今回は「大潮と小潮」について解説していきます。

海には潮の満ち引きがありますが、その規模や状態を表す言葉が大潮と小潮です。島国である日本では、これらの概念は古い時代から人々に根付いてきたものであると言えるでしょう。今回は、地学や物理学の視点で大潮と小潮についての解説を進めていきます。また、漁業やレジャーと大潮・小潮の関係についても考えるぞ。ぜひ、この機会に大潮と小潮について理解を深めてくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

潮の満ち引きについての基礎知識を確認しよう!

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今回の記事は『大潮』と『小潮』がメインテーマです。これらの用語は、地学用語の中でも海に関連の深いものになりますよ。実際、大潮や小潮についての理論は漁業を営む人々の間で活用されています。また、近年では再生可能エネルギーとして注目される潮力発電の設計でも、大潮や小潮の理論が用いられていますよ。

大潮と小潮について理解するためには、潮の満ち引きについての基礎的な知識が必要不可欠となります。そこで、記事の前半部分では、潮の満ち引きのメカニズムや周期について簡潔に説明することにしました。ですが、基礎知識と言えども、専門的な用語が多数登場します。見慣れない言葉を見つけたときは、必ずその意味を確認するようにしてくださいね。それでは、早速解説をはじめていきます。

潮の満ち引きとは?

潮の満ち引きという現象は、実は私たちにとって身近な存在になっています。『海で遊んでいたら、つい先ほどまで砂浜だった場所が、いつの間にか海水の中に沈んでいた。』という経験をされた方はおられるでしょうか?この現象がまさに潮の満ち引きなのです。

また、厳島神社の鳥居は海の上にありますが、時間帯によっては鳥居がある場所まで歩いて行くことができます。この事象も潮の満ち引きが深く関わっていますよ。以上のような体験ができるのは、海の水位が常に上がったり、下がったりしているからです。このような海水面の昇降のことを、『潮の満ち引き』と呼んでいますよ。潮の満ち引きは『潮汐』という言葉表現されることもあります。

潮の満ち引きのメカニズム

潮の満ち引きのメカニズムは、起潮力(潮汐力)という力を用いて説明することができます。起潮力は、月や太陽の引力と地球上の遠心力などが複合的に作用することで生じる力学的な力ですよ起潮力は地球を両側に引っ張るような力になることが知られています

地球の表面を覆う海水は質量のある流体なので、起潮力の影響を受けますよ。起潮力によって、地球上では海水が集まる場所と海水が減ってしまう場所があらわれます。このとき、海水が集まる場所では満潮になり、海水が減る場所では干潮になるのです

また、月や太陽の位置は常に変化するので、起潮力の大きさや向きも常に変化します。それゆえ、地球上で満潮または干潮になる場所も変化するのです。以上が潮の干満のメカニズムとなりますよ。

\次のページで「潮の満ち引きの周期」を解説!/

潮の満ち引きの周期

潮の満ち引きの周期は約12時間で、満潮・干潮はそれぞれ一日2回発生します。稀に、周期のずれによって、満潮または干潮が一日に1回となることもありますよ。このような周期になる理由は、地球の自転の概念を用いて説明することができます

地球上において、満潮になるのは月や太陽との距離が最大または最小になる地点です。地球は自転しているので、同じ地点において太陽や月との距離が最小になるタイミングは毎日あります。太陽や月との距離が最長になるタイミングも同様であり、こちらも毎日ありますよね。

このとこから、満潮は一日で2回発生することがわかります。干潮が一日で2回発生することも全く同じように説明できますよ。以上が、潮の満ち引きの周期についての説明となります。

\次のページで「大潮と小潮について詳しく解説!」を解説!/

大潮と小潮について詳しく解説!

大潮と小潮について詳しく解説!

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ここからは、本題である大潮と小潮について詳しく学んでいきましょう。具体的には、大潮や小潮がどのような現象で、どのような条件で発生するのかということを解説していきます。また、これらの現象が海洋生物などに与える影響についても考察しますよ

そして、大潮や小潮について学ぶ際に重要となる『潮回り』という概念についても解説しますよ。潮回りについて知ることで、大潮や小潮についての理解も深めることもできますよ。さらに、潮回りについて学ぶことで、潮の満ち引きの過程を専門用語を用いて説明できるようになるでしょう。ぜひ、最後まで記事を読んでみてくださいね。

大潮とは?

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大潮は、干潮時と満潮時の潮位の差が最も大きくなる日のことを指します大潮の日には、干潮の原因となる起潮力の大きさが最大となりますよ。このとき、太陽・月・地球の3つがほぼ一直線上に乗ることがわかっています。つまり、新月と満月の頃に、大潮となるのです。大潮の前後では、海水の移動量が多くなります。これは潮位の差が大きいことから説明できますよ。

海水の移動量が多くなる大潮の日には、プランクトンの量が増えるため、魚の活動が活発的になります。このような理由で、大潮の日には魚がよく釣れるようになると言われているのです。実際、大潮の日には良い釣果を求めた釣り人が海に集まりますよ。

大潮の日に盛り上がるレジャーもあります。それは潮干狩りです。大潮の日には浅瀬の底が長い間姿をあらわすので、潮干狩りを存分に楽しめるのですね。また、鳴門海峡の渦潮も大潮の日に見るのが最も迫力があると言われていますよ。

小潮とは?

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小潮は、干潮時と満潮時の潮位差が最も小さくなる日のことを指します小潮の日には起潮力の大きさは最小になりますよ。すべての条件が大潮の真逆になっていますね。小潮が近くなると、太陽と地球を結ぶ線と月と地球を結ぶ線が直角に交わるようになります。つまり、半月(上弦の月・下弦の月)の頃に、小潮になるのですね

大潮のときとは異なり、小潮の日には海水の移動量が小さくなり、海は比較的穏やかになります。そのため、安全にシュノーケリングなどのマリンスポーツをするには、小潮の日を選ぶと良いとされていますよ

\次のページで「潮回りとは?」を解説!/

潮回りとは?

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最後に、潮回りについて説明します。潮回りの概念は、今回の記事のキーワードである『大潮』および『小潮』に深い関わりのある用語です。潮回りとは、潮の満ち引きにおける潮位差の変化のことを指します。潮回りの状態は5つに分類され、それぞれ大潮中潮小潮長潮若潮と表現されますよ。

大潮と小潮は先ほど説明した通りです。また、中潮は大潮と小潮の丁度真ん中くらいの時期のことを指します小潮が終わり、大潮へと近づいていくタイミングのことを長潮・若潮の順で表すこともありますよ。これらの用語は漁業に従事する人々の間で頻繁に使われています。

大潮と小潮について学ぶ意義

この記事では、潮の満ち引きの基礎知識の解説からはじめて、大潮と小潮について説明をしました。最後には、潮回りについても述べましたよね。また、漁釣りやマリンスポーツを楽しむ際にも、これらの概念が役に立つことを述べました。

島国である日本では、大潮や小潮などの考え方は人々の生活の中に自然と根付いているものですが、学問的な視点で考察する機会は多くはありません。ぜひ、この機会に大潮と小潮について深く学んでみてください。

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3分で簡単大潮と小潮!そのメカニズムは?漁業との関係とは?理系学生ライターが徹底わかりやすく解説!

今回は「大潮と小潮」について解説していきます。

海には潮の満ち引きがありますが、その規模や状態を表す言葉が大潮と小潮です。島国である日本では、これらの概念は古い時代から人々に根付いてきたものであると言えるでしょう。今回は、地学や物理学の視点で大潮と小潮についての解説を進めていきます。また、漁業やレジャーと大潮・小潮の関係についても考えるぞ。ぜひ、この機会に大潮と小潮について理解を深めてくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

潮の満ち引きについての基礎知識を確認しよう!

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今回の記事は『大潮』と『小潮』がメインテーマです。これらの用語は、地学用語の中でも海に関連の深いものになりますよ。実際、大潮や小潮についての理論は漁業を営む人々の間で活用されています。また、近年では再生可能エネルギーとして注目される潮力発電の設計でも、大潮や小潮の理論が用いられていますよ。

大潮と小潮について理解するためには、潮の満ち引きについての基礎的な知識が必要不可欠となります。そこで、記事の前半部分では、潮の満ち引きのメカニズムや周期について簡潔に説明することにしました。ですが、基礎知識と言えども、専門的な用語が多数登場します。見慣れない言葉を見つけたときは、必ずその意味を確認するようにしてくださいね。それでは、早速解説をはじめていきます。

潮の満ち引きとは?

潮の満ち引きという現象は、実は私たちにとって身近な存在になっています。『海で遊んでいたら、つい先ほどまで砂浜だった場所が、いつの間にか海水の中に沈んでいた。』という経験をされた方はおられるでしょうか?この現象がまさに潮の満ち引きなのです。

また、厳島神社の鳥居は海の上にありますが、時間帯によっては鳥居がある場所まで歩いて行くことができます。この事象も潮の満ち引きが深く関わっていますよ。以上のような体験ができるのは、海の水位が常に上がったり、下がったりしているからです。このような海水面の昇降のことを、『潮の満ち引き』と呼んでいますよ。潮の満ち引きは『潮汐』という言葉表現されることもあります。

潮の満ち引きのメカニズム

潮の満ち引きのメカニズムは、起潮力(潮汐力)という力を用いて説明することができます。起潮力は、月や太陽の引力と地球上の遠心力などが複合的に作用することで生じる力学的な力ですよ起潮力は地球を両側に引っ張るような力になることが知られています

地球の表面を覆う海水は質量のある流体なので、起潮力の影響を受けますよ。起潮力によって、地球上では海水が集まる場所と海水が減ってしまう場所があらわれます。このとき、海水が集まる場所では満潮になり、海水が減る場所では干潮になるのです

また、月や太陽の位置は常に変化するので、起潮力の大きさや向きも常に変化します。それゆえ、地球上で満潮または干潮になる場所も変化するのです。以上が潮の干満のメカニズムとなりますよ。

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