、決して良い言葉ではありません。例えば、人の物を盗った相手に「パクっただろう」と使うこともありますね。

つまり「パクリ」とは、元となった作品があるにもかかわらずあたかも自分の創作であると発言する(詐称・盗作)行為に用いられます。

「オマージュ」と「パクリ」の境界線

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ここまで大ざっぱではありますが、「オマージュ」と違って「パクリ」にはあまり良いイメージがないことが理解できたのではないでしょうか。次からはさらに具体例をあげながら、今度は「オマージュ」と「パクリ」の境界線を解説したいと思います。

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