今回は「専門学校と大学の違い」についてです。高校卒業後の進路について悩むことは誰にでもあるでしょう。
どちらも、高校卒業後の進学先というイメージがあるよな。ですが実際にどのような点が違うのかはっきり理解できているでしょうか?
今回「専門学校と大学は何が違うの?」といった疑問から、金銭面や入学までの流れ、医療系の学校も含めて進学先に悩んでいる人への回答を医療系の大学に通った「けい」と一緒に解説していきます。

ライター/けい

医療系大学出身のライター。家族には専門学生や短大卒の人がいて、いろんな学校生活のスタイルを知っている。

専門学校と大学の違いって?

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早速、専門学校と大学の違いについて解説していきます。また今回、専門学校と大学は高校までの授業と何が違うのかも合わせて紹介していきますね。

専門学校って何するところ?

専門学校について、文部科学省では以下のように提唱しています。

「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図る」ことを目的とする学校

(引用元;文部科学省)

目指す職業に必要な知識やスキルを身に付けることに特化した学校となります。大学では1・2年生で「基礎科目」を履修しますが、専門学校は1年生から専門の授業を履修していくことになるため、「早くから専門の勉強がしたい」「早く働きたい」という人にオススメです。また、実習期間が多く設けられていることで、自身が仕事をしているイメージがしやすくなるでしょう。

また、学校によっては複数の資格を取ることもでき、自分の能力をより高めることができますね。

大学は何をするところ?

続いては、大学についてみていきましょう。文部科学省では以下の通り。

大学の目的(教育研究活動を行うに当たっての基本的な方針,達成しようとしている基本的な成果等)が明確に定められており,その内容が,学校教育法に規定された,大学一般に求められる目的に適合するものであること。

【学校教育法】大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させること

(引用元;文部科学省)

大学とは「研究する」ことが前提としてあります。専門的な授業はもちろん履修しますが、履修した内容を更に自分なりに深めていく作業が必要です。卒業前には必ず「卒業論文」を各自で作成する必要があり、自分の研究結果として残さなければなりません。

また、大学卒業後には大学院に進学し、更に自分の興味のある分野を研究することで、研究者を目指すことも可能です。

高校までと何が違うの?

ここまで読んでもイメージが湧きにくいかもしれませんので、小学校~高校までの授業と何が違うのかをみていきましょう。小学校~高校までは国・数・理・社・英の5教科を中心に、加えて音楽や美術、体育などの芸術関係の授業がバランスよく組み込まれています。一方で、専門学校や大学は専攻した学科に応じて必要な授業を中心に構成されているのです(医療系ならば解剖学や生理学、工業系ならば電磁気学など)。

そのため、勉強内容がより専門的な内容になってくるといえるでしょう。また、授業時間について専門学校や大学は90分であり、高校と比べても長くなっています。

専門学校では「自分(の将来就く仕事)に必要なスキルを身に付ける」、大学では「自分の好きな・興味のある分野をきわめる」といった点が異なります。そのため、専門学校のスケジュールは1年生からびっしりと授業が入っているのに対し、大学では自由に使える時間が多めに設けられていますよ。同じ分野の学校でも、授業のスケジュールが専門学校と大学では異なっていますので、まずは専門学校と大学の「時間割」をリサーチしてみてはいかがでしょうか。

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専門学校と大学それぞれを選んだ時のメリット・デメリット

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では、専門学校と大学のそれぞれを選んだ時のメリット・デメリットについて紹介していきたいと思います。

専門学校を選ぶメリット

まずは専門学校を選んだ時のメリットです。

・目指す仕事に最短ルートを進むことができる

・就職へのルートが強い

・私立大学と比べて学費が安い

専門学校は就きたい職業を目指すための専用の学校ですので、効率的に勉強を行えるようになっています。知識はもちろんですが、実習期間も多くとられており「身体で覚える」ことが可能です。実際の仕事では企業側からすれば「働ける・戦力になる」ことが求められるため、そのスキルを養える点は非常に魅力的と言えるでしょう。

また、「指導者が第一線で活躍してきた人が多いからこそ就職にも強い」ことや「大学と比べて修業年数が短く学費が安い」という点はメリットといえるでしょう。

専門学校を選ぶデメリット

今度は専門学校を通うデメリットです。

・時間の余裕が少ない

・卒業後に得られるのは「学位」ではなく「称号」である

・専門性が高いため、就職先の選択肢が狭まってしまう

「効率的に勉強ができる」と解釈できる一方で、毎日授業がビッシリと詰め込まれているため大学と比べて時間的な余裕は少ないです。「夢のキャンパスライフ」を考える人には専門学校への進学はオススメできません。また、大学卒業では学位として「学士」が得られますが、専門学校卒業では「専門士」という称号という扱いですので、学位を取得することができないのです。

更には専門的な勉強をみっちり行っていくため、就職先もその分野のみのことが多いでしょう。

大学を選ぶメリット

続いて大学を選んだ時のメリットをみていきます。

・時間的な余裕がある

・施設、設備が充実している

・初任給が専門卒よりも良い

まず時間の余裕(空き時間)は専門学校と比べて圧倒的です。授業を自分で組み立てることができるため、状況によっては平日休みを作ることも可能でしょう。加えて夏休み等の長期休暇は専門学校と比べて圧倒的に長い点も魅力です。

施設内は生徒数も多いため広く充実しており、スポーツにも力を入れている学校ではジムを完備しているところもあります給与面においては「大卒」という肩書が専門卒と比べてやや高くなる傾向にあるようです。

\次のページで「大学を選ぶデメリット」を解説!/

大学を選ぶデメリット

今度は大学選ぶデメリットをみていきましょう。

・自主性が大きく問われる

・私立大学では学費が高い

・就職活動が専門学校と比べて大変

自分で履修する授業を選ぶということは「計画性」が必要です。大学在学中(多くは3年生から)には就職活動をする必要があるため、1・2年生のうちに卒業に必要な単位数を取得しておくといったことを考えなくてはなりません。また、私立大学の学費は専門学校と比べて高い点もデメリットと言えるでしょう。

就職先についてはメーカーや商社、サービス業などと言った幅広い選択肢がある一方で、不景気なときには就職先が見つからない場合があります

学校入学までに把握しておきたいこと

ここでは一般的な専門学校への入学と大学入学までの流れについて紹介していきます。

入試に向けて準備することは?

勉強することはもちろんですが、勉強面以外に何をするべきかを順に列挙していきます。

・進学先を考える

・受験する学校を決める

・受験する学校の試験内容を確認する

自分の進学先について考える上で、「どのような分野の職業に就きたいのか」「そもそも社会にはどのような仕事があるのか」を把握することが必要です。同じ分野の学校でも学校によって授業の内容や雰囲気は違いますので、各学校の特色を掴んでおきましょう。進学したい分野が決まったら、学校までの距離や金銭面などを考慮しながら進学先を絞っていきます。

最後に、受験する学校の試験日や試験内容についてきちんと確認しておきましょう。受験日が重なることや受験日が過ぎてしまったということのないよう早めの準備がオススメです。

入試の方式は?

専門学校の入試は総合型選抜試験(旧AO入試)、学力型推薦抜試験(旧推薦入試)、一般入試の3つで、大学入試の方式は総合型選抜試験(旧AO入試)、学力型推薦抜試験(旧推薦入試)、センター試験、一般入試の4つとなります。募集時期は学校によってまちまちですが、総合型選抜試験が一番早く実施され、夏ごろから募集する学校が多い状況です。

また一般入試の場合、選択できる科目が学校や学科によって異なりますので、事前に把握しておきましょう。

入試はどちらが簡単?

入試の難易度としては、大学よりも専門学校の方が易しいと言えるでしょう。ただし、医療系などの専門学校については卒業後に国家試験を受ける必要があり、学校によっては大学よりもレベルが高い場合があります。大学入試に関しては過去問を入手することで対策することが可能です。

また、入試の難易度を下げるために担任の先生や志望校に通っている先輩などから入試内容について情報をリサーチしておくことも良い方法でしょう

学費はどう違う?

専門学校の学費は平均約120万円(120万円×修業年数)です。大学は国立と私立で異なり、国立では約91万円(91万×4年or6年)私立では平均130万円(130万円×4年or6年)となります。

ここに挙げたそれぞれの学費は文系と理系、医療系すべての平均であり、文系であればこの平均額よりもやや下回る一方で、医療系であれば上回っています(私立大学で医療系学部の年間納付額は280万円ほど)。国立大学では国で学費が定められているため、文系・理系、医療系問わず一定額です。学校によって学費は異なりますので、志望校の学費についてはきちんと把握しておくことが良いでしょう。

\次のページで「看護師などの医療系の学校は?」を解説!/

看護師などの医療系の学校は?

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看護師をはじめとした医療系の学校は一部異なりますので、紹介していきます。

医療系の学校に進学する場合、専門学校と大学どちらが良い?

結論から言うと人によって異なります。医療系の専門学校は「3年制」で、大学は4年間通う必要があります。「少しでも早く仕事に就きたい」という人は専門学校が良いでしょう。

医療系の学校では専門学校・大学関係なく「実習期間」というものがあり、実際に病院や施設に出て患者さんと接して評価や訓練などを行います。実習期間は数週~数か月と長く、大学であれば実習の準備も含めて、ある程度余裕を持って取り組むことができるでしょう。

働き始めるときに違いはある?

仕事内容は専門学校卒と大学卒で違いはありませんが、給与面は話が変わってきます。すべての就職先ではありませんが、就職先によっては専門学校卒と大卒で初任給や昇給に差がある(大卒の方が専門卒よりも高い)職場もあるのです。仕事内容は卒業校などは関係なく、平等に同じ仕事内容のため、給料を考えるのであれば大卒の方が良いでしょう。

医療系の就職活動はどのように行っている?

看護だけでなく医療系の就職活動は、ほとんどが最終学年に行います。理由としては、カリキュラム上どうしても必修科目の履修が最終学年までかかってしまうことと、企業(病院・施設)側も卒業見込みの学生を対象としており、早期からの募集は行っていないことが挙げられます。そのため、就職活動は一般企業よりも易しいでしょう。

進学先へ迷っている人へ

高校卒業後の進路に悩んでいる人向けに、いくつか案を出してみたのでひとつの参考にしてみてください。

将来就きたい仕事が見つかっていない…

将来像が見えていない人は数多くいることでしょう。そのような人は専門的な学校よりも文系の大学が良いかもしれません。大学生は時間がありますので、アルバイトを行ったり、自分の興味などを広げる活動を始めてみるなど、卒業後の進路を決めるための要素を見つけてみると良いでしょう。

学費が心配です…

その場合は奨学金の利用をオススメします。日本学生支援機構では給付型と貸与型の2種類があり、給付型はその資金を給付してもらえるため、将来返済する必要はありません。一方で、貸与型は就職後に返済する必要があります。

また、貸与型には無利子である「第一種奨学金」と有利子である「第二種奨学金」に分けられますので、奨学金の利用を考える人は確認してみると良いでしょう。その他、看護系の学校であれば看護協会からの支援などもありますので、看護系の学校を希望するのであれば、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

「借りることに抵抗がある」人は、一度就職をして資金を貯めるという選択肢もありますよ。

進学先で進路変更したい場合はどうするべき?

基本的には進学した学校を卒業してから進路変更することをオススメします。専門学校→大学であった場合は、専門学校で様々な資格を得られますし、大学→専門学校の場合は大学で「学士」という学位が得られるからです。また、学生だけでなく、社会人になった後でも就きたい職業が出てくる可能性もあります。

やってみたい職業が見つかるタイミングは人それぞれですし、その都度変わるかもしれません。まずは通っている学校で取得できる資格や学位を取得しつつ、余裕を持って考えていくと良いと思います。

結局、就職するにあたって専門学校と大学どちらが良いの?

結論としては目指す職業によります。資格が不要な職業であれば、大学卒の方が「新卒」ということで就職しやすいですし、専門職を目指すのであれば、実力を培う専門学校の方が良いでしょう。ただし、医療職は職場によっては学歴で給料に差が出る可能性がありますので、個人的には大学をオススメします

進学先を決めるとき「人生は長い」ことを考慮して!

今回は「専門学校と大学の違い」について、それぞれの学校の目的の違いやメリット・デメリット、金銭面などについて解説しました。進学先を決めることは人生の大事な一部分ではありますが、人生すべてを決めるわけではありません。就職して、社会を見ることで自分がやりたい仕事が出てくる場合もあります。

進学した学校が専門分野だから一生その職業につかなければいけないというルールもありませんので、まずは「この分野について学んでいきたい」という純粋な気持ちから考えていけばよいのではないでしょうか。

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学問雑学

専門学校と大学の違いとは?費用や入学までの流れなど医療系学校も含めて医療系学校出身ライターがわかりやすく解説

専門学校と大学それぞれを選んだ時のメリット・デメリット

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では、専門学校と大学のそれぞれを選んだ時のメリット・デメリットについて紹介していきたいと思います。

専門学校を選ぶメリット

まずは専門学校を選んだ時のメリットです。

・目指す仕事に最短ルートを進むことができる

・就職へのルートが強い

・私立大学と比べて学費が安い

専門学校は就きたい職業を目指すための専用の学校ですので、効率的に勉強を行えるようになっています。知識はもちろんですが、実習期間も多くとられており「身体で覚える」ことが可能です。実際の仕事では企業側からすれば「働ける・戦力になる」ことが求められるため、そのスキルを養える点は非常に魅力的と言えるでしょう。

また、「指導者が第一線で活躍してきた人が多いからこそ就職にも強い」ことや「大学と比べて修業年数が短く学費が安い」という点はメリットといえるでしょう。

専門学校を選ぶデメリット

今度は専門学校を通うデメリットです。

・時間の余裕が少ない

・卒業後に得られるのは「学位」ではなく「称号」である

・専門性が高いため、就職先の選択肢が狭まってしまう

「効率的に勉強ができる」と解釈できる一方で、毎日授業がビッシリと詰め込まれているため大学と比べて時間的な余裕は少ないです。「夢のキャンパスライフ」を考える人には専門学校への進学はオススメできません。また、大学卒業では学位として「学士」が得られますが、専門学校卒業では「専門士」という称号という扱いですので、学位を取得することができないのです。

更には専門的な勉強をみっちり行っていくため、就職先もその分野のみのことが多いでしょう。

大学を選ぶメリット

続いて大学を選んだ時のメリットをみていきます。

・時間的な余裕がある

・施設、設備が充実している

・初任給が専門卒よりも良い

まず時間の余裕(空き時間)は専門学校と比べて圧倒的です。授業を自分で組み立てることができるため、状況によっては平日休みを作ることも可能でしょう。加えて夏休み等の長期休暇は専門学校と比べて圧倒的に長い点も魅力です。

施設内は生徒数も多いため広く充実しており、スポーツにも力を入れている学校ではジムを完備しているところもあります給与面においては「大卒」という肩書が専門卒と比べてやや高くなる傾向にあるようです。

\次のページで「大学を選ぶデメリット」を解説!/

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