この記事では「往に掛けの駄賃」について解説する。

端的に言えば「往に掛けの駄賃」の意味は「何かをするついでにちょっと他のことをする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「往に掛けの駄賃」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を生かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい説明で解説していく。

「往に掛けの駄賃」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは「往に掛けの駄賃」という言葉をご存知ですか?耳馴染みのない言葉なので、意味を知っているどころか聞いたこともないなんて人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな「往に掛けの駄賃」について詳しく解説していきたいと思います。

それでは早速「往に掛けの駄賃」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「往に掛けの駄賃」の意味は?

「往に掛けの駄賃」には、次のような意味があります。

ある事をするついでにちょっと他の事をする。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「往に掛けの駄賃」は「いにがけのだちん」と読むことわざです。「往に掛け」が行くついでのことを指すことから、「往似掛けの駄賃」はあることをするついでにちょっと他のことをする、あることをするついでにちょっとした利益を得るという意味を持ちます。

「往に掛けの駄賃」は、あくまでも「ついでにちょっとしたことをする」なので、本来の目的のみを果たす場合には用いられません。また、ちょっとしたことが本来の目的の度合いを超える場合に用いることも間違いなので覚えておきましょう。

なお、上記で紹介した使い方以外に、悪事を働いた際についでに他の悪事を働く場合にも使われます。

「往に掛けの駄賃」の語源は?

次に「往に掛けの駄賃」の語源を確認しておきましょう。

このことわざは、馬子(まご)が駄馬(だば)を引いて問屋に荷物を取りに行くついでに、他の荷物を運んで余分に運び賃を稼いだことが由来であると考えられています。

馬子とは、荷物や人を馬にのせて運搬することを職業とする人のこと。駄馬とは下等な馬、荷物を運ばせる馬のことで、ここでは荷物を運ばせる馬の意味合いで用いられています。

\次のページで「「往に掛けの駄賃」の使い方・例文」を解説!/

「往に掛けの駄賃」の使い方・例文

「往に掛けの駄賃」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.近所のおばあさんの家に回覧板を届けに行く往に掛けの駄賃に、母のお使いもこなしてお小遣いを稼いだ。
2.仕事の打ち合わせのために大井町に来た往に掛けの駄賃で、近くの営業所にあいさつをした。
3.深夜に押し入った強盗が、去り際に往にがけの駄賃とばかりに家じゅうのガラスを割っていった。

ここでは3つの例文を挙げました。それでは、ひとつひとつ意味を確認していきましょう。

例文1は、近所に届け物をするために外に出たついでに、お母さんから頼まれたお使いをこなしてお小遣いを稼ぐという例文です。このように、本来の目的のついでにちょっとした用事をこなして、お金を稼いだり利益を得たりする場合に用いられます。

例文2は、本来の目的で訪れたついでに、近くの営業所に顔を出してあいさつをしたという例文です。利益は発生していませんが、このようについでに他の事をするという場合でも用いられます。

例文3は、強盗がお金を盗りに入ったついでに家じゅうのガラスを割ったという例文です。このように、犯罪を行うついでにというマイナスな場面でも「往に掛けの駄賃」は用いられます。また、この例文が「ガラスを割った往に掛けの駄賃でお金も奪った」だと、ついでに行ったことが本来の目的を超えてしまい、誤用になってしまうので注意してください。

「往に掛けの駄賃」の類義語は?違いは?

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本来の目的をするついでにちょっとした他の事をする「往に掛けの駄賃」と似た意味を持つ言葉には何が考えられるのでしょうか。下記の言葉を確認していきましょう。

その1「一挙両得」

「一挙両得」は「いっきょりょうとく」と読む四字熟語です。「一挙」とはひとつの動作、一回の行動のこと。「両得」とは一度に二度の利益を得ることを指しています。このことから、「一挙両得」はひとつの事をしてふたつの利益を得ることを意味するのです。

「往に掛けの駄賃」は本来の目的のついでにちょっとした行動起こすですが、「一挙両得」はひとつの行動でふたつの利益を得るということを意味するので注意してください。

なお、「一挙両得」は中国の歴史書である「戦国策」に載っていた「一挙両附」が由来とされています。そして、後に登場した「普書」(じんしょ)にて今日も使われている「一挙両得」の意味に転じたと考えられているのです。

\次のページで「その2「濡れ手で粟」」を解説!/

1.毎朝のランニングは体重が減ってダイエットになるだけでなく、筋肉がついて健康効果が高まるので、まさに一挙両得だ。
2.自分でごはんを作ることで料理の知識が身につくだけでなく、食費を抑えて節約にもなる自炊は一挙両得だ。

その2「濡れ手で粟」

「濡れ手で粟」は「ぬれてであわ」と読むことわざです。

濡れ手とは文字通り濡れた手のこと、粟とは穀物のことを指します。濡れた手で粟を掴むと粟粒がたくさん手に付いてくることから、苦労せずに多くの利益をあげることのたとえとして用いられるのです。

ここでのポイントは苦労せずに多くの利益をのあげること。「往に掛けの駄賃」とは異なり、本来の目的のついでにというニュアンスは含まれません。なお、「粟」を「泡」と間違えて表記してしまうことがあるので注意しておきましょう。

1.流行に便乗して株に挑戦してみたが、いきなり成功して大金を手に入れた。まさに濡れ手で粟だ。
2.一度濡れ手に粟で多くの成果を得たとしても、そう何度もうまくいくはずがない。やはり努力を積み重ねることが大事なのだ。

「往に掛けの駄賃」の対義語は?

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「往に掛けの駄賃」には明確な対義語は見つかりませんでした。

反対の意味を持つ言葉をしいてあげるなら、同時にいくつかのものを狙って結局何も得られないことのたとえである「虻蜂取らず」や、同時にふたつのことをしようとする者はどちらの成功も得られないことのたとえである「ニ兎追う者は一兎をも得ず」が考えられるのではないでしょうか。

「往に掛けの駄賃」を使いこなそう

この記事では「往に掛けの駄賃」の意味・使い方・類語などを説明しました。

このことわざは、本来の目的のついでにちょっとした他の事をする、利益を得るという意味を持ちます。プラスアルファ行う事が本来の目的を超える場合は誤用になるので注意してください。

類義語としては、「一挙両得」「濡れ手で粟」のふたつを挙げました。「往に掛けの駄賃」と意味は似ていますが、含まれるニュアンスや使用シーンなどが異なるので、誤用しないようにしっかり意味を確認しておきましょう。

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【ことわざ】「往に掛けの駄賃」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒現役ライターがわかりやすく解説!

この記事では「往に掛けの駄賃」について解説する。

端的に言えば「往に掛けの駄賃」の意味は「何かをするついでにちょっと他のことをする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「往に掛けの駄賃」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を生かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい説明で解説していく。

「往に掛けの駄賃」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは「往に掛けの駄賃」という言葉をご存知ですか?耳馴染みのない言葉なので、意味を知っているどころか聞いたこともないなんて人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな「往に掛けの駄賃」について詳しく解説していきたいと思います。

それでは早速「往に掛けの駄賃」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「往に掛けの駄賃」の意味は?

「往に掛けの駄賃」には、次のような意味があります。

ある事をするついでにちょっと他の事をする。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「往に掛けの駄賃」は「いにがけのだちん」と読むことわざです。「往に掛け」が行くついでのことを指すことから、「往似掛けの駄賃」はあることをするついでにちょっと他のことをする、あることをするついでにちょっとした利益を得るという意味を持ちます。

「往に掛けの駄賃」は、あくまでも「ついでにちょっとしたことをする」なので、本来の目的のみを果たす場合には用いられません。また、ちょっとしたことが本来の目的の度合いを超える場合に用いることも間違いなので覚えておきましょう。

なお、上記で紹介した使い方以外に、悪事を働いた際についでに他の悪事を働く場合にも使われます。

「往に掛けの駄賃」の語源は?

次に「往に掛けの駄賃」の語源を確認しておきましょう。

このことわざは、馬子(まご)が駄馬(だば)を引いて問屋に荷物を取りに行くついでに、他の荷物を運んで余分に運び賃を稼いだことが由来であると考えられています。

馬子とは、荷物や人を馬にのせて運搬することを職業とする人のこと。駄馬とは下等な馬、荷物を運ばせる馬のことで、ここでは荷物を運ばせる馬の意味合いで用いられています。

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