腕足動物という動物群について知識があるやつは、相当の”生物通”ではないでしょうか。あまり有名とは言えない生物ですが、一部の分野では非常になじみ深い存在です。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。
ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
腕足動物とは?
腕足動物(わんそくどうぶつ)とは、動物の中の一分類群の名称です。少しかみ砕いた言葉でいえば”グループ名”でしょうか。いくつかの生物種が、腕足動物というグループでひとまとめにされています。腕足類(わんそくるい)という呼び方もよく聞きますね。
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それもそうかもしれません。正直申し上げると、腕足動物は動物の分類群の中でもマイナーというか、あまり知られていないグループなんですよね。
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腕足動物に含まれている生物のうち、現在生息しているものは数がかなり限られています。じつは、太古の昔には今よりずっと多くの種類の腕足動物がいたんです。実際、化石として腕足動物がたくさん見つかっています。化石や絶滅した生物を研究対象とする古生物学の方面では、割となじみ深い存在です。
まずは、腕足動物というのがどんな特徴をもった生物群なのかを確認しましょう。
二枚貝に似た見た目
腕足動物は2枚の殻をもつ生物です。殻の内部にからだ本体を隠しています。
はじめて腕足動物をみた人は、十中八九、それを「貝のなかまだ」と思うことでしょう。実際、腕足動物はほとんど二枚貝のような見た目をしています。
しかしながら、貝類は軟体動物という、全く別の分類群の生物。腕足動物とは似て非なる生き物です。
いえいえ、大きな違いがあります!
生物の体の基本的な構造を”体制(ボディプラン)”というのですが、その体制の時点で腕足動物と二枚貝は異なっているんです。
私たちのように、顔や手足があるわけではないので少し分かりにくいのですが…二枚貝の場合、2枚の殻は体の左右に位置しています。ところが腕足動物の殻は、体制という観点で見ると、体の背側と腹側に位置しているのです。2枚の殻を背殻、腹殻と呼びます。
ちなみに、腕足動物の背殻と腹殻は異なる形をしているんですよ。
肉茎(肉柄)
二枚貝と腕足動物を区別する大きな違いに、肉茎(肉柄)というのもあります。
多くの腕足動物は、二枚の殻の接続部分あたりから、体の一部を外に出しているのです。これを肉茎(肉柄)とよびます。これにより、腕足動物は岩に付着したり、砂泥中に潜ることができるのです。
いいえ、残念ながら違うようなんです。腕足動物の名前の由来は、殻の内部にあります。
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