この記事では「親思う心にまさる親心」について解説する。

端的に言えば「親思う心にまさる親心の意味は「子どもが親を思う気持ち以上に、親の子どもを思う気持ちが深い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「親思う心にまさる親心」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「親思う心にまさる親心」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは「親思う心にまさる親心」という言葉をご存じですか?普段の生活ではなかなか使われることのない言葉なので、意味を知らない人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな「親思う心にまさる親心」について解説をしていきたいと思います。

それでは早速「親思う心にまさる親心」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「親思う心にまさる親心」の意味は?

「親思う心にまさる親心」には、次のような意味があります。

子が親を思う心以上に、親の子を思う心は深い。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「親思う心にまさる親心」は「おやおもうこころにまさるおやごころ」と読むことわざです。
「親思う心」は子どもが親を思う心のこと、「親心」は言葉の通り子どもを思う親の心のことを指します。このことから「親思う心にまさる親心」は、子どもが親を思う心以上に、子どもを思う親の心は深いことを意味する表現なのです。
自分をこの世に生み、そして大切に育ててくれた親を子どもが大切に思うのは当たり前のことであり、とても大切なこと。しかし、親はそうした子どもの心以上に子どもを思っています。見返りを求めずに、ただ子どもが健やかに育って生きていくことを思うはるかに深い心を表しているのですね。
また、「親思う心にまさる親心」は、子ども自身が親になってから、自分が親を思う気持ち以上に親の思いの深さがあったと気づく場合にも用いられるので覚えておきましょう。

「親思う気持ちにまさる親心」の語源は?

次に「親思う心にまさる親心」の語源を確認しておきましょう。

このことわざは、吉田松陰(よしだしょういん)の「親思ふ心にまさる親心今日のおとづれ何と聞くらん」という歌に由来します。

吉田松陰は幕末の思想家・教育者であり、松下村塾(しょうかそんじゅく)を開いたことで有名な人物です。安政の大獄で処刑されてしまいますが、その直前に故郷の両親へ送った辞世の句として広く知られています。

\次のページで「「親思う心にまさる親心」の使い方・例文」を解説!/

「親思う心にまさる親心」の使い方・例文

「親思う心にまさる親心」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

1.離れて暮らす高齢の母が心配でよく連絡を取るが、いつも自分のことよりも私を案じる。まさに、親思う心にまさる親心だ。
2.私は人一倍親思いだと思っていたが、自分に娘が生まれて初めて、親思う心にまさる親心の意味がわかった。
3.親思う心にまさる親心というように、あなたも親になればきっと親の気持ちの深さに気づくよ。

ここでは3つの例文を挙げました。一つ一つ例文を確認していきましょう。

例文1は、高齢の母親のことが心配で連絡をしても、母親は自分のことよりも娘のことばかり心配する様子を表しています。子どもも大人になれば親の身を心配するようになりますが、たとえ子どもが自立をしていたとしても親は子どもが思う気持ち以上に子どもを案じてしまうものなのです。

例文2は、自分に子どもが生まれて初めて、親が自分に対して抱いていた気持ちの深さがわかる様子を、例文3は、親の立場になればその気持ちがわかるよと諭している様子を表しています。親の慈愛の深さを示すだけでなく、子どもが実際に親になって初めて、親の愛の深さを理解できるというシーンや、教訓などとしても用いられることもあるのです。

「親思う心にまさる親心」の類義語は?違いは?

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子どもが親を思う以上に、親が子どもを思う気持ちが深いことを意味する「親思う心にまさる親心」と似た意味を持つ言葉にはどのようなものがあるのでしょうか。下記の言葉について詳しく確認していきましょう。

その1「子を持って知る親の恩」

「子を持って知る親の恩」は「こをもってしるおやのおん」と読むことわざです。自分が親になって子育ての苦労を経験して、はじめて親のありがたみを理解できるということを意味します。

親や子どもがそれぞれに向ける気持ちについては触れていない点では「親思う心にまさる親心」とは異なりますが、自分が親になって初めて親のありがたみに気づくことができるという点では、「親思う心にまさる親心」と通じるのではないでしょうか。

\次のページで「その2「親の思うほど子は思わぬ」」を解説!/

1.子どもの頃は親の小言にうんざりしていたが、息子を育てて人生で初めて、親がいかに自分に手をかけてくれていたのか実感できた。まさに子を持って知る親の恩だ。
2.子を持って知る親の恩というように、私も親の立場に立って初めてそのありがたみを知ったが、できることならそれよりももっと早くに気づくべきだった。

その2「親の思うほど子は思わぬ」

「親の思うほど子は思わぬ」の読み方は「おやのおもうほどこはおもわぬ」です。親は子どものことを常に気にかけていますが、一方の子どもは親を気にかける気持ちはそれほどでもないということを意味しています。
親が子どもを気にかけている、思っているという点は「親思う心にまさる親心」と共通です。しかし、「親思う心にまさる親心」では子ども自身も親を思っているのに対して、「親の思うほど子は思わぬ」では子どもの親を思う気持ちの程度はそれほどでもないとされています。使用する際には、このふたつの言葉のニュアンスの違いに注意しましょう。

1.親の思うほど子は思わぬというように、息子に苦労はかけまいと日々仕事に精を出す父だが、一方の息子はそれに感謝するどころか好き勝手な行動ばかりする。
2.体調を崩しがちな娘を思って毎日の生活に気を配っているが、親が体調を崩した時、娘には心配する気配すら見えない。まさに、親の思うほど子は思わぬだ。

「親思う心にまさる親心」の対義語は?

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「親思う心にまさる親心」には明確な対義語は見つかりませんでした。しかし、あえて反対の意味になりそうな言葉を挙げるなら「子の心親知らず」が考えられるのではないでしょうか。
親は子どもの真意を汲み取れない、親は子どもをいつまでも子どもだと考えてしまうが子供は子供で様々なことを考えて日々成長するものだという意味で用いられます。
「親思う心にまさる親心」とまったくの反対の意味というわけではありませんが、参考までにあわせて覚えておきましょう。

「親思う心にまさる親ごころ」を使いこなそう

この記事では「親思う心にまさる親心」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「親思う心にまさる親心」は、子どもが親を思う気持ち以上に、親の子どもを思う心は深いという意味する言葉です。自分が親になって初めて親の思いの強さに気づいく場合にも用いることができるので覚えておいてください。

このことわざは、幕末の思想家・教育者として有名な吉田松陰が残した辞世の句が由来となっています。興味のある人は、歴史に絡めて「親思う心にまさる親心」をもっと詳しく掘り下げてみるのも面白いのではないでしょうか。

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【ことわざ】「親思う心にまさる親心」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒ライターがわかりやすく解説!

この記事では「親思う心にまさる親心」について解説する。

端的に言えば「親思う心にまさる親心の意味は「子どもが親を思う気持ち以上に、親の子どもを思う気持ちが深い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「親思う心にまさる親心」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「親思う心にまさる親心」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは「親思う心にまさる親心」という言葉をご存じですか?普段の生活ではなかなか使われることのない言葉なので、意味を知らない人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな「親思う心にまさる親心」について解説をしていきたいと思います。

それでは早速「親思う心にまさる親心」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「親思う心にまさる親心」の意味は?

「親思う心にまさる親心」には、次のような意味があります。

子が親を思う心以上に、親の子を思う心は深い。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「親思う心にまさる親心」は「おやおもうこころにまさるおやごころ」と読むことわざです。
「親思う心」は子どもが親を思う心のこと、「親心」は言葉の通り子どもを思う親の心のことを指します。このことから「親思う心にまさる親心」は、子どもが親を思う心以上に、子どもを思う親の心は深いことを意味する表現なのです。
自分をこの世に生み、そして大切に育ててくれた親を子どもが大切に思うのは当たり前のことであり、とても大切なこと。しかし、親はそうした子どもの心以上に子どもを思っています。見返りを求めずに、ただ子どもが健やかに育って生きていくことを思うはるかに深い心を表しているのですね。
また、「親思う心にまさる親心」は、子ども自身が親になってから、自分が親を思う気持ち以上に親の思いの深さがあったと気づく場合にも用いられるので覚えておきましょう。

「親思う気持ちにまさる親心」の語源は?

次に「親思う心にまさる親心」の語源を確認しておきましょう。

このことわざは、吉田松陰(よしだしょういん)の「親思ふ心にまさる親心今日のおとづれ何と聞くらん」という歌に由来します。

吉田松陰は幕末の思想家・教育者であり、松下村塾(しょうかそんじゅく)を開いたことで有名な人物です。安政の大獄で処刑されてしまいますが、その直前に故郷の両親へ送った辞世の句として広く知られています。

\次のページで「「親思う心にまさる親心」の使い方・例文」を解説!/

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